【進撃の巨人】第98話『よかったな』考察・解説・感想【ネタバレ】

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進撃の巨人98話『よかったな』のあらすじ

タイバー家の祭事に向けて、マガトとヴィリーは裏で様々な準備をすすめる。
戦士候補生達は、祭事を楽しみに、日常を過ごす。

ファルコは、負傷兵クルーガー(自称)に再会し、ガビに訓練で勝利したことを伝える。
負傷兵は、精神病院に入れられているグリシャの父と会話を交わす。

祭事の前日、ヴィリーは世界各国の人々と交流を図る。
そして当日、戦士候補生はお祭りを周り、楽しい一日を過ごす。
宣戦布告のイベント直前、ファルコがライナーを地下室に連れて行く。
そこに待っていたのは、負傷兵に扮した「エレン」だった。

【時期】854年
【場所】マーレ国 レベリオ収容区

進撃の巨人98話『よかったな』で発生した伏線・謎

Qジークは兄貴面をエレンにする
(24巻98話)

A
(32巻130話)

Qジークとコルトがキャッチボールをする
(24巻98話)

A
(29巻115話)

Qヴィリーとマガトの台詞「老朽化が深刻なので大幅な解体工事が必要」
(24巻98話)

A
(25巻100話)

Qヴィリーが震える
(24巻98話)

A
(25巻100話)

Qマガトとヴィリーの会話「使える柱・ネズミ」
(24巻98話)

A
(26巻105話)

Qエレンが座るベンチにグローブがある
(24巻98話)

A
(29巻115話)

Qエレン祖父(グリシャ父)が精神病院に入っている
(24巻98話)

A
(30巻121話)

Qウドをかばったヒィズル国の女性
(24巻98話)

A
(27巻107話)

Qガビの発言「なにかが変わりそうな気がする」
(24巻98話)

A
(25巻100話)

Qファルコの単独行動を肯定するジークの眼鏡が曇る
(24巻98話)

A
(26巻105話)

関連進撃全話の伏線・謎まとめ

残された謎

Q
(24巻98話)

A
(巻話)

進撃の巨人98話『よかったな』で解決した伏線・謎

進撃の巨人98話『よかったな』の表現・対比

進撃の巨人98話『よかったな』の考察・解説

進撃の巨人98話『よかったな』の考察・解説動画

サブタイトル『よかったな』の意味

4年ぶり再会したエレンがライナーにかけた言葉。
関連進撃全話のサブタイトルの意味を考察

ポイント

「兄貴ってやつ」の系譜:進撃の巨人に描かれる兄弟の物語

進撃の巨人には、「兄と弟」というテーマが一貫して描かれています。ジークとエレン、マルセルとポルコ、コルトとファルコ。この兄弟関係は、ただの血縁以上に、意志や重荷の継承という物語の核を形づくっています。

本記事では、この「兄弟の想い」を通して、彼らがそれぞれどのような選択をし、どう背中を押され、あるいは押していったのかを丁寧に読み解いていきます。


コルトとファルコ:弟の未来を守る兄の覚悟

ファルコが「巨人になってガビを救いたい」と願ったのに対し、その兄・コルトは「今さらどんな成績を残そうと、ガビの優位は動きませんよ」と諭します。この言葉の裏には、ファルコを巨人継承者にしたくないという、兄としての深い愛情が込められています。

実際、コルトはマーレ軍の方針に心から賛同していたわけではありません。彼の発言や行動の端々からは、巨人継承の非人道性や制度の矛盾に疑問を抱いている様子が読み取れます。

兄として、弟を守るために軍に身を投じる:その覚悟こそが、彼の背中を押していた原動力なのです。


マルセルとポルコ:すれ違いの誇りと愛情

ポルコは、かつて自分が鎧の巨人に選ばれなかったことに対して、ライナーに強い皮肉を吐きます。「選考基準なんて曖昧なもんだぞ」という彼の言葉の裏には、自分が落とされた理由を知らないまま抱えてきた屈辱と、兄・マルセルへの複雑な思いがあります。

しかし真実は、兄マルセルが弟を守るためにライナーを推薦したというものでした。弟に戦士の重荷を背負わせたくなかった:それが兄マルセルの最期の選択だったのです。

この兄弟もまた、「守りたい」という想いが言葉にならず、悲劇を生んでいった典型といえるでしょう。


ジークとエレン:兄弟を信じた“共犯者”たち

「それが兄貴ってやつだろ」

ジークがファルコに向けて語ったこの言葉は、彼自身の思いでもありました。父グリシャに裏切られたジークは、エレンにだけは理解されたいと願い、あるいは自分の理想に巻き込みたいと願ったのです。

エレンもまた、ジークに「兄」としての役割を求め、「自分の背中を押す者」として機能させた節があります。二人はやがてキャッチボールを通して心を通わせたように見えますが、それは表面にすぎません。

本音の部分では、互いに利用し合いながらも、どこかで「理解してほしい」という切なる願いがあった:その姿が、兄弟という枠組みに新たな陰影を与えています。


家を壊し、再建する:マガトとヴィリーの建築比喩

物語中盤、ヴィリー・タイバーとマガトの会話に登場する「家の老朽化」「増築」「解体工事」という比喩は、まさにマーレ軍の内部状況を表しています。

「まだ使える柱がある」「ネズミが入り込んでいる」

これらの表現は、老朽化した権力構造の中にも有用な人材が残っており、その中にすでにパラディ島勢力が潜入していることを示唆しています。マーレという大国が崩れ始めているという緊張感を、諫山先生はこのような日常的な会話の中に巧妙に忍ばせているのです。


ジークとエレンの共謀:伏線はすでに張られていた

ジークが語る「兄貴ってやつだろ」というセリフと、エレンが持つグローブとボール。この描写の連なりが、実はエレンとジークの“共犯関係”を暗に示していました。

さらにエレンは「祭りが終わったら帰るとする」と語っており、これは明らかに襲撃計画を匂わせる発言です。このようにして、物語はじわじわと核心に向かっていく緊張感を高めていきます。


イェーガーさん:罪を背負ったもう一人の祖父

精神病院で出会う老紳士。彼こそが、エレンの祖父であり、グリシャの父でした。かつての厳格な教育がグリシャの人格を形成し、その結果がエルディア復権派という反逆につながったことに、彼は深い後悔の念を抱いています。

この祖父の存在は、家族というものの中に潜む悲劇や連鎖を象徴しています。エレンが彼を見て「こいつは俺の祖父だ」と直感していたという描写も、どこか運命的なものを感じさせます。


世界の敵:多国籍が一堂に会する演出

マーレ国がレベリオの舞台に集めた各国の要人たち。中東連合など、過去に敵対していた国家までもが一堂に会し、エルディア人を憎悪の目で見つめています。

これは世界がいかにして“敵”を一つに定め、憎しみを共有することで結束を保とうとするか:その現実を鋭く突いた演出です。


進撃の連鎖:ライナー・エレン・ファルコが繋ぐ意志

進撃の巨人における「進む」という意志は、ライナーからエレンへ、そしてファルコへと継承されていきます。ライナーがエレンに「進み続けろ」と語り、それを受けたエレンがファルコに「やるべきことをやるだけだ」と語りかける。

この言葉のリレーは、過酷な世界における希望と、戦いの中でも決して失われない「人としての意志」を象徴しています。


おわりに:「兄貴ってやつ」は進撃の縮図

兄弟という関係性は、進撃の巨人において「継承」と「選択」というテーマを具体化する装置でもあります。兄は弟を守るために命を懸け、弟は兄の背中を見て道を選ぶ。

そこには時に歪みもあり、すれ違いもあり、けれども確かな想いがある:その感情の深さこそが、読者の心を打つのです。

進撃の巨人98話『よかったな』の感想・ネタバレ

進撃の巨人98話『よかったな』の感想動画

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