マーレ潜入作戦を経て、異母兄のジークと接触し、ついに“始祖の巨人”の力に目覚めたエレン。あわせ持つ“進撃の巨人”の力によって断片的な未来を観測できる彼は、苦悩と葛藤の果てにパラディ島の外にある世界を滅ぼす“地鳴らし”を発動させる道を選んだ。エレンの力で動き出した壁の巨人の行進は、進路上にある一切を踏み潰し、焼き尽くし、無数の生命を奪っていく。その頃、ハンジたち一行はイェーガー派の妨害を振りきり、地鳴らしを先回りする形で海路を進んでいた。洋上での穏やかな時間の中、アルミンはアニと言葉を交わし、これまでの自分の歩みを見つめ直す。https://shingeki.tv/final/story/#/episode/88
「いってらっしゃい エレン」が追加
アニメ1話でカットされたシーンが遂に描かれました。長い間、謎とされていたミカサの「いってらっしゃい」というセリフです。この場面においては、後に描かれるリフレインの導入部分です。詳しくは93話「長い夢」(https://takichannel.com/shingeki/anime/season4/episode93)で解説しています。
このシーンのミカサの演技が素晴らしいのは、決意の中にも慈しみを感じる部分です。これはエレンが最期に聞いた声になるので非常に重要なシーンです。
「いってらっしゃい」のセリフ以外のはアニメ1話にもあるので、WIT STUDIO版とMAPPA版でそれぞれ違いを見てみるのもオススメです。
エレンの「ごめんなさい」
ラムジーに対して謝罪する場面について解説します。漫画では「ごめん、ごめん」と2回謝っているのに対し、アニメでは「ごめん、ごめん、ごめん」と3回謝っています。特にラムジーが踏み潰されるシーンの「ごめんなさい」のセリフはエレンの辛さが伝わる演技でした。【完結編 特別番組】によると… エレン役の梶さんが「とあるシーンで涙が止まらない、続けられなくなった」と語っていました。完結編 前編の放送直前にX(当時Twitter)で「ごめんなさい」と投稿していることからこの場面のことなのでは?と思います。
「望んだんだ」
セリフの改変がありました。ラムジーに対して「オレは望んでたんだ…」というセリフは「オレは望んだんだ…」と変わっています。 未来・過去の原因ではなく、すべて自分の責任・選択という部分を強調しているのかもしれません。
通じない会話
エレンはエルディア語、ラムジーたちは別の言語を使っていました。漫画ではラムジーの言葉は横書きで不明瞭な文字で書かれていたので、別の言語であり、エレンに通じていないことが分かります。 ラムジーたちの言語については、アニメ87話「人類の夜明け」のときは独自の言語を使っていることが明確でした。今回は日本語で話していて、字幕もついていました。87話の時点で説明済みなので、今回はそういった演出はなかったのだと思います。 ただ、エレンとラムジーの言葉は通じてないというのは重要なポイントになります。 エレンが「自分がやることを知っても止める力のない非力な子ども」に対して「一方的に自分の心情を吐露している」というのがわかると、よりこのシーンの残酷さが伝わると思います。 一方的な謝罪はエレンの内省や独り言では済まされず、ラムジーに対して感情が溢れ出てしまったのでしょう。これらは大きすぎる苦悩からきていることも感じます。
がっかりした
エレンの正直な気持ちであり、抗えない本能ともいえます。エレン自身の原初的欲求であればそう生まれてしまった人間の性、とも感じられる非常に重要なシーンです。
地鳴らしの被害
漫画よりも現実と回想の切り替わりが多いのが印象的です。ぜひ見比べてみて欲しい部分です。エレンの望んだ「結果」を直接的に見せつけられるシーンでした。苦悩するエレンに対して「可哀想」という同情の気持ちを持つ読者もいたと思います。アニメではそれ以上に地鳴らしという選択は「酷い」「恐ろしい」「悲しい」という感情が想起されるような作りになっていたと思います。
ラムジーの瞳
死亡する直前のラムジーの視線の先にユミルがいることがわかります。ラムジーの視点では「回想のエレン」と「現実のユミル」が交差していました。原作のときもユミルを介してエレンはラムジーの最期を見たのかな?と思います。その上で「ごめんなさい」と言っているのだとも考えられます。
市民
岩が降るというのは第1話で超大型巨人が襲来してきたシーンを彷彿します。ラムジーの足が岩に潰されて動かない、というのもカルラが瓦礫に挟まれて動けなくなっている場面と重なります。 巨人の出現によって家族を奪われたエレンが、今度は巨人の力を使って他者の命を奪うというのが地鳴らしのポイントです。
ジークの祖父母
ここは完全にアニメオリジナル描写です。ジークの祖父母はジークのマーレ国の裏切りにより投獄されていたようです。さらに地鳴らしを起こしているのは血縁者であるエレンです。 ジーク祖父母以外の牢屋は解錠され、全員逃げ出している中でジークの祖父が「誰か!」と牢屋の中から助けを求めるシーンが追加されます。 受刑者であっても災害時には避難する人権があることが分かります。しかし、ジーク祖父母の牢屋は解錠されないという、かなり残酷なシーンです。
アニメオリジナル「被害の場所」
- 戦鎚の巨人と戦闘したレベリオ収容区
- アニの家
- ガビたちと仲の良かった門兵がいた門
- 英雄へーロス像
- 開かない頑丈な扉
被害者
アニメオリジナルで人々の様子もさらに細かく描かれていました。
- 自害する人
- 火事場泥棒
- 車に乗って逃げる者
- 絶望して泣く者
どんなに逃げても誰であっても平等に踏み潰されてしまう。そんな残酷なシーンでした。
巨人の怖さ
87話「人類の夜明け」について林監督がラジオで語っていました(2022.2.28 NHKラジオ「アニメ・ステラー」)。「諫山先生曰く『本当は、艦隊の大砲を食らって、何体も何体も巨人はやられていくけど、物量で圧倒していくんです』それを描きたかった」 地鳴らし巨人は倒せる存在ではあるけど、大量にいるというのがポイントになります。地鳴らし巨人の怖さは災害的な「不可避の暴力」であって、巨人自身は意思を持たずただ歩いているだけであるということです。 一方で無垢の巨人は何を考えてるか分からない「得体のしれない存在」が人間を襲ってきます。 巨人といってもこんな違いがあることに気づくとまた見え方も変わってきます。
エレンの「これが自由だ」
子どもエレンの姿と現実で起きている悲惨な状況が交差します。漫画と見え方が違うのが、ダイレクトに地鳴らしとは何か、を感じる描かれ方になっている所です。 アニメでは不穏なBGMと対象的に曇り無く純粋無垢に喜ぶ、子どもエレンの姿が描かれます。原作同様に景色を堪能したエレンが一呼吸おく表情がありました。ここは達成感を得ることで子どもエレンの願望が叶い、その気持ちが成仏したシーンとも言えるでしょう。このときの子どもエレンには地鳴らしの被害が雲に隠れて見えていません。そのために純粋に夢の光景を楽しんでしまっている、とも考えられます。
ラムジーとハリル
「地面が泣いてる」はカットされました。その代わりに不穏なBGMと大量の鳥が飛び去っていく、ただ事ではない状況が表現されていました。地鳴らし巨人が迫ってくるシーンは映画のようでした。すごい迫力でした。また、巨人の顔が一体、一体違うのもポイントです。 ちなみに、ラムジーとハリルは兄弟ではなく親友だそうです(諫山創/キャラクター名鑑FINAL/講談社)。ラムジーはエレン、ハリルはアルミンと重ねて描かれているようにも見えます。表情も似ていますし、ラムジーの困難な状況に屈しない姿はエレンを想起させます。どこかの国のエレンとアルミンが踏み潰されてしまうと考えると残酷ですし、感情移入して辛くなるシーンになっています。
エレンの独り歩き
アニメオリジナルで街の様子が細かく描かれていました。 槍を持っている英雄へーロス像が追加されました。他にも追加された街の様子で印象的だったのが、煙突掃除をする子どもたちの姿と、一方で裕福そうな夫婦の姿が1枚の絵で描かれている所です。このシーンだけで貧富の差がある、ということが分かります。
エレンの内省
妊婦を見て母カルラを思い出すシーンがありました。実際に「道」で見た記憶だと思いますが、神々しく描かれています。この妊婦は完結編 後編(アニメ92話「心臓を捧げよ」)で再登場するので注目です。 街を歩くエレンの影が伸びていくのも不穏さを表しています。エレンの表情はアニメ80話「二千年前の君から」の始祖ユミルの表情と重ねて描かれていそうです。 エレンは誰にも相談できず、1人で決めていたという孤独さや苦しさを感じる切ないシーンです。雑踏の中にいるからこそ「1人」であることがより強調されています。
ラムジーを助けるエレン
漫画ではエレンが大人たちを殴ったり、戦っている描写がありましたが、アニメでは大人たちが倒された後の描写のみでした。大人3人を相手にしても一切、傷ついていないエレンは相当強いです。もしかしたら未来の記憶が関係しているのかもしれません。
船の上のアニとアルミン
ラブコメ描写が良かったですね。アニは漫画でも赤面していましたが、アニメでは耳まで真っ赤になっているのが可愛いのでよく見てみてください。船の汽笛も2人を盛り上げているように感じました。
打算的な思いを疑うアニ
アニの「争いを避けるためでしょ?」というセリフを言ったあと時間経過が描かれる場面も漫画同様に演出されていました。アニがアルミンを見て、うつむく、そして立ち上がる、という場面です。ここも時間をかけて演出されていました。 そして立ち上がるアニを引き止めるアルミン。漫画では手首を握っていましたが、アニメでは手をしっかり握っています。手を握られたアニが赤面するシーンも見逃せません。
エレンの表情
今回の最後に「終尾の巨人」のなったエレンの表情が描かれます。漫画では目を閉じていましたがアニメでうっすらと目を開いています。138話のエレンとミカサの最期のシーンでは目を開いているのでこちらに合わせているのかもしれません。
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