多大な犠牲を払いながらも飛行艇はオディハを飛び立ち、地鳴らしの進路であるスラトア要塞へと向かっていた。エレンをいかにして止めるかという作戦を話し合う中で、彼が始祖の巨人の力を使ってほかの九つの巨人の力を奪わないのは自分を止めてほしいからではないかという意見が浮上。そんな矢先、一同はエレンによって“座標”へと呼び出される。あくまで言葉による解決を願うアルミンやミカサとは対照的に、エレンは「地鳴らしを止めたければオレの息の根を止めろ」と断言。その力を見せつけるかのように、スラトア要塞の飛行艇部隊をあっという間に全滅させる。https://shingeki.tv/final/story/#/episode/90
飛行艇にて
幼少期エレン
飛行艇で作戦会議をする仲間たちが「道」に呼び出された場面を見ていきます。漫画では子どものエレンんを追いかけるシーンで、エレンの顔だけでした。しかし、アニメではかけっこをするエレンの後ろ姿とそれを追いかけるミカサの目線も追加されました。ここは、かけっこで先を行く誰も追いつかないエレンと、追いかけても辿り着かない「道」のエレンを重ねているのだと思います。
ライナーのセリフ
「終わりにしてほしい、誰かに」というセリフのあとにミカサの顔が描かれていました。最後の展開を知った上で見ると意図的なシーンだと思います。
ピークのセリフ
アルミンに語る「あなたがレベリオ軍港を破壊したように…」というセリフについて考えてみます。アニメ66話「強襲」でアルミンはレベリオ襲撃時に民間人を含むマーレ国の人を大量に殺しています。漫画ではピークはこのセリフをアルミンを見つめながら話します。そして、同じコマに汗をかいているアルミンが描かれています。アニメでは直接的にピークがアルミンを睨んでいるわけでもなく、責められている様子も感じませんでした。アニメではピークがアルミンに対し、エレンを殺すことを躊躇わないようにね。というメッセージを感じました。 アニメ84話「終末の夜」で過去の許されない行為を責めるより、今の問題を解決すること最優先に動こうと一致団結しました。 それを踏まえると、あくまでも合理的に今どうすべきか考えているという感じもします。
リヴァイのセリフ
兵長の発言で地鳴らしを止める手段としして「ジークを殺す」が最優先となる空気になりました。 リヴァイ・ミカサ・アルミンには都合が良い作戦です。一方でピークとしてはエレンの方が情が湧かないでしょう。
すれ違う会話
今の飛行艇に乗っている仲間たちの目的は「地鳴らしを止める」で一致しています。 それぞれの意見としては… ピークは「手段は問わない」 ジャン「何でもします」 ミカサ・アルミン「エレンを説得」 という立場です。そんな中で… リヴァイ「ジークはオレが仕留める」ということに拘ります。
リヴァイの目的
リヴァイはジークを殺すことを原動力に今まで突き進んでいました。地鳴らしを止めるには誰がジークを殺しても良いはずです。それでも「力を貸してくれ」という発言から分かるように、リヴァイが望む目的は「ジークを俺が殺す」ということです。なのでこの発言で絶妙な空気感になったとも見られます。 そこで反応したのはジャンです。「もちろんです」「俺はなんだってやります」と返します。リヴァイがジークを殺すために手助けします、というよりは地鳴らしを止めるためなら「手段は問わないです」と話を戻しているように感じました。空気の読めるジャンだからこその返答かもしれません。
ライナー先輩
苦悩
「残りの人類を救ったって一生自分を許すことはないだろう。せめて残りの人類を救おうぜ」 この名言とともに漫画・アニメでも複雑な感情の表情をしたライナーが描かれました。マーレ国に帰ったライナーは、たくさんの人を殺し、仲間を裏切ったことで大きな罪悪感を抱いていました。人は罪の意識が生まれると贖罪のためにもがくはずです。しかし、ライナーはそれをすでに乗り越えています。この境地に達する上でこれまでの苦悩を振り返ります。 まず、罪の意識を軽くするために「償い」を行うことはもはや成立しない段階ということを理解していました。そこで罪の苦しさから逃れるために「死/諦め」という方法については銃を口に入れたり、巨人化せず眠ろうとしましたがすべて未遂や失敗に終わりました。ライナーという個人で行った時代や環境のせいにすることもできたでしょうが、罪の責任から逃避することもしませんでした。そして、地下室でエレンと対面した時にその罪に対して、自分が選んだものとして謝罪しました。ライナーは苦しみを受け入れて、共存する生き方に到達したとも言えるでしょう。
慰め
コニーに対する言葉は訓練兵の頃のライナーを彷彿させます。コニーに対して励ましの言葉をかけつつも、逃れようのない現実をつきつける部分もありました。
アニメの演出
コニーのシーンでは面白い光の演出がありまました。慰めの言葉をかけたあとには一般的には光が明るくなると思いますが、ライナーが慰めの言葉をかけた後に光が遮られ場面が暗くなりました。 左がコニーが語るシーン、右がライナーが近づき慰める場面です。話の内容的にも希望がない状況という部分で合っています。
船上の会話
キヨミの涙
漫画でも涙を流すシーンがありますが、アニメでは服の袖の涙の跡が追加で描かれました。ガビとファルコが来たときに涙を拭うシーンもアニメオリジナルです。 キヨミの本音や涙はアニにだけ見せた顔だったというのが細かい演出となっています。
アニとガビ&ファルコ
ガビとファルコが興奮した様子で登場し、アニが「うるさいガキ共!」と叱るシーンが印象的でした。アニは戦士の先輩ではありますがお互いに初対面の関係です。ガビたちが戦士候補生として過ごしていた時にアニはパラディ島で結晶化していたので時期が重なっていないのです。 アニのキャラクターの面もあるかもしれませんが、以上のことから双方には独特の距離感を感じます。
スラトア要塞にて
アニの父親の銃
漫画では長い銃で運転士を脅していましたが、アニメでは小型の銃に変わっていました。より近距離でより緊迫感を感じます。
マーレ軍
カリファ軍港では水陸からの攻撃が地鳴らし巨人に通用しないことが示されました。 一方で、スラトア要塞は空からの攻撃が可能です。本体の「終尾の巨人」を攻撃できるのでは?ということを予感させられました。 ミュラー長官というキャラクターもベテラン感があり、頼りがいのある司令官なのも期待できます。
カリナの回想
戦闘シーンの間でライナーの幼少期が描かれました。アニメではより多くの場面が追加されていました。曇りなき眼で母親を見つめている表情が切なかったです。この幼いライナーはアニメ62話「希望の扉」の場面と同時期であり、カリナから「父親とは一緒に暮らせない」ことやパラディ島の悪魔について聞かされていたあたりです。ライナーにとって呪いの言葉として心に刻まれたことでしょう。 ライナーが戦士候補生の証である黄色の腕章を持ってきた場面では、カリナの表情が漫画以上に狂気的に描かれていていました。これは子どもを道具にしてでも名誉マーレ人になりたいというカリナの欲望が叶った場面です。
対比表現
ここでカリナの回想が挟まれるのは隣の親子との対比になっています。これは「無条件に子どもを愛する母親」と「子どもを道具にしている自分」という違いです。ここでカリナがライナーを復習の道具としていたことを悔い改めます。
アニメオリジナルシーン
獣の巨人
「終尾の巨人」から「傀儡の獣の巨人」が登場するシーンも漫画とは違う演出でした。ちなみに「獣の巨人」が今までと違うのが投石を自ら生み出すことができる所です。 さらに漫画との描かれ方の違いとしては目です。漫画では黒く塗りつぶされていましたがアニメでは目が描かれていて表情が豊かでした。
60話 | 61話 | 62話 | 63話 | 64話 | 65話 | 66話 | 67話 |
68話 | 69話 | 70話 | 71話 | 72話 | 73話 | 74話 | 75話