【進撃の巨人】第37話『南西へ』考察・解説・感想【ネタバレ】

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進撃の巨人37話『南西へ』のあらすじ

巨人出現より16時間後(エルミハ区)

壁が巨人の硬質化でできていることがわかり、エレンの硬質化でウォール・マリア奪還の可能性が高まる。
ハンジは秘密を知るニック司祭に、混乱するエルミハ区の様子を見せる。
それでもなお口を閉ざすニックは「ユミルと一緒にいる女性(クリスタ)」が秘密を話す権利を持つと語る。

巨人出現より7時間後(クロルバ区道中)

西班の調査兵団兵士は、クロルバ区に向かう。
104期生ユミルとクリスタは上司と揉めつつも、先に進む。

巨人出現より9時間後(ラガコ村)

南班のコニー・ライナー・ベルトルトは、コニーの故郷ラガコ村にたどり着く。
住人は誰もいないし、村は破壊されている。
そんな中で、コニーの家にて、手足が細い女性の巨人を発見する。

進撃の巨人37話『南西へ』で発生した伏線・謎

Qニック司祭は何を知っている?何故口を閉ざす?
(9巻37話)

Aウォール教の誓約を遵守している。また、秘密をバラすと中央第一憲兵に殺されるので言えなかった。
(13巻52話)

Q壁の秘密を託されたある血族
(9巻37話)

A壁の中の真の王家「レイス家」のこと。
(14巻55話)

Qウォール教の「強固な誓約制度」とは?
(9巻37話)

Aユミルの民以外は、記憶改ざんが効かない。彼らは良い待遇と引き換えに、秘密を守る。
(14巻55話)

Qクリスタが壁の秘密を知り公に話すことを選べる権利を持つ理由は?
(9巻37話)

A壁の中の真の王家であるレイス家が最高権力だから。レイス家の人間は、始祖の巨人を継承することで、初代王の思想・記憶を継承する。
(16巻64話)

Qユミルがクリスタのために行動する理由は?
(9巻37話)

A
(22巻89話)

Qラガコ村にいる巨人の正体は?
(9巻37話)

A巨人の正体は人間だった。ラガコ村にいる巨人はコニーの母親だった。
(13巻51話)

関連進撃全話の伏線・謎まとめ

残された謎

Q
(9巻37話)

A
(巻話)

進撃の巨人37話『南西へ』で解決した伏線・謎

Qアルミンの「巨人の効果能力で(壁を)造ったんじゃないかな」という予想
(8巻34話)

Aアルミンの予想通り。ハンジの分析とも合致する。3重の壁を人間が造ったわけではなく、巨人の能力で造ったことが分かる。
(9巻37話)

進撃の巨人37話『南西へ』の表現・対比

進撃の巨人37話『南西へ』の考察・解説

進撃の巨人37話『南西へ』の考察・解説動画

サブタイトル『南西へ』の意味

エレンたちはウォール・シーナの南西のエルミハ区を通過。
更にウォール・ローゼ南西の空いたと思われる壁の穴を目指す
関連進撃全話のサブタイトルの意味を考察

ニック司祭の感情の変化

ニック司祭は第34話「戦士は踊る」で壁の秘密についてハンジに問い詰められるも秘密を話そうとはしませんでした。

そんなニック司祭ですがエルミハ区で避難する人々を見て衝撃を受け心変わりをします。ハンジに壁の秘密については、壁内のある血族に秘密を話す権利を託してきたので「自分からは言えない」と言います。

その壁内のある血族、その人物はクリスタだということが判明します。

ここまで104期生は様々な人が巨人になったりだとか、アニが巨人になったりだとかしていたのですけど、さらに重要人物が出てくる展開になります。

ユミルの名前が判明

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

クリスタが重要人物であることに加えて、彼女といつも一緒にいる人物が「ユミル」という名であることが分かります。

このユミルという名前がなぜ重要なのか?それは特別編「イルゼの手帳」に答えがあります。

イルゼ・ラングナーという調査兵が出会った無垢の巨人が「ユミルの民」「ユミル…様」と語りかけ、彼女に敬意を示したというエピソードがあったからです。この場でその件を知っているのはハンジとリヴァイだけであったので「ユミル」という言葉を聞いて、ハンジとリヴァイが驚く場面があるのです。無垢の巨人が発した「ユミル様」と104期の「ユミル」が関係しているのかもしれない、というハンジの衝撃を読者が追体験する展開です。

「ユミル」は実はすでに出ていた

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

第36話「ただいま」のサシャの回想シーンの中でさりげなく「ユミル」という名前が出ていたというのも読み返すと驚く仕掛けです。

クリスタが自然に「ユミル」と小さい吹き出し言っています。

※アニメでは前の話に該当する#27「ただいま」で「ユミル」の名前は判明しています。それまでの役名は「そばかす」でした。

ユミルとクリスタの関係

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

ミカサがクリスタのことを「ユミルといつも一緒にいる子です」というようにユミルとクリスタは一緒に行動しています。この関係性としてはただの仲良しというよりもユミルがクリスタのことを大好き、という感じです。

二人が仲良しになる前の回想場面として第15話「個々」でサシャを介抱する場面があります。仲良くなった後の場面として第5話「絶望の中で鈍く光る」でユミルが「さすが私のクリスタ!この作戦が終わったら結婚してくれ」と言っています。

このユミルがクリスタを想う気持ちはただの友人というわけではありません。クリスタが安全な憲兵団に入れるようユミルは裏工作をしていたのです。本来ならば自分が訓練兵の10番以内であったはずですが、その地位をクリスタに譲ったようです。

ユミルの人生

ユミルの人生については第89話「会議」で語られます。ユミルはもともとマーレ国で名前すらない物乞いの子どもでした。ある日、宗教団体に連れて行かれ、偽りの神「ユミル」として崇められていました。マーレ当局に見つかり、世界に憎まれ石を投げられます。そして、宗教団体のメンバーと共に楽園送りにされるのです。約60年、無垢の巨人として眠っていたユミルは「顎の巨人」の保持者マルセルを捕食したことで人間として復活します。壮絶な人生を過ごして再び生きる力を得たユミルは人を超える存在とも言えます。マーレ国、世界の情勢を知りつつもパラディ島で兵士として生きる姿は並大抵の精神力ではありません。

ここまでの話で影の存在として目立った発言や活躍はありませんでした。それによってユミルが重要人物だったことの衝撃も大きいですし、読み返すと表情の見え方や発言、行動の意味が違って見えるのも面白い要素です。

ユミルのキャラクター考察についてはこちらで語っています。

ユミルがクリスタを守る理由

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

ユミルは発言と本心が違うというのも意味が分かると深いです。

クリスタがユミルに対して「何で…私にそこまでするの?私の…生まれた家と関係ある?」と問いかけます。

このクリスタの質問は、クリスタが王家の一族であることを知った上で利己的な理由で自分を守っているのではないか?ということです。

ユミルは「私がここにいるのは全て自分のためなんだ」と答えます。

ユミルはクリスタを守ることはクリスタ本人の為でもあるのですが、それ以上に自分のがしたいからしているのです。その「したいこと」というのはクリスタを守り、幸せになれるように尽くすことがユミルの「したいこと」なのです。その本心を隠してここでは、これは自分のためなんだ、私利私欲なんだ、とクリスタに伝えているという場面です。

リヴァイの怪我

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

現在のリヴァイは怪我による戦線離脱を強いられています。

リヴァイの怪我は第30話「敗者たち」にて巨大樹の森で女型の巨人からミカサを助けた時の代償です。その経緯があるためリヴァイはミカサに「もうしくじるなよ」と警告しています。

エレンが「…?」と「何のことだ?」という反応になっているのはエレンは当時、気を失っていたからです。ミカサがエレンを助けるために命令を聞かずに先走り、挙げ句にリヴァイが負傷したという経緯を知らないようです。

別の見方をすると、この怪我で物語の展開に変化があったとも言えます。リヴァイは最強キャラであまりにも強すぎるため、ストヘス区での女型の巨人戦や獣の巨人襲来などリヴァイがいればまた違った展開になったでしょう。そう考えると物語の進行上の計算された演出であったと言えます。

「怒り」の感情

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

巨人の硬質化能力で壁の穴を塞げば、エレンの家の地下室へ行けるという結論が出ます。ハンジから「それってできそう?」と聞かれますがエレンは困惑します。リヴァイが「やれ…やるしかねぇだろ」「必ず成功させろ」と言われます。

エレンは「オレが必ず穴を塞ぎます!」と答えます。その際に「そうすりゃわかるだろう…この怒りの矛先をどこに向ければいいかが…」と語ります。エレン自身の能力がどこまで使えるのか、という不安もありつつ、怒りを持っていることが分かります。

エレンはずっと怒り続けているキャラクターです。巨人に自由を奪われたこと、アニが巨人だったこと、父親が巨人について隠していたことなども含めてエレンはずっと怒りを抱いています。

第8話「咆哮」にてエレンが初めて巨人化した姿を見てミカサは「その光景は人類の怒りが体現されたように見えた」と語っています。

エレン本人も第84話「白夜」の中で「母さんの仇とか…巨人を殺すこととか…何かを憎むことしか頭になくて…」語っています。以前はアルミンとともに海を見行く夢を見ていたエレンですが、巨人襲来後は怒りの感情に支配されることが多くなっていました。巨人を駆逐する決意や初めての巨人化場面などでエレンの怒りの感情が爆発している様子が分かります。

諫山先生のインタビューでも語られています。

連載当初のエレンは怒りを原動力にしていました。このエレンが抱えていた怒りというのは、壁の中から出られないことに対する怒りや不満なんです。母親を殺された怒りも、理不尽なもの、抑圧に対する反発から湧き上がる怒りだったんですよ。(諫山創、進撃の巨人 ANSWER、講談社)

 

アニメ改変

エレンの怒りの感情についても「怒りの矛先をどこに向ければいいかが…」のセリフはカットされています。代わりに「俺ん家の地下室だ。親父の言葉が本当ならそこにすべての答えがあるはずだ」と真実を知るための意思が強調されます。

さらにリヴァイのミカサへの警告はアニメではエレンへの警告に改変されます。リヴァイは「自分を抑制しろ、怒りに溺れて本質を見失うな、今度こそしくじなるなよ」語ります。それを聞いてエレンは「はい!」と返事をします。

小ネタ

銃を持つリヴァイ

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

負傷したリヴァイがニック司祭を監視しています。調査兵団が銃を持っているのは珍しいですね。

ハンジのキャラ描写

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

ハンジさんが焦っている場面で注目のシーンがあります。ニック司祭に対して「時間がない!!わかるだろう!?話すか黙るかハッキリしろよ、お願いですから!!」と敬語と命令口調が入り混じっている場面です。これまで巨人の研究に興じるマッドサイエンティスト的な謎めいたキャラクターでしたが、感情的な面もこの話から見えてきます。

進撃の巨人37話『南西へ』の感想・ネタバレ

進撃の巨人37話『南西へ』の感想動画

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