【進撃の巨人】第38話『ウトガルド城』考察・解説・感想【ネタバレ】

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進撃の巨人38話『ウトガルド城』のあらすじ

巨人出現より9時間(ラガコ村)

南班のコニー・ライナー・ベルトルト達は、コニーの故郷ラガコ村にて、生き残った人を探す。
しかし生存者は見つからない。唯一残っていた「動けない巨人」がコニーに「オアエリ」とつぶやく。

巨人出現より9時間(ウォール・ローゼ南側の東防衛戦)

駐屯兵団第1師団精鋭部隊のリコ達は、東防衛戦を構築。
巨人を順調に駆逐していく。

巨人出現より9時間(ウォール・ローゼ南側を出た対策部隊)

駐屯兵団ウォール・ローゼ対策部隊のハンネス達は、壁沿いを走る。
巨人出現の原因となった壁の穴を探すが、見つからない。

巨人出現より11時間(ウォール・ローゼ南側から壁沿い)

南班のコニー・ライナー・ベルトルト達は、ラガコ村を出て、壁沿いに穴を探す。
しかし穴が見つからないまま、クロルバ区から壁沿いに進んできた西班のユミル・クリスタたちと遭遇。
そのまま南班と西班は合流し、ウトガルド城跡にて休息を取る。

巨人出現より17時間(エルミハ区から南下)

ハンジ・エレン・アルミン・ミカサ達は、ニック司祭から聞いた鍵となる少女「クリスタ」のもとを目指す。

【時期】850年
【場所】パラディ島

進撃の巨人38話『ウトガルド城』で発生した伏線・謎

Qラガコ村に巨人が1体だけで、生存者どころか死体もない
(9巻38話)

A
(27巻110話)

Qコニーを心配するライナーの態度。それを見るベルトルトの目線
(9巻38話)

A
(10巻42話)

Qコニーの「巨人が母ちゃんに似ている」という言葉を遮るライナー
(9巻38話)

A
(10巻42話)

Qコニーの「巨人が母ちゃんに似ている」という想像をはぐらかす104期生ユミル
(9巻38話)

A
(10巻42話)

Qユミルが缶詰の文字「ニシン」を読めた理由は?ライナーの反応は?
(9巻38話)

A
(10巻42話)

Q月夜で動く巨人の正体は?何故動ける?
(9巻38話)

A
(23巻93話)

Qコニーが「サル」を知らないで「獣」と呼ぶ理由は?
(9巻38話)

A
(34巻135話)

Qライナーとベルトルトが「獣の巨人」を見る表情
(9巻38話)

A
(34巻135話)

関連進撃全話の伏線・謎まとめ

残された謎

Qウトガルド城は昔どんな場所だったのか?
(9巻38話)

A
(巻話)

Qウトガルド城の食料は何故あった?
(9巻38話)

A
(巻話)

進撃の巨人38話『ウトガルド城』で解決した伏線・謎

進撃の巨人38話『ウトガルド城』の表現・対比

進撃の巨人38話『ウトガルド城』の考察・解説

進撃の巨人38話『ウトガルド城』の考察・解説動画

サブタイトル『ウトガルド城』の意味

壁の穴が見つからず、兵士たちは「ウドガルド城」で夜を明かすことにする。

関連進撃全話のサブタイトルの意味を考察

状況整理

第35話「獣の巨人」で状況整理をしましたが、そこから話が展開しているので再び状況を確認します。調査兵団たちが「想定していることしていること」と「実際に起きていること」が異なるので複雑です。地図はこちらをどうぞ。

想定していること

  • ウオール・ローゼの壁に穴が開けられている
  • 住民が巨人に襲われている
  • 夜は無垢の巨人が襲ってこない

実際に起きていること

  • どこにも壁に穴は空いていない
  • 村人が巨人になっていた
  • 夜でも巨人が襲ってくる

南班と西班が合流→休息

南班がラガコ村でコニーの母巨人を発見した後、壁の穴探しを始めます。西班も同様に壁の穴探しをします。2班がそれぞれえ壁に沿って穴探しをするが穴は見つからないまま合流、たまたま見つけたウトガルド城で休息を取ります。

駐屯兵団精鋭部隊は巨人討伐

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

早馬で報告を受けた駐屯兵団は精鋭部隊がウォール・ローゼ内の巨人を迎え撃ちます。

駐屯兵団対策部隊(先遣隊)

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

対策本部としてハンネスと部下のフィルが壁の穴の調査に向かいます。駐屯兵団はこれまでの巨人襲来時に比べて巨人の数が少ないことに違和感を感じます。これはトロスト区防衛戦あたりの巨人の数と比較して少ないと言うことです。初めて壁が壊された時は「女型の巨人」が叫びの力で無垢の巨人たちを引き連れながら襲撃しました。そのため、壁外の無垢の巨人が大勢集まっていたのです。その無垢の巨人たちはウォール・マリア内に侵入しているので、仮に壁に穴が開けられたのなら人間を捕食するためにウォール・ローゼ内に大量になだれ込んで来るはずなのです。今回、実際に起きているのはラガコ村の住人だけが巨人にされたので数はそれほど多くないのです。

南班がラガコ村で見たものは…

誰もいない村

ラガコ村は家屋が破壊され、村人が誰もいない状態です。巨人に襲われたにしては死体や血の跡がない、逃げたとしても馬は繋がれたままというのも謎です。「俺の故郷はどこにも…なくなっちまった…」と嘆くコニーの姿が切ないです。

「オアエリ…」

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

コニーは家に巨人が横たわっているのを見て驚きます。この時点ではこの巨人が母親だとは思っていません。しかし、その巨人が去り際に「オ…アエリ…」と声をかけたことでコニーはその巨人がもしかして、母親なのではないか?という思いがよぎります。

ライナーは兵士?戦士?

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

ラガコ村のライナーの言動はライナーの正体を知ってから見返すと違う見え方します。ライナーは「兵士」なのか「戦士」なのか?

「兵士」であるならば故郷を失くし、悲しみに暮れるコニーを哀れんでいる様子です。コニーが巨人を母親なのではないか?と疑いだす場面でライナーはコニーに対してこう語ります。

「コニーお前は今がどんな状況かわかっているのか。今の俺達の働きが何十万人もの命に直接影響しているのだぞ。それともありえない妄想でもしている方が大事なのか。考えるなら今避難しているお前の家族のことだろう。兵士なら今最善を尽くせ」とコニーに対して捲し立てます。

この発言はコニーの「なんか…母ちゃんに(似てる)」という部分を言わせないよう被せています。兵士としてライナーはコニーが余計な不安を募らせて取り乱さないように希望を捨てずに家族を探すべきだ、と鼓舞しているように感じます。コニーもその言葉を聞いて我に返り「その通りだ!!」と馬を走らせます。

一方で「戦士」であるならばコニーの母親が巨人にされたことを気付かされないように否定するために話を遮っているように見えます。

ベルトルトの視線

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

ラガコ村での場面はコニーとライナーの会話に目が行きがちですが、ベルトルトの視線にも注目です。ライナーがコニーを心配しながら見ていますが、その後ろでベルトルトも視線を送っています。

一見、コニーを心配しているように見える表情ですが、この二人がマーレの戦士という正体を知った上で見返すと、ライナーに視線を送っているように見えます。

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

ラガコ村を去る時も同様です。ベルトルトがコニーを心配している視線にも見えますが、やはりライナーを見ているように見えます。ライナーが兵士モードになっていることで、ライナーは正気なのか?という気持ちを感じます。

ユミルの優しさ

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

ウトガルド城でユミルがコニーに対して「コニー…ラガコ村はどうだった」と聞きます。コニーが「壊滅した」「でも誰も食われてない」と言います。村は壊滅したが食われた跡がないことを伝えます。この時のユミルが「…」汗をかきながら無言になります。

その後にコニーが「ずっと気になっているのが…俺の家にいた巨人だ。自力じゃ動けねぇ体でなぜか俺の家で寝てやがった…」「そんでよぉ…そいつがなんだか母ちゃんに似てたんだ…」「ありゃ一体さ」と深刻な表情で語った場面でユミルは突然、笑い飛ばします。

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

「バッカじゃねぇーの」(中略)「お前バカだって知ってたけど…こりゃ逆に天才なんじゃねぇか!?」

ユミルは気持ちを正直に話すタイプで人に嫌われることを恐れていません。この母親が巨人かもしれないという話についても「お前の母ちゃん巨人だったのかよ!?じゃあなんでお前はチビなんだよ」とその後も冗談を言い、大げさに笑い飛ばしコニーを怒らせます。

ユミルの生涯を知ってから見ると、これは全てユミルの優しさだったという場面です。コニーが真相に気づく前に全てを知るユミルが冗談で話を流しているのです。

この優しさはユミルだからこそできた表現でしょう。気持ちに寄り添うとか励ますとかそういった優しさの種類ではなく、いつものユミルがいつもの冗談でコニーの不安な気持ちを取り除いてあげる、という場面です。

ユミルはマーレ国時代に自分や仲間たちが楽園送りになった経験があります。エルディア人が巨人になれる人種であり、それを悪用する存在がいることも知っているのです。コニーの村が壊滅したが巨人に食われた跡がない、という時点で全てを悟っていたということでしょう。

ユミルとライナー

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

ユミルとライナーの探り合いにも注目です。

ライナーがユミルにこう言います。

「…コニーの村の件だが…お前…わざと…はぐらかしたよな?」「できればその調子で続けてほしい…。あいつが…家族のことで余計な心配をしないように…」

ユミルはそれに対して「何の話だ?」とシラを切っています。

この一連のやり取りは二重の意味を含んでいます。ライナーとしてはユミルが何を考えてあの発言をしたのか?巨人についてどこまで知っているのか?疑心暗鬼になっている様子にも見えます。ユミルとの会話で「…」がやたらと多いのは、ユミルに探りを入れてる様子にも感じられます。

ユミルの「何の話だ?」は一見、コニーのための演技だと悟られたくない気恥ずかしさに見えます。しかし、ライナーがマーレの戦士であり、ユミルがマルセルの「顎の巨人」を食った知性巨人であることを踏まえて見ると違って見えます。ライナーから巨人について何か知っている人物なのか?と疑いを掛けられている場面なのです。その質問に対してユミルがシラを切るという高度な心理戦が繰り広げられているのです。その後、ユミルはすぐに話題を切り返します。

ニシンの缶詰

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

ユミルが缶詰の文字が読めてしまう場面も連載当時、話題になりました。

ユミルの何気ない一コマです。

「こりゃいけそうだ。鰊は好みじゃないが…」「…!」

ライナーの「他にもあるか?見せてくれ」の言葉に目のコマと「…」と沈黙して考えてから「ほらよ」と缶詰を渡します。

ユミルの心境としてはつい気が緩み缶詰の文字を読んでしまった…、という状況でしょう。この缶詰をライナーに渡してもいいものかと一瞬、悩んでいる部分が「…」で表現されています。ここは一か八かで「ほらよ」と渡しているのかもしれません。

さらにニシンは海水魚であることもポイントです。「鰊は好みじゃないが…」の部分はニシンを知っている発言であり、海を知っているということになります。海を知らない壁内人類として整合性が取れなくなります。

缶詰を見たライナーは語ります。

「…何だこの文字は?俺には読めない」「『にしん』って書いてあるのか…?」「お前…よく…この文字が読めたな…ユミル」

ライナーはなんで読めるのか?とカマをかけています。ここはライナーが兵士でも戦士でも成り立つ会話です。

兵士だとしたら自分が読めない文字を読めるユミルは凄いな。なんで読めるんだ?という純粋な疑問とも取れます。

一方でライナーが戦士だとしたら、コニーの母親の件も何か知っているのではないか?という疑いがある上でマーレ国の文字が読めるユミルを問い詰めている様子です。兵士と偽っている状態の戦士ライナーは文字が読めないフリをしています。

ライナーの表情もよく見えないのでライナーが「兵士」か「戦士」かどちらとも捉えられる表現です。いずれにせよ、このシーンの面白さはマーレ国にいた2人が壁内人類のフリをお互いにしている、というすれ違いコントのような状況です。

ウトガルド城

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

調査兵団たちは偶然見つけたウトガルド城で休息を取ります。そして、城内には食料などが取り残されていることから、ならず者が根城にしていたのではないか?と考えます。これらの食料は威力偵察に来たジークたちマーレ兵が置いて行った物です。

瓶を見つけたゲルガーたちの発言が注目です。

「こんなものまであったぞ…ん…何て書いてんだ?」と発言します。リーネも「そりゃ酒かい?」と訪ねます。

また、この場面から調査兵団たちはラベルの文字が読めないことが分かります。マーレ国とパラディ島は言語は同じであるが、書き言葉は違うようです。この「文字が読めないパラディ島民」という前提が後の「文字が読めるユミル」は何者なんだ?という謎に繋がります。

ちなみに、この威力偵察というのはラガコ村の住人をジークの脊髄液入りのガスで巨人化する実験的攻撃です。この件についてはマーレ編の第109話「導くもの」でファルコが語り、第110話「偽り者」でジークが語っています。

アニメの追加描写

引用:TVアニメ「進撃の巨人」

アニメ#29「兵士」のウトガルド城の場面でコーヒーを飲んでいた形跡が差し込まれています。パラディ島にはコーヒーはなかったこと、第77話「彼らが見た世界」でジークがコーヒーを飲んでいる場面がることからこれらはジークたちの物だったということが分かります。

「獣の巨人」を見たときの表情

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

「獣の巨人」を見た時の反応がそれぞれのキャラクターで異なっているのも注目です。

初めて見る「獣の巨人」に対してコニーが「なんかありゃ獣じゃねぇか」「なぁ?」と同意を求めます。ここでライナーとベルトルトはなんとも言えない表情を作っています。

ベルトルトは「戦士長であるジークが来た。なぜだ?迎えに来たのか?」という状態でしょう。目が見開いて汗をかいている表情は焦っているようにも見えます。始祖奪還作戦が順当に進んでいないので引け目もあるでしょう。一方で口元に注目すると、口角がやや上がっているようにも見えます。戦士長自ら援軍に来てくれたという喜びや「故郷に帰れるかもしれない」という期待の感情にも見えます。

ライナーについては、また違う複雑さがあります。兵士モードのライナーであれば困惑や驚きの感情、戦士モードのライナーであればベルトルトと同様の感情でしょう。兵士から戦士へ切り替わるタイミングであればマーレの戦士としての使命を思い出した、という表情にも見えます。

ユミルはマーレ国や知性巨人の存在を知っているはずなので、マーレ国から新たな知性巨人が送られてきたことに驚いているのだと思います。

一コマの中でも、それぞれのキャラクターの表情で異なる心理描写がうかがえます。

進撃の巨人38話『ウトガルド城』の感想・ネタバレ

進撃の巨人38話『ウトガルド城』の感想動画

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35話『獣の巨人』
36話『ただいま』
37話『南西へ』
38話『ウトガルド城』

1 COMMENT

ただの進撃ファン

進撃の巨人の漫画の9巻の「ウトガルド城」のゲルガーと104期の5人が暗闇の中、穴の位置を特定しようとして、反対側から回ってきたナナバさんたちと出会うところ(ゲルガーが「おかしくなりそうだ」って言ってる次のページ)のとこの、真ん中に160、161と書かれてるんですけどこれって伏線なんですかね?、調べても出てこなくて、何度も見間違いかなと見直すんですけどあるんですよね、気になって夜も眠れません(( というより怖すぎて死にそうです((

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