この記事の目次
進撃の巨人121話『未来の記憶』のあらすじ
ジークとエレンは「道の世界」の中で、グリシャの記憶を巡る。
エレンは「オレは生まれたときからオレのままだ」と語り、ジークに説得は無駄だと伝える。
グリシャの旅の終盤、グリシャがレイス家から始祖の巨人を奪う場面を見るエレンとジーク。
グリシャは「進撃の巨人は未来の記憶をも覗き見ることができる」と語る。
エレンはグリシャを脅し、レイス家を襲うように仕向ける。
グリシャは泣き叫びながら、レイス家を殺し、始祖の巨人を奪う。
更に、大人になったジークに謝罪し、愛を伝え「エレンを止めてくれ」と懇願する。
グリシャの記憶から戻ってきたジークは、エレンの説得を諦め、始祖ユミルに安楽死計画の実行を命令する。
エレンは鎖を引きちぎり、始祖ユミルを止めようと近づくが…。
進撃の巨人121話『未来の記憶』で発生した伏線・謎
残された謎
進撃の巨人121話『未来の記憶』で解決した伏線・謎
進撃の巨人121話『未来の記憶』の表現・対比
進撃の巨人121話『未来の記憶』の考察・解説
進撃の巨人121話『未来の記憶』の考察・解説動画
サブタイトル『未来の記憶』の意味
エレンとグリシャは「進撃の巨人」の能力で「未来の記憶」を見る。
関連進撃全話のサブタイトルの意味を考察
「生まれたときからこうだった」
ミカサの家に来た強盗を襲ったエレンの心情が明らかになります。エレンは「他人から自由を奪われるくらいなら、俺はそいつから自由を奪う。父親が俺をそうしたわけじゃない。俺は生まれた時からこうだった」と語っていました。生まれながらにして自由の怪物だということです。
リヴァイ兵長も「こいつを抑えておくことは誰にもできない」と過去に言っていました。エレンがこうなったのは生まれ持った性質であり、その悲哀を感じます。
諫山先生のブログ記事がエレン理解に参考になります。
…何故、僕が原作漫画ヒメアノ~ルが
生涯ベストかと申しますと、この漫画のテーマが
「反社会性人格障害者の悲哀」を描いた作品だからです快楽殺人鬼の森田は人の首を絞めて殺す
ことにしか生きる意欲が待てない人間です彼は何故そんなサイコキラーなのかは?
原作では「先天的なもの」として描かれています
つまり生まれた時から彼はそういう人間だと
決まっていたのです(中略)
僕は偶然にも快楽殺人鬼ではありませんでしたけど
人との違いに悩んだことがある人ならそれが快楽殺人じゃなくても
理解できる部分もあるんじゃないでしょうか「別に俺が選んでこうなったわじゃないんだけどね」
っていう生まれ持った性についてですこの世で最も、誰も同情し得ない最低のクズ野郎に
古谷先生だけは空也上人像のように寄り添ったのです
つまり、自由を求めるエレンの性質について、諫山先生は寄り添っているのではないでしょうか。先天的に自由を求めてしまう人物としての「エレン」がここで改めて示されたと感じます。
エレンがミカサにマフラーを巻く
エレンはマフラーを巻いている幼少期の自分の姿を見ていました。
この時のエレンは「ミカサの人生を大きく変えてしまったのではないか?」「ミカサは自分に依存するようになってしまったのではないか…?」という思いを抱えている描写です。
マフラー泥棒でミカサ大好き少女のルイーゼという人物がいました。彼女はエレンから「このマフラーは捨ててほしい」と聞かされています。エレンはマフラーによって「自分がミカサを縛ってしまった」という気持ちを持っているのでしょう。
エレンのグリシャへの指示
子供エレンとグリシャの会話シーンも意味深です。グリシャが大人エレンの方をちょっと見ている。グリシャは、大人エレンの存在を意識しながら話しているのでしょう。
大人エレンはこの時、進撃の巨人の能力を使って、「グリシャが外の世界の情報を記せ」と指示した可能性もあります。
その後に「どうして外に出たいんだ?」と問うグリシャに対して、子供エレンが「今までに死んだ人たちの命が無駄になる」と答えます。この時のグリシャの表情もやっぱり意味深です。この質問の後から、ちょっと驚いたような顔になっています。ここでも大人エレンが、グリシャに何かの記憶を見せていたら面白いな、と私は妄想しています。
漫画史上最強レベルの伏線
121話は痺れました!進撃の巨人でもベスト3に入る盛り上がりでしょう。
グリシャは1話で「帰ったらずっと秘密にしていた地下室を見せてやろう」と語っています。
この時の絶妙な角度と手つきの描写。実はこれ、道に来ている未来のエレンを見ている、ということです。ちなみに3巻の10話にも描かれています。重要なシーンです!。
エレンと145代フリッツ王の思想の違い
壁の崩壊後に礼拝堂の地下室に行くグリシャ。そのグリシャがフリーダと対峙する時の、彼女の表情の変化はまさに145代フリッツ王。始祖の巨人の「不戦の契り」の影響で、フリッツ王の記憶にとらわれたフリーダに変わったのです。121話は目の輝きに注目すると、色々と見え方が変わります。
フリーダは「巨人大戦の悲劇で悟りました」「始祖の力が弱き者の手に落ちるなら、再び世界は地獄と化す」「世界を守るためには我々は滅びゆく他無いのです」と語ります。
この言葉を聞いたエレンのなんとも言えない表情。145代フリッツ王の「自由を渡してもいい、それで我々は滅んでも良い」という思想に対しての純粋な怒りだと思います。
「我々がただ何も知らずに受け入れれば、死ぬのは我々だけだ」は不自由を象徴するようなセリフです。自由を求めるエレンには許せなかったのでしょう。
グリシャがエレンの方を見ると、エレンがフリーダのことを激しく睨みつけています。このコマの後にグリシャが突然フリーダに語り始める。「分かっている、私が思想の力を使えないことは」と。この時、エレンの目が少し光っているので、進撃の巨人の力を使ってグリシャに影響を与えたのでしょう。
進撃の巨人の継承者たちの「不自由」
グリシャは「かねてより、進撃の巨人の継承者は何者にも従うことがなかった、私にはその理由がわかる」「すべては王の独善に抗うため、そう、この時のためにみんながこの記憶に導かれた」と語ります。
過去の継承者たちもこの瞬間見せられて、始祖の巨人を奪うために導かれてきたのでしょう。
進撃の巨人は「自由」と言われていたけれども、未来に縛られているのです。
みんなが未来に縛られて「不自由」な行動をしていたという皮肉にも取れます。
フリーダは進撃の巨人の特性を知らない
フリーダが「『進撃の巨人』の特性?そんな話は…」と言っています。それに対してグリシャは「あなたがそれをご存じないことも知っている、不戦の契りで始祖の力を完全に扱えないのは王家といえどもあなたも同じ」と返す。
進撃の巨人の継承者は当然ながら自身の能力を知っていますが、始祖の巨人を所持するフリーダ(フリッツ王の記憶)も、進撃の能力を知らなかったことが分かります。進撃の巨人が「自由を求める巨人」という、曖昧な言い方で伝承されたのは、能力を隠すためだったのでしょう。
殺せないグリシャ
グリシャは「始祖を食らい王家の血をここで絶やす…そういう未来だと決まっている」と語っています。この時、一度はフリーダを殺そうとしたけれども「やっぱり自分にはできない」とメスを落とします。
医者であるグリシャはやはり命を奪えないことを表していますし、自由の代償も表れている、深いコマです。
エレンのグリシャへの干渉
エレンがグリシャに「復権派の仲間に、ダイナに、クルーガーに、報いるために進み続けるんだ、死んでも死んだ後も」と脅しています。
グリシャからエレンの姿は見えないですが、エレンの記憶をグリシャに送っているので、自分の姿とエレンの声が、記憶として伝わります。
更にこの後「これは父さんが始めた物語だろう」の場面で、エレンの目が光ります。ここでも、進撃の巨人の能力を使ったということでしょう。グリシャの記憶から妹フェイの姿が垣間見えました。エレンが投獄された時に見た「グリシャとフェイの記憶」を見せたのかもしれません。
エレンのセリフが、フクロウことクルーガーと全く一緒なのも興味深い。「俺たちは自由を求め、その代償は同胞が支払った」「そのつけを払う方法は一つしかない、その行いが報われる日まで進み続けるんだ、死んでも死んだ後も」と。卵が先か鶏が先かみたいな話ですが、エレンの発言がクルーガーに影響を与え、クルーガーの発言を聞いたエレンがそれを再び言うのです。
「父さんが始めた物語だろう」の言葉で、グリシャは覚悟を決めます。殺したくないけど、やるしかない。
エレンはグリシャを動かす言葉(と記憶)を理解していた。21巻でエレンが見たグリシャの記憶がここに来て役に立ったともいえます。
進撃の巨人の能力
「進撃の巨人」は未来の継承者の記憶を見る力です。
グリシャは「未来の継承者の記憶を覗き見ることができる、つまり未来を知ることが可能なのだ」と語っていました。
つまり、進撃の巨人の能力は2種類あるのでしょう。
1つ目が「未来の記憶を見る」という受信能力。送られてきた未来の記憶を見ることができる。
2つ目が「過去の継承者に記憶を送る」という送信能力。
この「受信」と「送信」という2つの能力が、進撃の巨人の能力者にはあるのでしょう。
「受信」は未来の進撃保持者が送ってこない限りできません。見られる未来の記憶には制限がある。グリシャも「なぜ全てを見せてくれないんだ、壁が壊されることを彼らの安否を」と言っていました。未来から送られてきた分だけしかわからないのでしょう。
一方で「送信」は、過去の継承者に自分の持っている記憶を送る力です。自分が見た記憶の他にも、他の人に見せられた記憶も送ることができます。ただし、送信を出来るのは、全ての継承者ではなく「道にたどり着いたエレン」だけという可能性もあります。
ちなみに、直接的な過去の改変や介入はできません。エレンが過去に行って、グリシャの手足を取って攻撃させたり…みたいなことはできません。あくまで過去の継承者の行動は、本人の意思によるもの。ただし、その意思に影響を与えるために、情報(記憶)を渡すことはできます。
エレンがロッド・レイスを生かした理由は?
グリシャは「エレン!レイス家を殺したぞ、父親以外は。これで良かったのか」と語りかけていました。
エレンはロッド・レイスをあえて生かしたように思います。
それは、16巻・17巻あたりの礼拝堂での出来事を実現するために必要だったからでしょうか。ヨロイの硬質化を得たり、ヒストリアが女王になったり、と。
道とは何か?
グリシャの「なぜ全てを見せてくれないんだ、壁が壊されることを壊される日を、彼らの安否を、本当にこれしか道がなかったのか」と言っています。
ここで気になったのが道という言葉です。座標にいて「道に繋がっている」という表現がありましたが、平行世界や、アドベンチャーゲームでよくある分岐ルートのようなものを連想します。複数あるルートの中の「この道」みたいな意味があるのか?
エレンも「感謝してるよ、兄さん。あんたが俺を親父の記憶に連れ込んだおかげで、今の道がある」と言っています。この道というのが「座標の道」なのか「平行世界における道」という意味なのかが気になるところです。
「エルディアが救われる」と「地鳴らし」
グリシャが「本当にこれでエルディアが救われるのか?」とエレンに言ったのが気になります。
エレンが地鳴らしをすれば、マーレ国のエルディア人は死んでしまいます。ジークにとって救われる対象のエルディア人には「マーレ国にいるエルディア復権派が救いたかった人々」も含むはずです。更にグリシャにとって大切だった祖父母もレベリオにいます。アニメ完結編のアニメオリジナル描写では、明確に地鳴らしで死亡していましたし…。
つまり、地鳴らしの光景(直接的な被害)は見せていないはず。例えば、始祖ユミルが見ていたラムジー死亡シーンのようなものです。
「これでエルディアが救われる」というのは「始祖と進撃が奪われない未来につなげ」という程度の意味だったのでしょうか。
※ここは改めて考えて加筆します
グリシャが語る「エレンの望み」と「恐ろしいこと」
グリシャが「エレンの先の記憶を見た、まさかあんな恐ろしいことになるとは…」と言っていたのは明らかに「地鳴らし」の光景ですよね。
つまり、レイス家襲撃時には「地鳴らし」の光景を見せていないが、グリシャがジークに抱きつく時には、「地鳴らし」の光景を見せていたのでしょう。
「あんな恐ろしいことになる」のにレイス家襲撃に協力したのは、始祖を奪うしか選択肢がなかったからですし、地鳴らしが起きる最悪な未来を知らなかったからです。
では何故わざわざ「地鳴らし」の光景を見せたのか?グリシャがジークに「エレンを止めてくれ」と頼むようにしたかったからです。ジークが自らリヴァイの前に現れて斬られて、地鳴らしは止まりました。この状況を引き起こすために、グリシャからジークへのお願いを引き出したかったのでしょう。
つまり、グリシャがジークに「すまない、私はひどい父親だった。お前にずっと辛い思いをさせた」と言う時に、エレンが後ろで睨みつけて進撃の巨人の能力を使っていたのは、理由があったのです。単なる親子の仲直りのためではなく、全ては地鳴らしの未来のためだった。
この後記憶ツアーを抜けたジークは、エレンを妨害しようと試みます。この1点を見ると、わざわざ親子のわだかまりを解消してあげたのは失敗に思えますが、その先のジークの行動に影響を与えるためだったということです。
キャラクターの心理描写の凄さ3選
はい、次です。キャラクターの心理描写の凄さ3選。ここはです、謎とかないので、もう安心してです、こんな感じだったんだを聞いてもらえればなと思います。一つ目がメスと右手の描写です。これ個人的に結構感動したのですが、グリシャがメスを右手に、そういう未来だと決まっていると言って、左手にか左手に持って、風に語るんです。フリーダを殺せないと言ってます。この殺せないというのは当たり前ですが、医者であるグリシャにとって人を殺すというのはやりたくないことです。しかもグリシャというのはエルリア復権派として、マーレ国にいた頃よりも穏やかになっています。二度目の過程を持っていて、ジークに密告された失敗もあったりして、人を救うということにある種、生き甲斐を見出している部分もあるのではないかなと。グリシャ、人を救ってきたグリシャの手というのが、その刃物というのがです、人を殺すためには使えないというような描写です。そういう未来だと決まっているって言って、殺そうとした、自分の手に刺そうとしたけれどもできないというところが一つ意味深かなと。さらに、この時のこのコマです。これは父さんが始めた物語だろうとエインに言われて、結局グリシャは覚悟を決めて、自分の右手にナイフを、メスを刺して、巨人化するわけですが、この時のグリシャの記憶から垣間見えたフェイの様子、これを見せていますが、ここでのこの注目ポイントというのがこのコマです。幼少期のグリシャというのは妹のフェイを外の世界に連れ出そうとしたのです。その結果、代償として妹のフェイというのは死んでしまったというような展開でした。この時に握っているのが右手です。この右手で握ってフェイを連れ出した、自由を求めるためにフェイを右手で連れ出したのですが、注目なのがこの右手にこのメスで傷をつけているというところです。これ明らかに大義的に描かれているんじゃないかなと。つまり自由を求めた右手、そこに刃物を刺すことで自由の代償を表現している。風に私は感じました。先日少しツイートもしたのですが、メスというのは命を救うメタファーでもあり、それをこういう風に相手を殺すために使っているので命を奪うメタファーに変わっている。さらにこの右手というのも自由を得るための右手だったはずのものが自由を奪うはずの、自由の代償を支払うためのです、右手になっているというところが一つ意味深というか、メタファーとして非常にうまく機能しているなと思いました。これが一つ目の話。次が地味に泣けるページです。グリシャはです、こんな風に子供たちと戯れているというのがこの回想で明らかになったのですが、この時のジークの心情というのが切ないなと思ったのです。ジークはグリシャに愛されていない、父親に愛されていないと思って、自分と祖父母が助かるためにグリシャを周り国に差し出したというのが、クサバーさんとの話から分かりますが、こんなジークだからこそ、この回想を見てです、ミス知らずの子供たちにも注げる愛情を、なんで自分には注いでくれなかったんだをこの時恐らく感じているんじゃないかなと思います。さらにこの後のコマです。だが俺はお前を決して見捨てない。クサバーさんが俺にそうしてくれたように、世界を救う前にたった一人のお前を救いたいんだ。こんな風にエレンにジークは語りかけていました。俺はお前を決して見捨てないって結構意味深ですと思っていて、これはジークへの恨みでもあります。見捨てられていた、グリシャに子供として見捨てられていたところもありますし、ジーク自身がグリシャにのことを告発して見捨てたというような無意識のひけ目もあるのではないかなと。それ故今度こそ弟のエレン、彼のことを見捨てない、俺はお前を決して見捨てないというような発言になっているんじゃないかなという気がしています。さらに世界を救う前にたった一人のお前を救いたいんだというコマも少し意味深かなと思っていて、これもジークがグリシャにかけてもらいたかった言葉、愛されたかった父親にかけられたかった言葉とも捉えられます。エルディア復権という大義の前にたった一人の息子のお前を救いたい、こんな風にジークはグリシャに言ってもらいたかったと私は思いました。そのセリフを言っているところ、子供たちが遊んでいる、子供と父親が遊んでいる何気ないシーンが映し出されていますが、ここも地味に少し鳥肌ポイントかなと思っていて、私の過去の解説動画28巻でも語っていますが、このコマを少し想起させるんです。子供と父親というのが遊んでいる、その様子を見たジーク、少年というのは父親に、今日早く終わったから遊ぼうよと一般の家庭の親子がやっているように遊ぼうよって言おうとしたけれども、言葉が遮られて今日はたくさん勉強できるなと言われる。それでジーク少年は少し沈黙の後にうんと語るんです。ここで見えるのはこの時の光景と同じだったと、ジークにとっては得られなかった普通の愛情表現というのがこの28巻のシーンで描かれていますが、そのコマを少し想起させるような役割というのがこのコマ一つで実はあるのではないかなと思います。さらにです、そのコマがあった上で世界を救う前にというセリフ、これがジーク自身の心情と重なるところで普通に慣れなかった、普通の親子のように慣れなかったジークとグリシャです。ジークが求めていたのは世界を救う前にたった一人のお前を救いたいんだというその言葉、それを実はグリシャがジークにかけてくれることを待っていたと私は深読みしています。ということで地味に泣けるページという話でした。最後ジークとグリシャへの憎しみです。グリシャはすまない、もっと一緒に遊んでやればよかった。ジーク、お前を愛している。こんな風に語っていました。これでね、ジークというのはグリシャに愛されていたことを知ったわけですが、草婆さんがかけた愛されていなかったという呪いが解けたと、こちらも28巻の解説動画で詳しくは語っていますが、君を愛さなかったと言った草婆さんの言葉を受けてジークはです、グリシャを告発したわけですが、先ほど話したそのボールとも重ねて考えると、遊んでやればという言葉も非常に切ないです。もっと一緒に遊んでやればところも切ないですし、グリシャにとってのジーク少年というのは、この幼少期の時のジークなんですところも少し垣間見えます。大人のひげの生えたおっさんに対して遊んでやればとかというのは言えないので、グリシャにとっての、精神的なジークの姿というのは子供の時の姿です。それに対してジークは父さんと言って、愛されていたことを知ったというような展開でした。父さんってつい言ってしまった、ずっと言いたかった言葉です。それを改めて言って、その後の子まで父さん…グリシャは福建派の務めをためらっていたというところで言い直している。簡単には、わざわざあんまり解けていないと。感情的には理解はできたけれども、自分には使命があるところもあるし、少し、グリシャの…グリシャじゃない、ジークの心の揺れが垣間見えるというようなシーンでした。というのがキャラの心情描写の凄さです。最後、小ネタが3つほどあります。1つ目がエレンがヒストリアと触れた時、これが結構謎ですと思っていて、22巻でエレンとヒストリアを触れていたのですが、30巻でも改めて描かれていました。このコマから考えるに、22巻の体感式でエレンがヒストリアの手の甲にキスした時に、この1年の121話の記憶を見たんじゃないかところも言えるかなという気がしています。ただです、この22巻の描写なんかは少し分かりづらいのですが、グリシャ目線だと。私は壁の外から来たエルディア人、あなた方と同じユミルの民ですって、グリシャが語っているようなコマです。これをエレンが巨人の継承者の記憶として見ているんじゃないかなと。一方で30巻121話の場合だと、私は壁の外から来たエルディア人、あなた方と同じユミルの民ですを、グリシャの姿込みで見ています。つまりエレンの視点でグリシャの姿を含めて見ているところが、この22巻の時と30巻の時で少し異なっている点です。これは漫画の演出上、少ししたトリックとしてこうやっているというところはあると思いますが、果たして本当にエレンは22巻の時点でこの光景全てを見ていたのかというところは、少し気になるところです。であれば、今のその30巻のエレンのように、色々とこう、冷静に行動するんじゃないかとか、ヒストリアにそういう何かを告げる、この真実を告げるというのも、もっと早めに動いていたという気がするので、もしかしたらこの30巻時点と22巻時点で見たものというのは、少し違うんじゃないかなという気も個人的にはしています。次が未来のエレンの行動の謎です。未来のエレン、この30巻のエレンの未来のエレンです。ややこしいですけど、30巻以降、地ならしとかを行っている、あるいは完了してしまった後の未来のエレンというのがです、過去に記憶を送っています。それが確実に送っているよなって思えるコマが2つほどありました。1つ目がこの22巻のクルーガーに語った言葉です。それができなければ繰り返すだけだ。同じ歴史を同じ過ちを何度もだから人のことを愛せという言葉と、ミカサイアルミみんなを救いたいなら使命を全うしろ。こんな風にグリシャに語っています。その後グリシャはエレンを巨人化する前に、3巻の時点でもこのセリフを語っていました。エレンに巨人を継承させる前にです、ミカサイアルミみんなを救いたいならお前はこの力を支配しろと語っていました。これそのグリシャの言葉というのが、どっから来たものかというところが気になります。エレンが、未来のエレンが改めてグリシャに影響を与えたのか、あるいはこのクルーガーの言葉というのも真似したのかというところです。これどちらもありえるかなと。個人的にはクルーガーの言葉を真似したという気はするんですが。そうなると、クルーガーにこのミカサイアルミンとかって話って別に見せる必要ないよなと。なんでわざわざ見せたのかなというのが気になります。さらにこの壁の中で人を愛せというのも、これエレンが生まれるためにというところはあるんでしょうけれども、未来のエレンが言ったとしたらなんで未来は、なんでエレンはことを言ったのか、どんな心境で言ったのかところも非常に謎なところですということです。さらに2つ目です。未来のエレンがグリシャに見せた光景は何なのか、それはいつ見せたのかというところです。グリシャがエレンの先の記憶を見た。しかしまさかあんな恐ろすぎことになるとはって言っていたのですが、この景色というのは、その未来エレン、31巻以降のエレンが見た光景を、グリシャに進撃の巨人の能力で見せているって言うはずです。121話時点のエレンではなくて、未来のエレンです。というような話かなと思います。その親父の記憶から未来の自分の記憶を見たと、今の30巻のエレンは語っています。あれを見たのは4年前、22巻の時の大冠式の時にそれを見たと。あの景色をと言っていましたね。まあこれ流れとしては、グリシャが見た未来エレンの記憶を30巻エレンは見ているという非常にややこしい流れですが、未来のエレン、30巻以降のエレンというのがグリシャに記憶を送っていると。グリシャがその記憶を見た。そのグリシャが見た記憶を大冠式の青年エレンが見たというような話かなと。1回整理すると感じかなと思います。これ未来のエレンがいつグリシャに記憶を送ったのかなというのが、少しわからないです、この全体の流れを見ても。それはどんな光景なのかところも含めて、そこが32巻以降で描かれていくと思いますが、気になるところです。最後これは少ししたネタでロッド・レイスの逃げ足って話で、ぜひこれロッド・レイス教ヒストリアのお父さんです、何コマかあるんで確認してほしいのですけど、逃げ足が早いのです。これは少ししたネタですが、これぜひ見てみてください。後に、王政編でロッド・レイスはこんな風に語っていました。14歳のディルクと12歳のエーベルを叩き潰し、10歳のフロリアンを抱いた妻子と踏みつけ、最後は長男のウルクリーンを握り潰したって言ってるんですが、こんな速度で逃げていた人間がそこまで本当に確認してたのかというところです。エレンに触れてわかった可能性もありますが、結構ね、こう、自分をかばうための色々な嘘も言ってるんじゃないかなと。くしくもその場から生き残ったのは私だけだったってヒストリアに語っていますが、いや、ロッド・レイスを置いて逃げたじゃんというところがあります。でもそのことはヒストリアには語らずに、たまたま偶然にも私は生き残ってしまったと、もちろんね、このグリシャに狙われていなかったところも121話を見るとありますが、子供たちを置いてです、自分だけ逃げようとしたところが、このロッド・レイス教のです、癒しさとして、自分だけ助かればいいという気持ちとして現れているというのが垣間見えますね。というところで以上になるのですが、今回の121話、少し思ったのが、エレンって未来の記憶に従っている奴隷じゃないかって、自由を求めるってずっと言っていたけれども、未来に従っているんじゃないかみたいな、風にも少し感じます。アルミンに言われた、どっちが奴隷だよみたいな、誰が奴隷だというやりとりありましたけれども、そこら辺も少し想像というか、なんだろうな、思ってしまったりだとか、あとは自由を求めて戦うのが進撃の巨人、こんな風に物語ではずっと言われていたのですが、実は全員が未来のために動いている、実は不自由なんじゃないかという気すらします。自由を求めて戦う進撃の巨人が実は不自由だったというのも、一種の皮肉なんじゃないかなという気もしています。
ポイント
進撃の巨人121話『未来の記憶』の感想・ネタバレ
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