この記事の目次
進撃の巨人112話『無知』のあらすじ
レストラン
レストランにイェーガー派が現れて、フロックがハンジを連行する。
エレンは、アルミン・ミカサ・ガビと話をし始める。
エレンの意図が理解できないまま会話が続く中で、「ミカサ お前がずっと嫌いだった」とエレンが告げた。
ミカサは涙する。アルミンは怒って殴りかかるが、エレンに反撃を食らう。
巨大樹の森
一方その頃、巨大樹の森では、ジークがリヴァイから逃亡を図る。
ジークの「叫びの力」で、監視する調査兵団兵士は、リヴァイを除いて全員が巨人化してしまう。
進撃の巨人112話『無知』で発生した伏線・謎
残された謎
進撃の巨人112話『無知』で解決した伏線・謎
進撃の巨人112話『無知』の表現・対比
進撃の巨人112話『無知』の考察・解説
進撃の巨人112話『無知』の考察・解説動画
サブタイトル『無知』の意味
エレンから見たアルミンやミカサの姿。
兵団はジークの脊髄液入りワインのことを知らなかった。
関連進撃全話のサブタイトルの意味を考察
ポイント
イェレナの策略とジーク脊髄液ワインの伏線
第112話では、イェレナたち反マーレ義勇兵が、すでにパラディ島にて兵団組織を無力化するための布石を打っていたことが明らかになります。
彼らは第一回調査戦の段階からワインを積んでおり、その中にはジークの脊髄液が混入されていました。イェレナはマーレ人義勇兵たちを兵団内部に配置し、信頼を勝ち取ることで、島内にこの“毒入りのワイン”を供給する仕組みを整えていたのです。
この策略は、すでにイェレナが島に到着する以前から緻密に準備されていたものであり、兵団上層部に優先的にワインを振る舞うよう部下たちに指示していたことが示唆されます。
フロックの冷笑とイェーガー派の共謀
さらなる驚きは、フロックをはじめとしたイェーガー派がこの事実を事前に知っていたという点です。ジークの脊髄液入りワインを「ゲス顔」で知っていたフロックの態度は、まさにMVP級の冷酷さを感じさせます。
つまり、イェーガー派の一部は、ジークの計画とその危険性を知ったうえで動いていた可能性があるのです。
エレンの「6つの嘘」と本心を探る
この話のもう一つの大きな焦点は、エレン・イェーガーが語る「6つの嘘」と、それに隠された本心です。エレン、アルミン、ミカサ、ガビの4人の会話の中で、エレンは数々の嘘を口にします。
嘘① ミカサたちに会いに来た理由
エレンは「お前らがジークの居場所を教えるなら、争う必要はない」と語ります。しかし、ミカサやアルミンがジークの居場所を知っているわけがありません。エレン自身もそれを理解していたはずです。
彼が本当に欲しかったのは「情報」ではなく、「会話そのもの」に意味があったと見るべきです。幼馴染である2人と対話すること自体が、エレンにとっての目的だったのでしょう。
嘘② ジークとの待ち合わせについて
エレンはジークと待ち合わせをしていたことを伏せ、「ジークの居場所を特定する」と語っています。しかし既に待ち合わせは決まっており、居場所を特定する必要はありません。イェーガー派すら信用していなかった可能性も考えられます。
嘘③ ミカサの頭痛とアッカーマンの本能
エレンはミカサに「アッカーマン一族の本能により、宿主を守るために頭痛が起こる」と語ります。しかし、過去の頭痛シーンを見れば、それが感情やトラウマに起因することは明白です。
また、他のアッカーマンであるケニーやリヴァイには頭痛の描写は見られません。これは明らかな嘘であり、エレンのねじ曲げた説明だと考えられます。
嘘④ アッカーマンの人格は消えるのか?
エレンは「本来のミカサは消えてしまった」と語りますが、ケニーもリヴァイも人格を保ったまま生きています。エレンの語る“人格の消失”は、ミカサを突き放すための過剰な言葉と考えられます。
嘘⑤ アルミンはベルトルトに支配されている?
エレンは「お前はもう話し合いばかりだ」と批判しますが、アルミンは初期から“対話”を重視してきました。これはベルトルトの影響ではなく、アルミン自身の信念です。したがって、この発言も誤解を生む意図的な嘘でしょう。
嘘⑥ ミカサが嫌いだった?
「お前がずっと嫌いだった」というエレンの言葉は、過去の描写と完全に矛盾します。マフラーを巻いてあげた場面、何度も命を助けようとした行動から見ても、この発言は嘘です。
本当に伝えたかったこと:エレンの心の叫び
「俺のことを嫌いになれ」という自己犠牲
エレンはガビをも同席させて、あえてミカサやアルミンに冷酷な言葉を投げかけました。これは、彼らに「もう昔のエレンではない」と思わせ、自分への情を断ち切らせる意図があったと考えられます。
レベリオ収容区でもファルコを同席させるなど、彼の行動には必然性よりも“演出”が見られます。
「もう昔のエレンじゃない」と伝えるために
エレンは記憶の影響によって人格が変化し、自分自身ですら自分の意思が「自由」なのか疑っていた節があります。
ジークやクルーガー、始祖ユミルなどの記憶が混在したエレンの内面は、もはや幼少期のエレンとは異なる複雑な存在になっていました。
「俺は自由だ」と言い切ったのは、自由でありたいという願望そのものだったのではないでしょうか。
エレンの静かな怒りと伏線の巧妙さ
サシャを殺した「ガキ」への静かな憎悪
エレンはガビの名前をあえて言わず、「サシャを殺したガキ」と呼び続けます。感情的な怒りではなく、静かに恨みを持ち続けているその様子は、かつての激情とは異なる「変化したエレン」を象徴しています。
ジークのワイン確認とその意味
ジークが「ワインは残っていないのか」と尋ねた場面は、伏線として非常に重要です。これは、誰が脊髄液を摂取したのかを確認し、「無垢巨人化」の可能性を探っていたものです。
「俺は自由だ」という受け答えの異質さ
アルミンの「なぜマーレを単独で襲ったのか?」という問いに対して、「俺は自由だ」とだけ答えたエレン。この言葉は、就職面接なら即落ちレベルの内容ですが、実際は「自由」であることを強く自分に言い聞かせているようにも見えます。
まとめ:自由を求めながら縛られるエレンの苦悩
112話では、エレンの言葉に込められた嘘と真実が複雑に絡み合いながら、彼自身の内面が浮き彫りになります。
・イェレナとジークの伏線の巧妙さ
・エレンの「嘘」が伝えたかった本心
・「もう昔のエレンではない」と示すための言葉と行動
・ミカサやアルミンへの思いと、自己否定との狭間で揺れる姿
こうした描写を通して、エレンというキャラクターの深さと、物語の構造の緻密さが浮かび上がってきます。
進撃の巨人112話『無知』の感想・ネタバレ
進撃の巨人112話『無知』の感想動画
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