この記事の目次
進撃の巨人130話『人類の夜明け』のあらすじ
地鳴らし3日目(パラディ島〜マーレ国オディハ)
オディハに向かう船の中で、ハンジはマーレ戦士に「レベリオはすでに地鳴らしの被害にあっている」と伝える。
アニは「レベリオに住む父が死んだのならば、これ以上戦う理由はない」と、離脱することを宣言。
エレンの回想
突然挟まるエレンの回想シーン。
第1話のエレンが眠っていた場面、ユミルが見ていた豚、父親グリシャの姿と様々な記憶が流れていく。
単独行動前のエレンの行動が明らかになる。
きっかけは、イェレナから安楽死計画を告げられたことだった。
エレンはジーク・イェレナに賛同するふりをせざるをえない。
その一方で、裏ではフロックに協力を仰ぎ、「地鳴らしをする」と告げる。
エレンは、憲兵団のヒストリアにジーク巨人を食べさせる企みを、ヒストリア本人に伝える。
ヒストリアは、憲兵と争いもせず、逃げもせず、自身が子供を作ることを決意する。
その後、マーレ国に潜入し単独行動を開始するエレン。
マーレ軍に潜り込み、自らの脚を切り落とし、負傷兵に扮する。
精神病院にて、ジークと会って、アッカーマンに関する会話をする。
地鳴らし3日目(マーレ国カリファ軍港)
人類の英知を結集した最大の軍事力を持つ「世界連合艦隊」が、地鳴らし巨人を待ち受ける。
地鳴らしの阻止に挑むが、敗北。エレン巨人たちの進撃は止まらない。
進撃の巨人130話『人類の夜明け』で発生した伏線・謎
残された謎
進撃の巨人130話『人類の夜明け』で解決した伏線・謎
進撃の巨人130話『人類の夜明け』の表現・対比
進撃の巨人130話『人類の夜明け』の考察・解説
進撃の巨人130話『人類の夜明け』の考察・解説動画
サブタイトル『人類の夜明け』の意味
パラディ島の壁内人類にとって、地鳴らしの侵攻で世界が滅びることは「夜明け」だと示唆している?
【時間経過】夕焼け(125)→終末の夜(127)→人類の夜明け(130)
関連進撃全話のサブタイトルの意味を考察
エレンの回想「どこからが始まりだろう」
「どこからが始まりだろう」というモノローグと共にエレンの回想がはじまります。
現在の状況、さらにはこの先の未来にたどり着くことに対する起点を探しています。
「いってらっしゃい、エレン」と言うミカサ
845年第1話「二千年後の君へ」のシーン。
始祖ユミルが逃がした豚
約二千年前に豚を自由にしようと思って行動した結果、罰を受けて部族から追放。そして巨人の力を得ます。つまりユミルが巨人の力を得たことが全ての始まりではないか?とエレンは一瞬考えたのです。
赤ん坊のエレンから見たグリシャ
139話のグリシャが赤ん坊のエレンに「お前は自由だ」というシーン。この言葉を受けてエレンは自由を求める原初的欲求を抱き、地鳴らしが引き起こされたのでしょうか。 歴史の時間的には、始祖ユミルの行動が一番最初なのに「始まり」について考えているのは、因果の話ではないからです。「すべてが最初から決まっていたとしても、すべてては俺が望んだこと、すべては…この先にある」とエレンが言う通り、未来は決まっています。その未来は自分が望んだのだから、それが始まりとも言えます。ただし、結局は物語全体が一枚の絵のようなものなので、始まりも終わりも本来はないのでしょう。
エレンの記憶の断片を時系列で整理
850年の勲章授与式にて、エレンはヒストリアの手の甲にキスをして、グリシャの記憶を見ます。その中でグリシャが進撃の巨人の能力で見た「未来の継承者(エレン)の記憶」を見ています。平たく言うと、自分の未来をこの時見た、ということです。
時系列で整理してそれぞれのコマ見ていきましょう。
853年 鉄道建設
エレンの「長生き」発言
第108話「正論」でエレンが104期生に「長生きしてほしい」と語ったシーン。
エレンとフロックの対話
第130話でエレンとフロックが地鳴らしについて話しているシーン。
854年 エレン失踪 / マーレの戦争
空に手をのばすファルコ
第91話「海の向こう側」の中東連合と戦争しているシーン。エレンが鳥の視点で見ている?
エレンの祖父
第98話「よかったな」で精神病院でエレンと話したシーン
ヒストリアの片目
第130話でエレンとヒストリアが地鳴らしについて話しているシーン
854年 レベリオ襲撃
エレンを見るミカサ
101話「戦鎚の巨人」でミカサがエレンを迎えに来たシーン。
一番大きく描かれています。それだけ重要ということでしょう。
エレンを見るリヴァイの目
105話「凶弾」のレベリオ襲撃の帰り道に「糞溜めに落ちたらしいな、エレン」と言っていました。
854年 パラディ島内紛&マーレ軍が奇襲
ボコボコになったアルミンの姿
112話「無知」でエレン、ミカサ、アルミン、ガビのこの4者の対話のあと、アルミンをエレンが殴る場面です。
エレンを射撃しようとするピーク
116話「天地」でエレンに銃を向けるこのピークの姿というところが記憶の断片としてあるのです。
エレンに手を伸ばすジーク
119話「兄と弟」でエレンがガビにヘッドショットされた直後のジークの姿です。
854年 エレンが道に到達した後(時期不明)
850年より後の出来事ですが、時期が不明です。
グリシャの姿(845年レイス家襲撃)
121話「未来の記憶」で兄弟仲良くエレンとジークの記憶ツアーの中でのグリシャを見た時の一コマです。
ミカサの口元(138話の道?)
「いってらっしゃい、エレン」の場面と思われます。意図的にマフラーが描かれています。
ダイナ巨人に見降ろされるベルトルト
第96話「希望の扉」のシーンで139話「あの丘の木に向かって」の道でのエレンとアルミンの対話で再登場します。845年の出来事を未来の記憶で見ているのでしょうか。
鳥(アニメ1話?)
自由の象徴として度々、登場する鳥の姿です。2羽で対になって飛んでいます。
ハンジさんが涙を流す
この姿は謎。132話「自由の翼」でハンジさんが巨人と戦うシーンがあります。未来の記憶として見ていたのでしょうか。
エレンの願い「ずっと幸せに生きていけるように」
ウォール・マリア奪還作戦の前に調査兵団メンバーで食事をした時の記憶です。エルヴィンやサシャ、フロックがいます。王政転覆が成功し、ウォール・マリア奪還の目処もついた幸せな時期をエレンは思い出しています。
他にもラムジー少年の姿や、サシャが死んだ時の飛行船の様子もあります。サシャを守りたかったが守れなかったことへの悲しさや悔しさもあるのでしょう。エレンは仲間を守れなかった自分を責めて泣いているように感じます。
エレンの行動(時系列)
①鉄道開通祝賀会でイェレナ密会(10ヶ月前)
イェレナに安楽死計画の話を持ちかけられた時に「協力する」と言ったエレン。
パラディ島を救う、ヒストリアを犠牲にしない、安楽死計画を防ぎつつジーク達の協力を得る、という目的を全て達成しなければいけない。かなり追い込まれた状況です。イェレナとの会話の中でエレンはジークの脊髄液入りワインのことを聞きました。しかし、既に兵団幹部は摂取してしまっています。エレンは巨人化を止めたかったですが、間に合いませんでした。マーレ軍襲撃時にジークが叫びをしようとした時(119話「兄と弟」)に、「待て」と言っていました。
②フロックと密会
エレンは単独でやり切るつもりでした。大事な仲間だからこそ、周りの人を巻き込みたくなかったのです。しかし、エレンはフロックとヒストリアとは密会しています。なぜこの二人なのでしょう?
まず、フロックはイェレナとエレンの密会に協力していたので、エレンとしても巻き込まざるを得なかった。更に、安楽死計画の阻止と兵団を脱し抜くためにも仲間が必要なので、フロックに白羽の矢を立てたのでしょう。
フロックは「巨人を滅ぼすことができるのは悪魔だ」と考えています。目的達成のためには、人間性を捨てた行為もやり捨てるような悪魔が必要であり、パラディ島のためなら世界を滅ぼす手段にも乗るだろう。エレンはそんなフロックの人間性を見出していました。実際にフロックはエレンから地鳴らしの話を聞いた時、目に光が灯ったような表情をします。フロック自身、何をするべきかが明確になった様子です。エレンからすると悪魔を蘇らせることを肯定できる人間としてフロックと協力しました。
③ヒストリアと密会
ヒストリアになぜ地鳴らしの話しをしたのか。 ヒストリアが66話「願い」で「人類の敵だけどエレンの味方」と言っていました。しかし、実際には「あなたを止め、何としてでも止めないと二度と胸を張って、生きていくことができない」と泣きながら語ります。 107話「来客」でヒストリアは獣の継承を受け入れますが、エレンはそこで反対し「時間の限りあらゆる選択を模索するのが我々の最善策ではないでしょうか?」と言います。この姿はヒストリアの良い子の側面として女王の使命を全うしようとする姿です。 そして、模索しようとしてくれた気持ちだけで充分だと言い、続けて「争う必要も逃げる必要もない」と獣の巨人の継承を受け入れます。しかし、エレンは一貫してヒストリアに巨人継承をさせないように守ろうとします。
エレンはヒストリアのことを「あの時俺を救ってくれた世界一悪い子」とも言います。それは、正しい生き方ではなく自分を殺さない生き方を選ぶということです。66話「願い」でヒストリアは父の願いを聞いて巨人になることを拒否しました。
そして妥協策としてヒストリアは子供を作る、という案を提示します。解決策ではないが獣の巨人継承までの時間稼ぐことができる。しかし世界の人々は犠牲になる、という苦肉の策です。
ローグの伏線
この場面で確定した伏線としてローグがヒストリアに告げ口をした奴がいると言っていたのは、これはエレンだったということが分かります。ハンジの「私は確信していた、君がヒストリアを犠牲にすることはない」とエレンに言います。エレンは、地鳴らしをしてでも、ヒストリアを救おうとしていたので、これはハンジの読み通りでした。
③マーレ国で失踪、単独行動
マーレ国に行った調査兵団から失踪して単独行動をするエレン。戦場で左目と左足を自傷行為により失い、負傷兵としてレベリオの病院に入ります。122話「二千年前の君から」で巨人化する前の始祖ユミルも左目と左足を負傷しています。
④レベリオ襲撃前にジークと会話
レベリオ襲撃する前にジークと会話をします。その中にはアッカーマンの習性についての内容がありました。 ファンブックのAnswers このアッカーマンに、諫山先生が、リヴァイとケニーとミカサに関して誰かを守るために戦っていたのは、血筋には関係なくそういう性分だったボスみたいな存在を見つけて、その人のために働くことが性に合っていたんでしょう。 アッカーマン家には、宿主に使えることで力を最大限に発揮する人が多い。リヴァイの場合はエルヴィンですが微妙に力が目覚めるタイミングと宿主というところは食い違ってます。 このアッカーマンの習性としては、ボスに仕えることで力を発揮できる人が多いという話であり、力が目覚めるタイミングとは別です。 エレンが112話「無知」で「誰かを宿主として認識した途端、血に組み込まれた習性が発動するって仕組みだ」「本来の自分が宿主の護衛を強いられることに抵抗を覚える時に頭痛がする(意訳)」というあたりはエレンの考えた嘘の設定だったことが分かります。
エレンから見たミカサの姿
123話「島の悪魔」でエレンはミカサに「俺はお前のなんだ?」と聞いていました。 ジークへの質問を考えると自分が助けたせいでアッカーマンの習性が発動し、「エレンを守ろうとしている」とエレンは思い込んだようです。そしてジークから「お前に向ける好意の正体を知りたいんだな?」と見抜かれます。ここでミカサの好意がアッカーマンとは無関係だと認識し直したはずです。 その後、121話「未来の記憶」でエレンとジークは記憶ツアーに行きます。ここで過去にエレンがミカサにマフラーを巻いてる姿を見て何かを思っているように見えます。ミカサが本心で自分に好意があるのならば、いっそ自分のことは忘れて幸せになって欲しい、という葛藤がエレンの中に生まれていきます。
マーレ戦士の反応
冒頭のキャラクターの表情の描き分けについてです。アニの絶望的な表情とミカサ、ジャンの表情が対比的に描かれます。 ピークとガビはあえてライナーの影で見えませんがライナーの目線が二人に行くことで表情がアップになり様子が分かります。遠くからカメラが寄っていくような演出になっていて絶望感が出ます。 ライナーの目線がアップで描かれることで心配している素振りもあます。ピークもガビに寄り添うように優しく抱き寄せています。 129話「懐古」でもマガトの死にショックを受けるガビを抱きしめています。 戦士たちにも家族がいて心配な状況であるにも関わらず気にかけ戦士候補生である子どもたちを大切にしていることが分かります。 ガビはハンジの言葉を聞いて何かに気づくような表情をしていました。このマガトという人物が最終的には、殿を務めて名も知らぬ人々を一人でも多く救えと自分たちに託したんだという言葉を聞いて、世界を救うために動くことを決めたのです。 ハンジさんとアニの対比。名も知らぬ人を救おうとするハンジさんたちに対してアニ達は大事な人や特定の誰かを救おうとしていています。アニの心が折れて、「もう戦いたくない、あんたと殺し合いたくない」とアニは一旦戦線を離脱することになります。
進撃の巨人vs世界
壁内巨人たちは泳いで海を渡りました。 水よりも密度が大きい物体は沈んで、密度が小さいものは浮くということを考えると20話「特別作戦班」でハンジさんが「軽かったんだ、異常に巨人の体が」の言葉通り密度が小さかったことが分かります。 「諫山先生に力を与えた20の名作たち」の中に入っている「ゴジラvsビオランテ」という作品があります。 巨人が海の向こうから徐々に姿が見える場面、船の形、巨人が泳ぐ姿などはそれらを元にしているのではないかと思います。
終尾の巨人の姿
糸らしきもので繋がれていて顔だけが無理やり前に向かされている状態です。鳥かごの中に囚われて吊るされている姿はまさに不自由な存在を意識します。 鳥と鳥籠というところで自由と不自由の対比。家畜である豚も不自由の象徴で、鳥との対比とも思えます。 エレンが未来の結末に抗えない今の状況を象徴的に表しているのがこの一コマです。
エレンと軍隊
「世界連合話隊、奇跡を叶えた話隊が阻止できないなら人類に地鳴らしを止める手段は存在しえない」、エレンを止めるには普通の軍事力では不可能という話です。 終尾の巨人を見た時の人々が指を指して叫ぶ反応は1話「二千年後の君へ」のシーンをセルフオマージュしています。2話「その日」で母親のカルラが食べられるシーンも再登場しています。
「進撃の巨人」というタイトル
タイトルの秀逸さがここでまた感じられます。 最初は巨人が進撃してくるという恐怖がありましたが今度は巨人を使ってエレンたちが進撃する。主人公の知性巨人の名前が進撃の巨人という衝撃から、最後には世界の敵として進撃の巨人が恐怖として描かれます。 最後まで巨人と戦う話しとして描いているのが、進撃の巨人という作品の凄さです。
進撃の巨人130話『人類の夜明け』の感想・ネタバレ
進撃の巨人130話『人類の夜明け』の感想動画
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