【進撃の巨人】第113話『暴悪』考察・解説・感想【ネタバレ】

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進撃の巨人113話『暴悪』のあらすじ

巨大樹の森

リヴァイは巨人化した元仲間を殺し、ジークのもとにたどり着く。
獣の巨人となったジークに雷槍を放ち、戦いに勝利する。

リヴァイは、雷槍の信管をつなぐワイヤーを、ジークの首にくくる。
ジークは、クサヴァーと過ごした幼少期の記憶を思い出す(回想開始)

シガンシナ区

シガンシナ区にて、キース教官は例年通り、109期訓練兵団を指導し始める。
そこにイェーガー派のフロックがやって来て、イェーガー派へ勧誘を行う。
訓練兵のスルマ達は、キースを痛めつけ、イェーガー派に加入する。

進撃の巨人113話『暴悪』で発生した伏線・謎

Qリヴァイが倒した巨人が「ピクッ」と動いている
(28巻113話)

A
(29巻115話)

Q訓練兵たちがキースをボコボコにする。一切反撃しないのは何故?
(28巻113話)

A
(31巻125話)

関連進撃全話の伏線・謎まとめ

残された謎

Q
(28巻113話)

A
(巻話)

進撃の巨人113話『暴悪』で解決した伏線・謎

進撃の巨人113話『暴悪』の表現・対比

進撃の巨人113話『暴悪』の考察・解説

進撃の巨人113話『暴悪』の考察・解説動画

サブタイトル『暴悪』の意味

ジークの「脊髄液入りワイン」を使った奇襲。
イェーガー派がキースをボコボコにした振る舞い。
関連進撃全話のサブタイトルの意味を考察

ポイント

リヴァイがジークに勝つ場面の考察

物語の中で、リヴァイとジークは二度にわたって戦います。初戦はレベリオ収容区での偽装的な戦いでしたが、今回の決戦は「志願しなく」での再戦であり、本気の一騎打ちでした。そしてこの戦いで、リヴァイはジークを完全に圧倒します。

この場面で特に注目すべきは、リヴァイがジークのもとへたどり着く過程です。リヴァイは、自らの部下が無垢の巨人に変えられた中で、苦渋の決断を迫られます。仲間を殺さなければ前に進めない。その葛藤の中で「まだそこにいるのか、お前ら……」とモノローグを語ります。この言葉には、倒すことが彼らの救いになるという悲痛な覚悟がにじみ出ており、直接語らずとも感情が伝わってくる、諫山先生らしい演出です。

さらにリヴァイは、これまでも幾度となく仲間を失い続けてきた人物です。旧リヴァイ班の面々を始め、多くの犠牲を見てきた彼の「黙って戦う」姿には、彼の人生そのものが投影されています。

ジークとの知的な応酬と伏線

ジークは、リヴァイに対して「お前は勘違いしている」と語ります。これに対してリヴァイも「なんで勘違いしてしまったんだ」と応じる場面があります。直接的な返答ではないものの、このやりとりは非常に含蓄のあるもので、再読することで深さが見えてきます。

また、戦闘の中でジークは、巨人の頭部をちぎってリヴァイに向かって投げつけます。この無垢の巨人はうなじが損傷しておらず生存しており、のちに「ピク」という女性型の無垢の巨人として再登場します。ここは、後々につながる巧妙な伏線となっており、読者に驚きを与えました。

ジークの一人称に表れる心理

ジークが捕らえられた後、「俺の眼鏡はどこだ?」と口にします。しかし意識が朦朧とする中で「ダメだよ、クサヴァーさん。僕には使命があるから」と語り始め、一人称が「僕」に変わります。この「俺→僕」への変化は、幼少期に戻ることで無意識に本来の自分が露呈してしまった証です。

同様の表現は、ロッド・レイスにも見られます。普段は「私」と話していたロッド・レイスが、巨人化直前には「僕」と言っていたのです。このように、人間が極限状態に陥ったとき、本能的に出てしまう「一番幼い自分」を描写する演出は、日本語ならではの表現の妙といえるでしょう。

シャーディス教官を見つめるハンジの表情

イェーガー派によってスケープゴートにされたシャーディス教官は、フロックの命令により若者たちから痛めつけられます。このとき、ハンジは「いい加減にしろ、バカな真似はやめろ」と叫びますが、シャーディスは冷静に状況を受け入れ、「ひよっこどもが何人かかってきたところで相手にならん」と語り、自ら犠牲となります。

この場面は2コマ後にはボコボコにされており、不謹慎ながらもギャグ的な演出に見える瞬間があります。しかし、注目すべきはその後のハンジの表情です。シャーディスを見つめる目には、深い悲しみが宿っています。

この感情の背景には、かつてハンジがキース・シャーディスに憧れていた過去があります。18巻の描写において、「ショックだよな。あんたの憧れだったのに」というセリフがあり、ハンジにとってシャーディスは尊敬する存在だったとわかります。

リヴァイが巨人化しなかった理由とは?

リヴァイはジークの叫びによって仲間が無垢の巨人に変えられる中でも、巨人化することはありませんでした。このことについては、いくつかの説があります。

1つ目の説は、リヴァイがワインを飲んでいたがアッカーマンだから巨人化しなかったというものです。ジークの「一滴も残ってねぇよ」という発言に対してリヴァイが反応したことから、彼自身もワインを口にしていた可能性があります。

2つ目の説は、リヴァイはそもそもワインを飲んでいなかったというものです。リヴァイは紅茶を好む設定があり、任務中にアルコールを口にすることはなかったという見解です。ただし、料理にワインが使われていた可能性は否定できません。

3つ目の説は、そもそも「ビクッ」とした描写は巨人化の前兆ではなく、純粋な驚きの表現であり、リヴァイは脊髄液を摂取していなかったというものです。

いずれにせよ、アッカーマン一族は巨人化の対象外である可能性が高く、彼の無事はその特異体質によるものだと考えられます。

エレンとジークのすれ違い

最後に、ジークとエレンの思想の違いにも触れておきましょう。ジークはエルディア人の安楽死計画を実行しようと考えており、エレンはそれに協力するふりをしていました。しかし、読者が後に知る通り、エレンは最初からその考えを否定しており、地鳴らしによる解決を選びます。

このすれ違いは、漫画内の一コマにも表現されています。ジークが「俺たちにしかわからないよな」と語りかけるシーンにおいて、エレンの表情は曇っています。この時点ですでに2人の間には認識のズレがあり、まさに「見えているけれども心が離れている」状態だったのです。


このように、リヴァイとジークの戦いを軸に描かれる数々の伏線や心理描写は、読者に多くの余韻を残します。キャラクターの表情や言葉の選び方、そして些細な描写から伝わる感情の機微が、「進撃の巨人」という作品の奥深さを物語っています。

進撃の巨人113話『暴悪』の感想・ネタバレ

進撃の巨人113話『暴悪』の感想動画

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