【進撃の巨人】第71話『傍観者』考察・解説・感想【ネタバレ】

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進撃の巨人71話『傍観者』のあらすじ

訓練兵団教官のキース・シャーディスの回想回。
キースは、グリシャとの出会い、エレンの母カルラとの関係、調査兵団団長を志した理由、超大型巨人襲来の日に起きた出来事を話す。
ハンジは、尊敬していたキースが退いた理由を聞いて、憤りを隠せない。

【時期】850年
【場所】パラディ島

進撃の巨人71話『傍観者』で発生した伏線・謎

Qグリシャが壁の外にいた理由は?
(18巻71話)

A
(21巻86話)

Qグリシャがカルラの敵討ちを自分でやらない理由は?何故エレンに託す?
(18巻71話)

A
(22巻88話)

Qグリシャがキースに強く当たる理由は?何故関わらないでほしいのか?
(18巻71話)

A
(22巻88話)

Q特別ではない「傍観者」というキースの認識
(18巻71話)

A
(32巻129話)

Qキースの読み「(エレンは)自らの命を燃やし 壁の外で燃え尽きるのだろう」
(18巻71話)

A
(34巻139話)

関連進撃全話の伏線・謎まとめ

残された謎

Qキースがグリシャと出会ったのは20年前?
(18巻71話)

A
(巻話)

進撃の巨人71話『傍観者』で解決した伏線・謎

進撃の巨人71話『傍観者』の表現・対比

進撃の巨人71話『傍観者』の考察・解説

進撃の巨人71話『傍観者』の考察・解説動画

サブタイトル『傍観者』の意味

特別になりたかったキースは、何も変えられない「傍観者」だと自認。
関連進撃全話のサブタイトルの意味を考察

ポイント

キース・シャーディスの人生

皆さん、この人覚えていますか? 第1話で「何の成果も!! 得られませんでした!!」と絶叫していたあの兵士です。実は彼、エレンたちの訓練兵時代の教官を務めていましたが、その前は調査兵団の団長、つまりエルヴィンの前任者だったのです。

リヴァイが「お前、変わったな」と言うように、見た目も性格もだいぶ変化しています。髪の毛がすっかりなくなってしまったので最初は気づかないかもしれませんが、重要な過去を背負っている人物です。

「特別になりたい」という呪い

キース・シャーディスという人は、実は「特別でありたい」という強い欲求、いや呪いのような思いに取り憑かれて生きてきた人でした。

彼はある日、壁の外からやって来た謎の男・グリシャ・イェーガーと出会います。この出会いがキースの人生に大きな影響を与えました。

グリシャはキースにこう言います。「お前は特別だ。選ばれし者だ」と。普段なら褒め言葉に聞こえるこの一言が、キースにとっては呪いとなります。なぜなら彼はずっと、「自分は他人とは違うはずだ」「特別な存在であるはずだ」と心のどこかで思い続けていたからです。

調査兵団の団長として

その後キースは調査兵団の団長に就任します。団長になれば成果を出せる、偉業を達成して人に認められるはずだ──そう信じて努力します。しかし、現実は非情でした。数々の壁外調査で部下が死んでいくなか、自分だけが生き残る。その繰り返しでした。

さらに悲劇的だったのは、想いを寄せていたカルラを、グリシャに奪われてしまうこと。団長という地位を得ても彼女の心は得られず、その喪失感がキースをより深く傷つけました。

カルラと久しぶりに再会したとき、彼女は「あなた、このまま死ぬまで続けるつもりですか?」と心配の言葉をかけてくれます。しかしそれをキースは「非難」と受け取り、逆上してしまいます。

「凡人は何もせず死ぬまで生きていられる」「偉業は波大抵の者に成し遂げられるものではない」と激しい言葉をぶつけるキース。そこには、「特別でなければならない」という呪いと、「それでも認められない」という苦しみが滲んでいました。

特別ではないという事実の受容

キース・シャーディスは最終的に、自分が特別ではなかったという事実を認め、団長の座をエルヴィンに譲ります。

エルヴィンが提案した「長距離索敵陣形」など、合理的で犠牲の少ない戦略により、成果が出るようになっていきました。それを見て、キースはようやく悟るのです。自分は特別な存在ではなかったと。

このとき、彼は「特別な人間は確かに存在する」と言い、エルヴィン、リヴァイ、ハンジたちの名を挙げます。皮肉にも、その“特別”の存在を認めたことで、自分の“凡人”としての位置もようやく受け入れられたのでしょう。

エレンに受け継がれる呪い

実はこの「特別でなければならない」という呪いは、エレンにも受け継がれていきます。エレンは巨人の力を手に入れたことで、自分は特別な存在だと信じ始めます。

しかし、失敗が続き、多くの仲間が自分のせいで死んでいく。その中でエレンは、「自分は本当に特別なのか?」と苦しみ始めます。

そんなエレンを救ったのは、キース・シャーディスが伝えた母カルラの言葉でした。

「特別じゃなきゃいけないですか? 優れてなくたっていい。だって見てください、こんなに可愛い。この子はこの世界に生まれてきてくれた、それだけで偉いんです。」

この言葉は、無条件の愛情、存在そのものへの承認を表す名言です。エレンはこの母の言葉を、シャーディス越しに聞くことで、自らにかけられていた呪いを解いていきます。

小ネタと象徴的な演出

ここでいくつかの小ネタも紹介しておきます。

  1. 森のモチーフ

     グリシャがエレンに力を託す場所が森であり、サシャの父が「我々は今、森の中にいる」と語ったのも森。戦いの連鎖や宿命の象徴として、森は重要な背景になっているのかもしれません。

  2. エレンの立体機動装置の不調

     1話でエレンが立体機動装置に立てなかったのは、実はキース・シャーディスが再調整していたから。これは、彼なりの優しさだったと解釈できます。グリシャの道ではなく、自分自身の道を選んでほしい──そんな願いが込められていたのかもしれません。

  3. ハンジとキースの関係

     ハンジはかつて、キースに憧れていました。しかしその尊敬の裏返しとして、後に彼へ非常に厳しい言葉をぶつけます。「あんたの劣等感なんかと比べるな」など、感情のこもった言葉の背景には、元団長への複雑な思いがあるのです。

グリシャとシャーディスのすれ違い

グリシャは記憶喪失を装い、キースの助けで壁内に入ります。その後も彼は自らの正体を隠し続けますが、記憶障害というよりは、未来のエレンの影響を受けて行動していたと考えると、非常に興味深いです。

「その子には関わらないでくれ」という言葉も、冷たさというより、未来を知ったグリシャの“優しさ”だったのかもしれません。

キース・シャーディスという人物を通して描かれるのは、「特別でなければいけない」という呪いと、それをどう乗り越えるかという問いです。特別でなくても生きていていい。そういうメッセージが、この物語には確かにあります。

そしてこのテーマは、エレンやジーク、グリシャ──すべてのキャラクターに共通する深いテーマでもあるのです。

以上、キース・シャーディスの物語でした。

進撃の巨人71話『傍観者』の感想・ネタバレ

進撃の巨人71話『傍観者』の感想動画

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