【進撃の巨人】第55話『痛み』考察・解説・感想【ネタバレ】

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進撃の巨人55話『痛み』のあらすじ

5日前、王都で総統局に収集されたエルヴィンは、王政の利己的な態度に絶望する。
エルヴィンはピクシス司令と密会し、自身の父親の仮設と夢を話り、王政の転覆協力を打診する。

ハンジ・リヴァイは、中央第一憲兵のサネスたちを拷問。
その末に「レイス家が真の王家」という情報を引き出す。

【時期】850年
【場所】パラディ島

進撃の巨人55話『痛み』で発生した伏線・謎

Qエルヴィンの読み「その叫びの影響を受けるのは巨人に限ることではないかもしれない」
(14巻55話)

A
(31巻123話)

Qエルヴィンが父親にした質問とは?
(14巻55話)

A
(21巻85話)

Qエルヴィンの父親の仮設「壁内人類は記憶を改竄された」とは?
(14巻55話)

A
(16巻63話)

関連進撃全話の伏線・謎まとめ

残された謎

Q
(14巻55話)

A
(巻話)

進撃の巨人55話『痛み』で解決した伏線・謎

進撃の巨人55話『痛み』の表現・対比

進撃の巨人55話『痛み』の考察・解説

進撃の巨人55話『痛み』の考察・解説動画

サブタイトル『痛み』の意味

エルヴィンの回想で明らかになる幼少期の心の痛み。
サネスが拷問で受ける体の痛み。
関連進撃全話のサブタイトルの意味を考察

ポイント(作成中…)

エルヴィンとピクシスの会話

冒頭でエルヴィンとピクシスがクーデターのことについて会話をしています。

ここではピクシスがクーデターを起こすことがいかに危険なことであるか説明しつつ、武力によるクーデターには否定的な態度を示します。エルヴィンはクーデターを起こす必要性と武力を行使するつもりはないという話しています。

会話の内容について詳細を見てみましょう。

市民にとっての王

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

市民の心の支えとなっているのが王様の存在です。

「過酷な状況下にもかかわらず暴動は起こらない。それは王も役人も民衆も同じ壁に追い詰められた運命共同体だからだ。争いを起こすことはこの世界では滅亡を意味することなる。」

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

「中でも2000年以上も続くとされる王家の血筋は人類の繁栄の象徴としての役割を担っている。この壁に人類が追い詰められる前から世界を統治した王…」「その尊い存在が人々の心の支えになっている」とピクシスは語ります。

王様が壁内の人類にとって心の支えになっていることを踏まえると、これから起こるクーデターがいかに重大なことか分かります。

107年とは?

引用:TVアニメ「進撃の巨人」

ピクシスが頭を抱えて語っています。

「いつか来る日が来ると思うとった」「王が壁の外に興味を持つことを御法度とし107年」「この狭い世界の中に人を留め続けることに限界を迎える日が…」

この107年については漫画とアニメでそれぞれ言及されています。

第2話「その日」でも兵士が「周知の通り今から107年前我々以外の人類は…皆」「巨人に食い尽くされた」と語っています。

そして、アニメ#13「原初的欲求」の現在公開可能な情報によると以下のように書かれています。

巨人との戦いの歴史①

確認できる最古の記録では、107年前に巨人が出現されたとされている。ほとんどの人類は巨人によって食い尽くされた。

※アニメのナレーションでは「今から100年以上前…」と語られています。

エルヴィンの父親が暗殺された過去

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

エルヴィンの父親は教師でした。エルヴィンは父親から授業で歴史を習うのですが、それは壁内で教えられている歴史、つまり王政による歴史書に基づいた内容でした。

その内容は「人類は壁の外から逃げ込んできた、歴史を示すものは一切持ち込めなかった」ということです。この壁に人類が逃げ込んだ際、それまでの歴史を示すようなものは何一つ残すことができなかった。人類の大半は失われ、住処はわずかにしか無くなったが、争いの絶えなかった時代と決別できた。

この歴史は壁内の人類であれば誰もが教わることのようです。

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

「我々はこの壁の中で理想の世界を手にしたのだ」と聞いたところでエルヴィン少年はあることを疑問に思い質問します。

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

今回の話では「先生」と挙手するエルヴィン少年のと後ろ姿が描かれるだけで、質問した内容が明かされていません。

第85話「地下室」でエルヴィンの質問の内容が分かります。

「壁の外に人類がいないって」「どうやって調べたのですか?」と聞いています。

それは壁の外に巨人がいて進出できないなら人類がいないことも調べられないとエルヴィン少年は賢いので気づいたのです。しかし、教員である父親は教室では回答しませんでした。家に帰った後に父親に話を聞くと、王政の配付する歴史書には数多くの矛盾があるということを知らされます。

そして、文献がなくても壁に入ってきた世代が子共に歴史を語り継ぐことができるはずなのに、それをしていません。むしろ、次世代へ情報を完全に受け継がないことなんて不可能だ、ということを父親が語ります。

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

その話を聞いたエルヴィン少年は、「突拍子がないと感じながらも、なぜこの話が教室で話さなかったのか察するほど賢くはなかった」と語ります。

街の子供達にその話をして憲兵に尋ねられた日、父親は事故死という形で王政により暗殺されたのです。この憲兵は中央憲兵のサネスです。中央憲兵はこのようにエルヴィンの父親みたいな壁の秘密に近づく人間を殺していることが分かります。

エルヴィンの父親の仮説

エルヴィンの父親はある仮説を唱えていました。

「今から107年前、この壁に逃げ込んだ当時の人類は王によって統治しやすいように記憶を改竄された」

記憶改竄と聞くと突拍子もない話に思えますがこの仮説を裏付ける出来事が起こります。エレンやライナーたち巨人になれる人間が現れたこと、ラガコ村の住民が巨人にされたこと、さらにエレンが巨人を操る姿を目の当たりにしたこと、アニが叫びの力で巨人をおびき寄せる姿も見ています。

これらのことから、人が巨人となり巨人が操れるのであれば人も操れるのではないか。そして、人が操れるのであれば記憶も改竄できるのではないか、とエルヴィンは考えています。

エルヴィンの人生の使命

「いつの間にか父の仮説は私の中で真実となり、私の人生の使命は父の仮説を証明することになりました」

エルヴィンの個人の目標は、人類が記憶改竄されたのか?という父親の仮説を確かめたいということです。さらにそれを知るためには自分自身が生き残ることも重要です。

一方で、エルヴィンは個人の目標のためだけに動いているわけではありません。公的な面でも目標を持って行動をしています。調査兵団団長としての公的な役割としては以下があります。

  • エレンを狙う中央の人々の脅威を排除
  • 壁内に残っている敵がいれば戦う
  • ウォール教、レイス家から壁の真実を知る
  • 調査兵団の解体を防ぐ

王政編全体で見る王政打倒作戦

これまでの流れで王政打倒の必要性が分かります。では、具体的にどうするのか?王政編全体で作戦を見てみると大まかに4つあります。

  1. エレン、ヒストリアを守る(リヴァイ班)
  2. レイス家に近づく(リヴァイ班)
  3. 王政にクーデターを起こす(エルヴィン)
  4. ヒストリアを王にする(エルヴィン)

エレンとヒストリアを守り、レイス家に近づく作戦は104期たちリヴァイ班に任せています。

エルヴィン側はもう少し内部に踏み込める立場なのでクーデターを起こし、ヒストリアに王位継承をやろうとしています。

その途中で作戦の妨げになる中央憲兵とのバトルを適宜行っていく、リーブス商会やトロスト区の住民を味方につけて王政打倒を有利に進めていく、というのが全体像です。

今回、重要なポイントなのは「王政打倒を企てるのに必要な根拠」を得ることでエルヴィンが突破口を見出すということです。

エルヴィンとピクシスが会話している所でニファが手紙を届けに来ますが、そこにはレイス家が真の王という内容が書かれています。時系列で数時間前とあるようにハンジとリヴァイの拷問の末、サネスが「レイス家が真の王だ」と白状します。

「殺し合わずに王の首をすげ替えることは可能です」「ヒストリア・レイスを女王に即位させれば…」

レイス家が本当の王家という情報を受け取り、ピクシス司令にも共有できたので活路を見い出せたように思えますがこのあと、ロッド・レイスや王政が邪魔をしてきます。これらが王政編の流れです。

主人公が正義なのか?

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

王政編では「正義と悪」は簡単に決められないという視点も見所です。

「進撃の巨人」の世界は壁の外から来たキャラクターが悪であり、敵になる場面がありました。王政編では安全なはずの壁の中に敵がいたという部分で大きく流れが変わってきます。

エルヴィンが「自分達の権利が脅かされるのならばその相手が巨人でなく人間であっても区別なく排除する」と語ってるように、王政の役人などは自己保身のために不正を働くような悪人です。

一方で、自分なりの正義のために行動している敵もいます。今回、拷問を受けてる中央第一憲兵のサネスです。

サネスの信念

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

中央第一憲兵の兵士、ジェル・サネスはニック司祭を拷問して殺した人物です。そのサネスがこんなこと言ってます

「仕方ないんだ!!正義のためだ!!そう思えりゃ全てが楽だ!!自分がすごい人間になれたと思えて気分が高揚するだろ!?」

「俺には…王がいる…何年も…仲間と一緒に王を守ってきたんだ…俺はこの壁の安泰と…王を…信じてる…俺達のやってきたことは…間違っていないと…」

サネスは壁の王が平和をもたらしてくれると信じています。第69話「友人」で王に心酔するサネスが描かれます。王を信じているからどんな仕事でもこなしていける、とも語っています。

「おれを嬲り殺しにしてくれ…それが…俺の血に染まった…人生のすべてだ」

罪を認めたサネスが王と仲間のために拷問に耐え続け、失禁している描写は見るに耐えません。

サネスの回想

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

「下手に利口な教師から…王を脅かすような銃を作ってやがったじじい共も…、空を飛ぼうとした馬鹿な夫婦も…、田舎の牧場にいた売女も…!」「みんな殺した」とサネスは語ります。

1コマ目の男性はエルヴィンの父親です。この頃のサネスは若く、人を拷問して殺す中央憲兵の仕事にまだ慣れていないのでしょう。戸惑いの表情をしています。

3コマ目の気球に乗ろうとしている夫婦はアルミンの両親です。

4コマ目の田舎の牧場にいた売女はヒストリアの母親のことです。ケニー・アッカーマンがヒストリアの母親を殺害する場面にサネスもいたことが分かります。

アルミンの両親について

引用:TVアニメ「進撃の巨人」

漫画のアルミンは両親は口減らしのために殺されたと思っている設定でした(第15話「個々」)。

諫山先生がアルミンの両親についてインタビューで語っています。

「アニメでは気球を作ったことになってますが、マンガでは描く機会がありませんでした。」

(諫山創、「進撃の巨人 キャラクター名鑑」、講談社)

※アニメ#5「初陣」にてアルミンが「これは内緒なんだけど今度、お父さんとお母さんが外の世界に行くんだって」「僕達もいつか外の世界を探検できるといいね」というセリフがあります。この場面から空を飛ぼうとした夫婦がアルミンの両親だったことが分かります。

進撃の巨人55話『痛み』の感想・ネタバレ

進撃の巨人55話『痛み』の感想動画

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