【進撃の巨人】第95話『嘘つき』考察・解説・感想【ネタバレ】

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進撃の巨人95話『嘘つき』のあらすじ

現在(854年)

マーレ国に帰ってきたライナーは「副長」として、同胞たちから慕われていた。
マーレ戦士のジーク・ライナー・ポルコ・ピーク、戦士候補生のコルトは、マーレ軍本部に収集される。
近々行われる祭事にて、戦槌の巨人を管理するタイバー家が宣言し、1年以内にパラディ島を制圧することを聞かされる。
マガト達マーレ人の上層部は、彼らの会話を盗み聞きし、思想調査を秘密裏に行っていた。

回想(845年)

始祖奪還のためパラディ島に攻め込むことを知らされたライナーは、過去を回想する。
ポルコを除く、6人の戦士候補生は、巨人の力を継承する。
ライナーは戦士(名誉マーレ人)になれたことを誇り、生みの父親に会いに行く。
しかし、マーレ人の父親は、エルディア人のライナーと母カリナと暮らす気はなかった。
ライナーは、母カリナの家族で再び一緒に暮らす夢も潰え、呆然とする。

そして、845年、顎の巨人を持つマルセルをリーダーとして、始祖奪還計画が開始。
パラディ島で休憩中に、突如現れた巨人(104期生ユミルの無垢の巨人)がマルセルを捕食。
混乱したライナーはその場から全力で逃げ去る。

進撃の巨人95話『嘘つき』で発生した伏線・謎

Qジークの発言「この部屋にはいない」
(24巻95話)

A
(26巻104話)

Qジークの眼鏡の裏側
(24巻95話)

A
(26巻105話)

Q女型の巨人は「何でもできる汎用性が強みだ」
(24巻95話)

A
(32巻133話)

Q獣の巨人の投擲技術
(24巻95話)

A
(28巻114話)

Qマガトが4人の子供に始祖奪還計画を託す軍の方針に疑問を抱く
(24巻95話)

A
(32巻129話)

Qマガトが始祖奪還に向かう戦士4人にかけた言葉
(24巻95話)

A
(32巻129話)

Q
(24巻95話)

A
(巻話)

関連進撃全話の伏線・謎まとめ

残された謎

Qマーレの始祖奪還作戦は適切だったのか?
(24巻95話)

A
(巻話)

Q
(24巻95話)

A
(巻話)

進撃の巨人95話『嘘つき』で解決した伏線・謎

進撃の巨人95話『嘘つき』の表現・対比

進撃の巨人95話『嘘つき』の考察・解説

進撃の巨人95話『嘘つき』の考察・解説動画

サブタイトル『嘘つき』の意味

ライナーが家族・ガビに嘘を付く。
マーレ軍は盗聴器をつかって戦士たちの思想調査をする。
マルセルは弟を守るために軍に嘘を付く。
関連進撃全話のサブタイトルの意味を考察

ポイント:マーレ戦士たちの心理戦と巨人継承の裏側

ライナーの「3本の柱」と崩壊の真実

高度な心理戦:戦士達の会話の裏にある緊張

マーレ編の中でも注目すべき場面が、マーレ戦士たちの思想調査のシーンです。

普段は揃って話すことが少ない巨人継承者たちが、戦士長の部屋に招集されるという異例の状況。

マガトを除いたジーク・ピーク・ライナー・ポルコが会話するなか、ジークが「この部屋にはいない」と意味深に語った一言が印象的です。

これは明らかに「盗聴されている」ということを示唆しており、ピークやライナーはすぐに察知。

しかし、ポルコだけは気づかず、うっかり本音を口にしてしまいそうになります。

ライナーが話を遮って「祖国のために戦えるのはありがたいことだ」と、耳障りの良い建前を口にして場を収めます

この一連のやりとりは、監視社会で生きる戦士たちの緊張感と、それぞれの賢さの差を見事に表しています。

さらにジークの「さすがピークちゃん」発言は、皮肉を込めたギャグのようにも映り、彼の二面性を物語っています。

巨人継承とその裏にある策略

回想シーンでは、7人の戦士候補生が6つの巨人の継承を争う状況が描かれます。

  • 鎧の巨人:ライナー

  • 車力の巨人:ピーク

  • 顎の巨人:マルセル(ポルコの兄)

  • 女型の巨人:アニ

  • 超大型の巨人:ベルトルト

  • 獣の巨人:ジーク

この中で唯一、ポルコだけが継承できなかったことが明かされます。

その理由は後に、マルセルの策略だったことが判明します。

弟ポルコに巨人を継承させないために、ライナーを持ち上げて選出させ、ポルコの評価を意図的に下げていたのです。

これは、巨人を継承すれば13年の寿命が確定するため、「弟にそんな運命を背負わせたくなかった」という兄の愛情の形でもあります。

また、マガトの言葉通り、新世代の戦士たちは幼少期から訓練されており、従来の継承者より優秀です。

この点も、かつての獣の巨人クサヴァーが年配だったことと比較して、マーレの軍事戦略が大きく変化していることが伺えます。

ライナーの「3本の柱」とその崩壊

この回想から浮かび上がるのが、**ライナーの人格を支えていた3つの精神的支柱(柱)**です。

  1. 父と母への願い

     → 父と再会し家族で暮らす夢。しかし実際には父に拒絶され、理想の家庭は潰えた。

  2. 選ばれし戦士としての誇り

     → マルセルの策略で選ばれたと知り、「自分は本当に評価されたのではなかった」と気づく。

  3. 島の悪魔を滅ぼす英雄になる夢

     → 無垢の巨人から逃げる自分を見て、「自分は英雄ではなかった」と確信する。

このように、ライナーの支柱は全て崩れてしまったのです。

しかし彼は、その絶望を一人で抱え込み、母親には真実を語ることすらできません。

戦士になる前日、「父さんもお前の成功を祈ってる」と語る母に、ライナーは一瞬言葉を詰まらせ、それでも「うん」と答える

この「うん」の一言に込められた、母を傷つけたくない少年の優しさと、自己犠牲の精神が、進撃の心理描写の繊細さを物語っています。

ガビだけが気づいたライナーの苦悩

ガビは、ライナーの異変にいち早く気づきます。

「何か悩んでる」「嘘をついてる」と察し、「一緒ならエルディアの未来を変えられるよ」と語りかけるのです。

これは、ベルトルトを失ったライナーにとって、ガビが唯一の理解者になりうる存在であることを意味しています。

彼女の存在が、ライナーにとって再び立ち上がるための希望の一片となっていくのです。

始祖奪還作戦と4人の子供

マーレ軍がパラディ島へ送り込んだのは、たった4人の子供たちでした。

この「正気とは思えない作戦」について、マガトも疑念を示しています。

裏で操作していたのは、タイバー家をはじめとする上層部であり、最初から失敗するように仕組まれていた可能性も示唆されます。

つまりこの作戦は、巨人の力を持つエルディア人を減らし、タイバー家のシナリオ通りに物語を動かすための策略だったのかもしれません。

この構図は、『進撃の巨人』におけるもうひとつのテーマ――**「物語を支配する者の存在」**を浮き彫りにします。

エルディア人の命はと冷酷な現実

戦争の最前線で命を落とすのは、常にエルディア人の子どもたちです。

兵器として利用されるだけの存在であり、勝っても称賛されず、負ければ捨てられる。

その事実に誰よりも苦しんでいるのが、戦士たち自身です。

「大事なのは物語だ」と語られる場面では、真実よりも物語が人々を動かす力を持っていることが強調されます。

まさにライナーもその「物語」に振り回され、自らの心を失いかけた一人でした。

ライナーとエレンの「4年ぶりの再会」

「4年ぶりだな、ライナー」

このエレンの言葉は、かつて第3話での「5年ぶりだ」発言と重ねられた表現です。

こうした細部にわたる言葉選びの妙は、作者・諫山先生の巧みな構成力を感じさせるポイントの一つです。


まとめ:ライナーの折れた心

かつては「英雄になる」と信じて疑わなかったライナー。

しかしその過程で、自分を支える全ての柱が崩れ、心は折れてしまいました。

それでも、母を思い、ベルトルトを思い、そしてガビの言葉に救われながら、彼は歩みを止めませんでした。

ライナー・ブラウンという男は、「悪魔」などではありません。

誰よりも弱く、誰よりも苦しみながら、それでも誰かを守ろうとした「人間」だったのです。

進撃の巨人95話『嘘つき』の感想・ネタバレ

進撃の巨人95話『嘘つき』の感想動画

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