この記事の目次
進撃の巨人93話『闇夜の列車』のあらすじ
中東連合との戦争に勝ったマーレ国は、巨人の力が科学力に劣る時代の到来に備えて、始祖奪還を急ぐ。
艦砲射撃を食らい、疲れ果てていたライナーが目を覚まし、戦士の仲間2人と会話を交わす。
ポルコ・ガリアードは、104期生ユミルを食べて「顎の巨人」を継承した男性。
ピーク・フィンガーは、四足歩行の「車力の巨人」を継承した女性。
戦いに勝って、日常に戻ってきた戦士候補生は、兄貴分であるライナーと街をめぐる。
その夜、マーレの戦士・戦士候補生・一般兵士たちは、故郷のレベリオの帰路につく。
進撃の巨人93話『闇夜の列車』で発生した伏線・謎
残された謎
進撃の巨人93話『闇夜の列車』で解決した伏線・謎
進撃の巨人93話『闇夜の列車』の表現・対比
進撃の巨人93話『闇夜の列車』の考察・解説
進撃の巨人93話『闇夜の列車』の考察・解説動画
サブタイトル『闇夜の列車』の意味
中等連合との戦争を終えたマーレ兵士は、闇夜の列車に乗って、故郷に帰る。
ライナーとファルコの話から先行きの見えない暗さや、一本道の未来も示唆している。
関連進撃全話のサブタイトルの意味を考察
ポイント:マーレ編の核心へ
コルト・ライナー・ジークの心理戦と継承の運命
コルトが会議に出席する意味
マーレ編での軍事会議に、若き戦士候補生であるコルト・グライスが出席している場面に注目してみましょう。彼はただの少年兵ではなく、「次の獣の巨人継承者」として確定している重要な立場にいます。
この会議では、上官であるマガト隊長から「戦局をどう見るか」と問われ、戦略的な意見を求められる描写があります。これは単なる命令待ちの兵士ではなく、「指揮官候補」としての育成、いわば**OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)**の一環として描かれているのです。
実際、会議にはライナーの姿がないにもかかわらず、コルトはジークのすぐ後ろに座っており、マーレ政府におけるコルトの将来性の高さが示唆されています。
元帥とマガトの対比に見るマーレの限界
会議では、カルヴィ元帥とマガト隊長という二人の幹部の考え方の違いが浮き彫りになります。
元帥は「羽の生えた巨人はいなかったのか」と発言し、現実離れした楽観的な発想を口にします。これは、巨人の力に頼りすぎた結果、現代兵器の進化についていけていないマーレの姿を象徴しているようです。
一方、マガトは「巨人の力にあぐらをかいてきたツケが回ってきた」と冷静に現状を分析し、ジークのことも疑いの目で見ています。彼のセリフ「20年以上見てきたが、未だ底を知れぬガキのままだ」という言葉からも、用心深く、かつ有能な軍人としての資質が伺えます。
グライス家の過去とライナーの過剰な脅し
ファルコがライナーに「ガビを戦士にしたくない」と本音を漏らした場面では、ライナーが極めて強い脅しの言葉で返します。
「コルトの継承権を剥奪されるどころか、一家丸ごと次の飛行船から巨人兵器として落とされるぞ」
この発言は一見過剰なように感じられますが、24話で明かされる真実がその背景にあります。グライス家は、かつてグリシャを革命に巻き込んだ人物の血縁であり、すでにマーレ政府からは「危険思想を持つ家系」と見なされていたのです。
ファルコやコルトは、家族を守るために自ら戦士候補生となり、忠誠を示す必要がありました。だからこそ、ライナーは「これ以上目をつけられたら全滅だ」という切実な危機感から、ファルコを強く叱責したのでしょう。
ジークの正体に迫る伏線
この時期のジークは、忠実な戦士として振る舞っているものの、その言動には多くの違和感が漂っています。
コルトが「ジークさんはなぜ特別なのか。王家の血でもないのに」と問いかけたとき、ジークは煙草をくわえたまま答えをはぐらかします。
この伏線が意味するのは、後に明かされるように、ジークが王家の血を引いている事実を隠していたこと、そしてその裏で「安楽死計画」という自身の理想を遂げようとする陰謀の存在です。
ライナーの地獄とポルコの憎悪
ポルコ・ガリアードは、ライナーに対して強い敵意を抱いています。その理由は二つあります。
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本来「鎧の巨人」を継承するはずだったのはポルコだったが、兄・マルセルの策略によってライナーが選ばれた
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そのマルセルは、パラディ島潜入時にライナーを庇って命を落とした
さらに、ポルコはユミルの記憶を通して、ライナーがマルセルの死に責任を感じ、「マルセルの代わり」として過ごしていたことを見抜きます。兄の真似をして兵士を演じるライナーに、ポルコは怒りをぶつけ、「お前の言っていることは全て正しい」と返すライナーの姿は、罪悪感と自己否定に沈む地獄のような心理状態を表しています。
アッカーマン家の謎と巨人科学
この時点で、アッカーマン家についていくつかの新事実が判明しています。
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ミカサ、リヴァイ、ケニーは記憶改ざんが効かない
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彼らの力は「巨人科学の副産物」である
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王家の伝承にしか残っていないはずの存在だった
この情報から、アッカーマン家は王家の管理下に置かれていた可能性が高く、巨人の力を扱うために作られた存在という、SF的な要素すら感じさせます。
ガビの英雄願望とエレンの恐怖
ガビは「みんなから感謝されたい」「英雄になりたい」という純粋な憧れを持っています。この描写は、かつてライナーが抱いていた願望と重なります。
ただし、その願望はやがて復讐と殺意にすり替わっていき、読者は「この子がどうなってしまうのか」と不安を覚えるようになるのです。
さらにこの時点で、エレンがすでに潜入していたという事実も明かされます。髪を伸ばし、腕章を右に付けた不審な姿で、すでにライナーたちを観察していたのです。
闇夜の列車が示す未来
列車に揺られながら語られる未来の話。その車窓の外には真っ暗な夜空が広がっています。タイトル「闇夜の列車」は、登場人物たちの未来がまったく光の見えない絶望の中にあることを象徴しているようです。
「お前がガビを救い出すんだ。この真っ暗な俺たちの未来から」
そう語るライナーの言葉には、自身の人生の後悔と、次世代に託したい希望とが滲んでいます。
進撃の巨人93話『闇夜の列車』の感想・ネタバレ
進撃の巨人93話『闇夜の列車』の感想動画
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