【進撃の巨人】第17話『武力幻想』考察・解説・感想【ネタバレ】

タキ

XYouTube もやってます。

進撃の巨人17話『武力幻想』のあらすじ

849年、訓練兵団入団から2年後の話。

【時期】849年
【場所】パラディ島トロスト区

進撃の巨人17話『武力幻想』で発生した伏線・謎

Qライナーの「俺達は兵士だろ」発言
(4巻17話)

Aライナーは「マーレ国の戦士」だった。訓練兵団時代のライナーは「兵士」として、現実と折り合いをつけていた時間が長かったと推測される。
(10巻42話)

Qアニの「兵士ごっこに興じれるほどバカになれない」発言。ライナーに怒りの顔を見せた理由
(4巻17話)

Aアニは「マーレ国の戦士」だった。兵士として現実逃避しているライナーに怒り、非難しているようにも思える。
(巻話)

Qアニの父親はどんな人?アニの格闘術は?
(4巻17話)

Aアニの父親は他国からやって来たマーレ国のエルディア人。名誉マーレ人として良い暮らしをするために、アニを戦士に育てた。他国の格闘術だったので、パラディ島民にも通じやすかった。
(31巻125話)

Qジャンの恋心②(ミカサに好かれているエレンに「うらやましい」発言
(4巻17話)

Aジャンは最後までミカサに寄り添った
(34巻139話)

関連進撃全話の伏線・謎まとめ

残された謎

Q訓練兵時代の成績が良いほど、内地に近づけるのは何故?
(4巻17話)

A強い兵士を、王政府の護衛に当てるのは、自然な考え。うがった見方をすると「調査兵団に活躍されすぎたら困るので、上位10名だけが憲兵団に行ける(優位性)」というレイス家の判断・仕組みづくりかもしれない。
(巻話)

進撃の巨人17話『武力幻想』で解決した伏線・謎

Qエレンの対人格闘術の成績が2位だった
(1巻3話)

Aミカサはアッカーマンで、身体能力が異常値であるために1位。エレンは強い目的意識と、アニから教わった格闘術が評価につながった。
(4巻17話)

進撃の巨人17話『武力幻想』の表現・対比

進撃の巨人17話『武力幻想』の考察・解説

進撃の巨人17話『武力幻想』の考察・解説動画

サブタイトル『武力幻想』の意味

武力に対する幻想が暴かれる。
巨人に対抗する力が高まるほど、内地にいく矛盾。
アニ父の現実離れした理想への皮肉。
関連進撃全話のサブタイトルの意味を考察

ストーリーの流れ

今回の話の流れです。今回のストーリーは時系列通りの流れになっています。

  1. エレンがライナーに「俺達は兵士だろ」と励まされたり、アニに格闘術を食らう(訓練場)
  2. エレンが格闘術をジャンに食らわせます。それをアニが見ている(食堂)
  3. 翌日、ジャンに変化。アニが心を開くがエレンは気づかない(訓練場)

ジャンの変化

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

ジャンは次の話である4巻第18話「今、何をすべきか」で最も成長が見られる人物です。今回の話ではその予感として変化が見られます。 ジャンはエレンと対象的な人物として描かれています。訓令兵として優秀な成績の者が巨人から遠い内地に行くという現状に対して抗う気はありません。むしろ「オレのためにもこの愚策は維持さえれるべきだ」と語ります。一見、自分勝手な嫌なヤツ風ですが、現実世界で考えると命を脅かすリスクを避けることは当然です。ジャンは正直な普通の人間なのです。

エレンと喧嘩するジャン

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

エレンとジャンが言い争いを始めます。きっかけはミカサの髪が短くなっていることでした。ジャンが褒めた美しい黒髪はエレンの一言で短く切られてしまったのです。ジャンは「ふざけんなよてめぇ…!!」と掴みかかりますがエレンは困惑しています。 エレンの「服が破けちゃうだろうが!!」に対しても「どうでもいだろうが!うらやましい!」と涙目で言っています。完全にミカサと仲良しなことが羨ましいと言う気持ちが溢れてしまっています。

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

そして、エレンが習得した対人格闘術で倒されてしまいます。さらに「楽して感情任せに生きるのが現実だって?」「お前…それでも兵士かよ」という言葉が刺さるのです。その翌日、ジャンは対人格闘術の訓練を真剣に行うようになるのです。

マーレ戦士の伏線

マーレの戦士が潜入していたことが分かった上で今回の話を見ると見え方が違って面白いです。

アニ

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

格闘術を披露するアニですが、その戦闘スタイルに伏線があります。

格闘技において顔面をガードをしながら攻撃することは重要ですが、ここでアニがガードしているのは巨人の急所である「うなじ」なのです。

アニが父親と訓練をしてる回想シーンでも同様です。巨人化する前提で格闘訓練をしていたというのが驚きです。この戦闘スタイルは6巻第23話「女型の巨人」でジャンの「うなじを守りやがった」というセリフと共に描かれているので勘の良い読者の方ならこの時点で「女型の巨人」がアニだということに気づいたかもしれません。 アニについては解説動画もあるのでこちらをどうぞ(※31巻第124話「氷解」までのネタバレを含みます)。今回の構図と同様な構えと足技の構図が8巻33話「壁」で描かれています。

ライナー

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

冒頭でライナーが兵士とは「守る対象が脅威に晒された時その間に入って盾にならなければならない」と語ります。この「盾」というのは「鎧の巨人」の役割として重要な意味を持ちます。23巻第92話「マーレの戦士」にてマーレ国の作戦として「獣(ジーク)が矛となり、鎧(ライナー)が盾となるのだ」という言葉があります。「鎧の巨人」はその名の通り、巨人の中でも最も頑丈なため守備的な役割も多いのです。

24巻第95話「嘘つき」でも「『鎧の巨人』は硬質化に特化した巨人だ」「マーレの盾となり攻撃を引き受ける巨人には…まぁ我慢強いライナーが合っている」と言われています。この話はマーレ戦士たち幼少期の話なので継承時から教え込まえれていたのだと予想できます。 ライナーにとって自分の役割である「盾」という言葉が思わずエレンの前でも出てしまった…そんな場面に見えます。

「兵士ごっこ」

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

「この下らない世界で兵士ごっこに興じれるほどバカにはなれない」

このアニのセリフも2面性があることが分かります。 訓練兵で良い成績を残した者ほど憲兵団として巨人のいない内地に行くことに矛盾があるのではないか…ということをアニがエレンに語っていました。それを踏まえると、このおかしなシステムの中で一生懸命に訓練することを「下らない世界の兵士ごっこ」と表しているのだと思わされます。

一方で、マーレ戦士としての視点で考えるとこのセリフはそのままの意味で捉えれるのです。かたやライナーはエレンに兵士について熱弁したあと「俺達は兵士だろ?」と語るのです。 この兵士に対するアニとライナーが対比的です。

心を開くアニ

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

エレンはジャンとの喧嘩でアニに食らった格闘術を使います。アニはそれを驚いた表情で見ています。エレンの理想を語りつつも実際に行動する姿を尊敬しているようです。そして、翌日…エレンとアニはジャンが真剣に訓練する姿を見るのです。

8巻第31話「微笑み」でアニは「大きな流れに逆らうって…とても勇気がいることだから尊敬するよ」「ただ単にバカなだけかもしれないけど…」と語っています。 エレンは「見よう見まねだがうまく決まったよな?」というエレンに全然駄目だと指摘します。

ここがアニのツンデレシーンです。「そんなにこの技が気に入ったんなら…」「教えてやってもいいけど?」 このセリフの間に嬉しそうな微笑みが可愛らしいです。アニが心を開いている様子です。

しかし、鈍感なエレンは「え?やだよ」「足蹴られんの痛いし」と答えます。

周囲ではヒョオオオオオオ…と風が吹いています。アニの背中も悲しげです…

進撃の巨人17話『武力幻想』の感想・ネタバレ

進撃の巨人17話『武力幻想』の感想動画

関連記事

14話『原初的欲求』
15話『個々』
16話『必要』
17話『武力幻想』
18話『今、何をすべきか』

コメントをするのは「自由」だ…