【進撃の巨人】第46話『開口』考察・解説・感想【ネタバレ】

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進撃の巨人46話『開口』のあらすじ

ライナーたちに誘拐されたエレンは、巨大樹の森で目を覚ます。
巨人化できる体力がないエレンは、怒りを押し殺しながら、ライナー達から情報を得ようと会話を始める。
その中で、ライナーの矛盾した行動の理由が明らかになる。
ライナーは「マーレ戦士」でありながら「パラディ島の兵士」を演じて生活するうちにどちらが本来の自分かわからなくなっていた。
ユミルはエレンに協力して脱走しようと考えていたが、クリスタ一人なら守ることはできるというライナー達の言葉に心を動かされる。
ユミルは、世界の秘密、敵の正体を知りながらも、再び口を閉ざしてしまう。

【時期】850年
【場所】パラディ島 巨大樹の森

進撃の巨人46話『開口』で発生した伏線・謎

Qエレンが母親が食われた時の話でベルトルトを責める
(11巻46話)

A
(34巻139話)

Qエレンの発言「お前らは ただの人殺しだ 何の罪もない人達を大勢殺した大量殺人鬼だ」
(11巻46話)

A
(33巻131話)

Qエレンの発言「お前らができるだけ苦しんで死ぬように努力するよ」
(11巻46話)

A
(25巻100話)

Qユミルの発言「言っちまえばせー」
(11巻46話)

A
(22巻89話)

Qエレンが、何だ「さる」って?と疑問を持つ
(11巻46話)

A
(22巻89話)

Qライナーがユミルに対して「この世界に先がない。だがクリスタ一人ならなんとかできるかもしれない」と協力を要請する
(11巻46話)

A
(22巻89話)

関連進撃全話の伏線・謎まとめ

残された謎

Q
(11巻46話)

A
(巻話)

進撃の巨人46話『開口』で解決した伏線・謎

進撃の巨人46話『開口』の表現・対比

進撃の巨人46話『開口』の考察・解説

進撃の巨人46話『開口』の考察・解説動画

サブタイトル『開口』の意味

秘密を知るライナーとユミルが口を開く。
エレンはライナーに「口を閉じろ」と命令されるが話すのをやめない。
ユミルはライナーの誘いを考慮して、一度は開いた口を閉ざす。
関連進撃全話のサブタイトルの意味を考察

三つ巴が面白い

巨大樹の森で休憩しているエレン、ライナー&ベルトルト、ユミルは思惑が違うというのがポイントです。

エレン

今すぐ逃げたい、けれど体が回復していない状況です。逃げるか、そもためにライナーたちを倒すか、と考えています。

ライナー&ベルトルト

2人は知性巨人であるエレンを連れて帰りたいと思っています。さらに、ユミルに奪われた「顎の巨人」も取り返そうと考えています。エレンが始祖の巨人を持っている可能性もあるので抵抗するエレンをなんとか言いくるめてマーレへ持ち帰りたいところです。

ユミル

ユミルは「クリスタと一緒にいたい」という願望があります。ユミルは2つの考えの間で揺れ動いています。1つ目はエレンと同様にライナーたちを出し抜いて逃げ出す。2つ目はライナーたちとマーレに着いて行く、ということです。この2つ目の考えはライナーの交渉により選択肢が生まれました。

この4人が共通していること

巨人化の能力はその保持者が万全の状態でないと十分に力を発揮しません。体力がなかったり、体の欠損や怪我があると不完全な巨人となってしまい、無垢の巨人が生存する区域では捕食されるリスクもあります。そのため、現状は体力回復のために休息することが必要です。

ライナーの交渉

「俺達の故郷に来てもらう」「大人しくしろって言って従うわけがないことぐらいわかってる」

ライナーはユミルに対してクリスタを引き合いに出して交渉します。

「お前はこの世界に先があると思うのか?」

「クリスタ一人くらいないなら俺達で何とかできるかもしれない」

パラディ島の人類は「悪魔の末裔」として世界から虐げられています。世界からいつ攻撃を受けるか分かりません。現在ではマーレ国から知性巨人が送り込まれ、壁が壊され壁内人類は危険と隣り合わせです。今後、また壁が壊されたら人類が巨人に食い尽くされるのも時間の問題です。

ユミルはマーレ国出身なのでこれらのことを知っています。さらに、パラディ島の人類が弱い立場にあるのは、この世界の現状を知らないという所にあります。

ライナーはこれらを踏まえた上でユミルに対して交渉をしているのが高等テクニックです。第42話「戦士」でエレンに対して「お前ついてきてくれよ」と雑な交渉しいたことを考えると、今回は戦士として頭が冴えていたように感じます。

ライナーが兵士モードを自覚

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

ライナーは、こんなこと言います。

「昨日の午前から働き詰めだと、昇格の話は後でいい、兵士としてそれなりの待遇があってもいいだろう」

それにベルトルトが「兵士じゃないだろ、僕らは戦士なんだから」と語るのです。

これに衝撃を受けて「あぁ…そうだったな…」とライナーは返事をします。ここでライナーの表情が変化する所が切ないです。エレンとユミルも衝撃を受けています。

ユミルの考察

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

ユミルが語るようにライナーはパラディ島で兵士を演じるうちに罪の意識に耐えられず、自分が本当に兵士であると思い込むようになってしまいました。「マーレの戦士」と「パラディ島の兵士」が両立することは困難なので、傍から見ると辻褄の合わない行動をしています。そして、ライナー自身、記憶が曖昧になっていることも周囲を混乱させます。

ユミルは洞察力がある人物であり、この考察は当たっていました。第39話「兵士」でライナーがコニーを命懸けで助ける場面についてユミルが言及しています。ライナーは104期生の仲間として振る舞いコニーを助けました。しかし、この行為はマーレの戦士としては言語道断です。知性巨人を奪われる危険があり、ましてや敵側の兵士を助けるための行為となればもっての外なのです。これを踏まえると当時のベルトルトの表情の意味が変わって見えてきます。

マルセルの影響

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

ライナーがパラディ島の兵士として信頼できる兄貴分の人格になった理由はマルセルの影響もあると思います。

第96話「希望の扉」でマーレ国からパラディ島へ来たときの回想の場面が描かれます。始祖奪還作戦のために当時はライナー、ベルトルト、アニ、マルセルの4人でパラディ島に乗り込みました。

壁を目指す途中で「顎の巨人」の能力を持っているマルセルがユミル巨人に食べられてしまいます。マルセルはリーダー的存在であり、仲間から慕われていました。一方でライナーは戦士候補生の中でも低い成績であり、感情的になりやすい人物でもありました。マルセルはライナーをかばう形で捕食されたのでアニはライナーを非難します。作戦を中止するか実行するかどうかで揉めた後、ライナーはアニを絞め落とします。

「…ライナーは死んだ…」「マルセルが必要なら…俺がマルセルに…なるから…」

マーレ国へ帰ろうとするアニに対し、ライナーは「故郷に帰る方法は作戦を成功させるしかない」と説得します。たしかに、作戦が失敗した上に知性巨人も1人奪われたとなれば、3人とも次の戦士に食われる可能性があります。ライナーは自分がマルセルの代わりを務めるから作戦を実行すべきだ、と力尽くでアニを説得したのです。

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

ライナーがマルセルをロールモデルとして行動していたことが分かる場面があります。第93話「闇夜の列車」のマルセルの弟、ポルコとライナーの会話です。

「女の記憶を通してお前を見たが…ありゃ何だ?」「ずいぶんと頼れる男を気取っていたようだったが…」「ありゃ…まるでアニキのマネごとじゃねぇか」

ポルコはマルセルが食われた詳細の場面をまだ知りません。それに対してライナーは「その通りだガリアード」「お前の言ってることは全て正しい」と肯定しています。

ユミルはどこまで知っているか

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

ユミルは世界から見たパラディ島の立場やマーレ国の事情を知っています。

その上でパラディ島に楽園送りにされ知性巨人を得たのですが「巨人の力はそこまで知らない」と語ります。

ユミルは無垢の巨人が兵器として使用されていることや知性巨人の存在は知っていたようです。しかし、知性巨人の詳細な能力を知りませんでした。そして「獣の巨人」が叫びによるエルディア人の巨人化と命令の能力があることは知らないようでした。

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

「その猿、獣の巨人が今回の騒ぎの元凶だよ、壁の中に巨人を発生させて目的は威力偵察ってとこかな」「彼らが目指しているのもそいつの所さ、そいつを目指せば故郷に行ける」

洞察力の優れたユミルは状況が読めています。ユミルはライナーとの対話を通じて、かなり自然な形で情報を引き出そうとしているなということが、そこだけは読み取れます。

エレンの特大ブーメラン発言

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

エレンは状況が分からない以上、感情を押し殺して情報を得ようと必死でした。しかし、ライナーがマーレの戦士とパラディ島の兵士との間で苦悩していたこと、エレンの母カルラが食われた元凶であるベルトルトの「…あの時は…気の毒だと思ったよ」という発言を聞いて怒りが爆発します。

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

「一丁前に人らしく悩んだりしてんじゃねぇよ!!」「もう人間じゃねぇんだぞお前らは!!」「この世界を地獄に変えたのはお前らなんだぞ!!」「わかってんのか 人殺しが!!」

この言葉は後のエレンに特大ブーメランとなって返ってきます。

エレンは後に地鳴らしで人類の8割を踏み殺してしまうのです。それらを実行する上でエレンは1人、苦悩し続けていたことも描かれます。

呪いの言葉

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

「お前らができるだけ苦しんで死ぬように努力するよ…」

エレンのこの言葉がライナーに突き刺さります。このエレンの呪いの言葉はライナーがマーレへ帰国した後にも影響を及ぼしていることが分かります。

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

「お前…言ってたよな…『お前らができるだけ苦しんで死ぬように努力する』って…あの時」「そのために来たんだろ?」

第100話「宣戦布告」でマーレ国に戻ったライナーとエレンが再会します。エレンと対話した際にライナーは怯えています。何年もエレンの言葉が心に残っていたことが分かる場面です。

敵は世界

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

「……敵はなんだ!?」とエレンがユミルに尋ねた場面の表現が秀逸です。

「そりゃあ言ってしまえばせー」と言いかけたところでライナーが言葉をかぶせてきます。一見、何と言いかけたか気になる場面ですが、次のページで答えが出ています。

「お前はこの世界に先があると思うのか?」

敵は世界、という正解が既にセリフ中で用意されていたというのが驚きです。そして、読者がそれに気づくのはまだ先の話…というのもオシャレです。

進撃の巨人46話『開口』の考察・解説

進撃の巨人46話『開口』の考察・解説動画

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49話『突撃』
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