【進撃の巨人】第72話『奪還作戦の夜』考察・解説・感想【ネタバレ】

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進撃の巨人72話『奪還作戦の夜』のあらすじ

ウォール・マリア奪還作戦の前日。
エルヴィンはリヴァイの願いを無視して、作戦に参加することを譲らない。
人類の勝利よりも、この世の真実が明らかになる瞬間に、自分が立ち会うことが大切だとリヴァイに伝える。

奪還作戦前夜祭を抜け出したエレン・アルミン・ミカサは「壁の外の海を見る」夢を語り合う。
リヴァイはアルミンが夢を語る姿を裏で聞いていた。

そして、ついにウォール・マリア奪還作戦が始まる。
調査兵団は過去に類を見ない住民からの支援・期待を受けながら、シガンシナ区を目指す。

【時期】850年
【場所】パラディ島 トロスト区

進撃の巨人72話『奪還作戦の夜』で発生した伏線・謎

Qリヴァイがエレン達幼馴染3人の「夢」の話を盗み聞きする
(18巻72話)

A
(21巻84話)

A
(34巻136話)

Qアルミンの夢の話に反応が悪いエレン。それを察知するアルミン
(18巻72話)

A
(22巻90話)

関連進撃全話の伏線・謎まとめ

残された謎

Q
(18巻72話)

A
(巻話)

進撃の巨人72話『奪還作戦の夜』で解決した伏線・謎

進撃の巨人72話『奪還作戦の夜』の表現・対比

進撃の巨人72話『奪還作戦の夜』の考察・解説

進撃の巨人72話『奪還作戦の夜』の考察・解説動画

サブタイトル『奪還作戦の夜』の意味

ウォール・マリア奪還作戦前夜。
3話「解散式の夜」と対比。
関連進撃全話のサブタイトルの意味を考察

リヴァイとエルヴィンの関係の変化

リヴァイの疑念

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社

物語が進むにつれ、リヴァイとエルヴィンの関係には大きな変化が生じていきます。リヴァイにとってエルヴィンは、かつて「自分を上回る存在」として絶対的に信頼を置いていた人物でした。彼は命令の真意を問わず、その判断を受け入れて従ってきたのです。

しかし、リヴァイはエルヴィンに対する疑念を抱くようになります。コニーの母が巨人化した場面において、エルヴィンは「人間が巨人になる可能性」を示す事実を前に、不敵な笑みを浮かべました。その瞬間、リヴァイは「エルヴィンには何かある」と直感的に感じ取りました。

エルヴィンの執着に苛立ち

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社

さらに、ザックレーとの会話を通して、エルヴィンが幼少期に抱いた夢――「父の仮説を証明したい」という私的な願望を抱えていたことが明かされます。この夢は、エルヴィンが長年秘めてきた動機であり、彼の選択の根幹にあったのです。

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社

ウォール・マリア奪還作戦において、右腕を失いながらも前線に出ることを望むエルヴィンに対し、リヴァイは冷静に反対します。「お前は椅子に座って頭を動かすだけで十分だ」と語り、人類の勝利のためには前線に出るべきではないと諭すのです。

しかしエルヴィンは、自らの夢――「この世の真実に立ち会うこと」――に執着を見せ、「私は行かなければならない」と主張します。その目は純粋な欲望と覚悟に満ちており、リヴァイはその本音を見抜きます。

信頼の言葉に込められた本音

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社

「お前の判断を信じよう」――この言葉は、リヴァイが過去にも幾度となく口にしてきた信頼の表明でした。しかし、このときのそれは意味が異なります。かつてのような絶対的な信頼ではなく、あきらめと怒り、そして皮肉が入り混じった言葉なのです。

これはまさに、エルヴィンの個人的な夢と、人類の未来という大義が交錯する瞬間でした。リヴァイはその両面を受け止めながらも、最終的にはエルヴィンの意志を尊重する決断を下します。

前半のリフレインが告げる終幕

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社

このエピソードには、物語序盤のリフレインが数多く描かれています。エレンとジャンの喧嘩、ハンネスを想起させる描写、アルミンが語る「海への夢」など、どれもかつての記憶を呼び起こすシーンです。

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社

特にアルミンが夢を語る場面では、かつての希望と、現実の過酷さが対比的に描かれ、エレンの変化した内面が浮かび上がります。このようなリフレインは、物語の終盤が近づいていることを、読者に静かに伝えているのです。

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社

序盤と違うのはエレンの心情です。純粋な好奇心で海を見に行く夢を語るアルミンに対して、エレンは夢を見失っている状態でした。アルミンはそれを悟っています。

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社

しかし、あえて気づかない振りをしてエレンを励まします。それを後ろで聞いているリヴァイ。この場面が後のリヴァイの意思決定へ響いていきます。第84話「白夜」ではこのアルミンの夢が重要になります。

感情の揺れと八つ当たり

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社

リヴァイがジャンとエレンの喧嘩を止める際、必要以上に激しく殴る描写があります。これはリヴァイの中にある怒り――エルヴィンに対するもどかしさや苛立ち――が、無意識のうちに現れた行動でした。冷静さを保つ彼にも、人間らしい感情の爆発があることを物語は示しています。

民衆の手のひら返し

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社

調査兵団の出発に際し、かつては罵声を浴びせていた民衆が、手のひらを返したように「街を救ってくれてありがとうお!!」と叫ぶ場面も印象的です。叫ぶ男性の後方では子を抱く母親が微笑んでいます。この人物たちは第53話「狼煙」で登場していました。

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社

トロスト区の住民はウォール・ローゼ騒動編の被害者であり、今も苦しい生活を送っています。以前は調査兵団にヘイトを向けていましたが今は応援する姿勢をとっています。

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社

親子も以前は調査兵団を睨みつけていましたが、今は微笑みを浮かべています。これらの演出は、社会の風向きの変化を皮肉と共に描いています。

エルヴィンの人間性

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社

エルヴィンが民衆に応援され、「うおおお!」と雄叫びをあげる場面も大きな見どころです。完璧な人間だと思われていた彼が、次第に人間らしい一面を見せていく姿が描かれています。

その中で表れるのは、純粋に「知りたい」という欲求です。目的に向かって突き進む姿が象徴的に描かれ、理性と戦略で動いていた彼の中に、感情が芽生えつつあることが伝わってきます。

その表情には、人間らしさや脆さ、そして夢を抱く者ならではの歓喜がにじみ出ているのです。

このように、今回はエルヴィンとリヴァイの関係性の変化が深く描かれ、同時に物語全体のリフレインと終幕への伏線がちりばめられています。読者にとっても「人間とは何か」「夢とは何か」を問いかける、濃密なエピソードとなっています。

進撃の巨人72話『奪還作戦の夜』の感想・ネタバレ

進撃の巨人72話『奪還作戦の夜』の感想動画

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