この記事の目次
進撃の巨人39話『兵士』のあらすじ
南班と西班は合流し、ウトガルド城で休んでいた。しかし巨人の襲撃にあい、防衛戦を強いられる。
ライナーは捨て身でコニーを助けて「普通のことだろ…兵士なんだからよ…」と語る。
一方ベルトルトは「昔のライナーは戦士だった」と、ライナーの発言を否定する。
獣の巨人の追撃は止まらず、調査兵団兵士たちは窮地に陥る。
進撃の巨人39話『兵士』で発生した伏線・謎
残された謎
進撃の巨人39話『兵士』で解決した伏線・謎
進撃の巨人39話『兵士』の表現・対比
進撃の巨人39話『兵士』の考察・解説
進撃の巨人39話『兵士』の考察・解説動画
サブタイトル『兵士』の意味
パラディ島の兵士状態のライナーは命を賭けて仲間を助ける。
42話「戦士」と対比。
関連進撃全話のサブタイトルの意味を考察
兵士ライナーの暴走がひどい
調査兵団たちが休息を取っていたウトガルド城に巨人が大量に現れます。現在、104期生たちは立体起動装置をはじめ武器を持っていない状態です。城内に巨人が侵入して来てもバリケードを作って時間稼ぎをするのが精一杯です。
ライナーは「巨人がどこまで来てるか見てくる!」「お前らは板でも棒でも何でもいい!かき集めて持ってきてくれ!」と先陣を切っていきます。
ベルトルトは「待てよライナー!待つんだ!」とライナーを引き止めます。
ベルトルト目線ではホラー
ライナーは自分が「戦士」なのか「兵士」なのか分からなくなっている状態です。マーレの戦士としての使命を忘れて、パラディ島の兵士として104期の仲間を守るために危険な行動を取っています。今回もわざわざ巨人の方に突っ込んで行くので危ない役目をかってでています。完全にこの場面は「兵士モード」のライナー状態です。
これをベルトルトの目線から見ると実はホラー映画のような状況です。ライナーの行動はまさに奇行であり、何を考えているか分からない状態です。
第38話「ウトガルド城」でライナーとベルトルトは「獣の巨人」を見ています。戦士長の姿を見て、ライナーはマーレの戦士の使命思い出したはずです。それにも関わらず、104期の仲間を守るために危険な行動をとるライナーを見てベルトルトは困惑しています。
コニーが「訓練でも本番でも変わらねえのかよ…真っ先に一番危険な役回りを引き受けやがって…あいつには敵わねぇな…」と言います。
ベルトルトが「あぁ…悪いクセだ…」と語ります。この「悪いクセ」は本当の意味での悪い行動であり、ライナーを非難している描写です。
ライナー自身が「戦士」と「兵士」の間で精神的に揺れ動いている状態です。本人も分からない状態で行動しているのでベルトルトと同様に読者も混乱します。いわゆるミステリー小説でいうところの叙述トリックのようなものです。この謎の要素が伏線としてずっと張り巡らされています。
戦士ライナーにベルトルト安堵
ベルトルトがライナーを命がけで助けます。104期生の他のメンバーよりもベルトルトが率先してライナーを救っていることも2人がマーレの戦士であることを知ると納得です。
ライナーはベルトルトに対して「生き延びて帰るぞ…絶対に俺達の故郷にな」と語ります。「故郷」という発言とライナーの表情を見てベルトルトは喜びます。ライナーがマーレの戦死であるを忘れていなかったのか!と安堵します。
やっぱり兵士ライナーでベルトルト失望
ライナーとベルトルトで巨人を倒した後、2体目の巨人がコニーを襲います。その時、ライナーはコニーを守るために身を挺し、腕を噛まれます。怪我は重症で腕の骨が折れてしまうほどでした。
この時のベルトルトの心境を思うと切ないです。さきほど「戦士ライナー」に戻ったと思ったら、また「兵士ライナー」になってしまった…という場面です。特に今回は捨て身の行動で重症を負ってしまったので、ベルトルトも絶望の表情です。
ライナーに救われたコニーが自分は命を迷いなく自分の命を懸けたりできない、「ライナーって昔っからこうなのか?」とベルトルトに問いかけます。
ベルトルトは「イイヤ、昔のライナーは…戦士だった」「今は違う」と語ります。ベルトルト的には皮肉や注意喚起的な発言だったのでしょうが、ライナーは完全に兵士モードに入っているので「なんだそりゃ?戦士って何のことだよ?」と真っ直ぐな目で聞いてきます。ベルトルトの心は完全に折れているでしょう。
ライナーが「兵士」なのか「戦士」なのか揺れ動いている状態が続く展開です。
ライナーの回想の伏線と回収
ライナーがピンチになった際の自問自答が伏線として描かれているので注目です。
「(このままじゃ…俺はここで…ここか?俺の最期はここなのか…?)」
このタイミングで回想が入ります。マーレ国から来てパラディ島に来たばかりの頃、仲間のマルセルがユミル巨人に食われた光景を思い返します。この場面の詳細は第95話「嘘つき」で描かれます。
マルセルになるライナー
ライナーが身を挺してコニーを助ける場面は過去にマルセルがライナーを助けた場面のリフレインです。顎の巨人を継承していたマルセルは頼れる兄貴的存在であり、リーダーでした。第96話「希望の扉」でマルセルを失ったマーレの戦士たちは揉めて争います。その際にライナーが「マルセル必要なら…俺がマルセルになるから…」という発言をします。兵士ライナーが頼れる兄貴分の存在になったのはマルセルの存在が影響しているからなのです。
アニがいた真実が描かれる
これは第95話「嘘つき」の場面です。ライナーの回想には描かれていませんでしたが、マルセルが食われた時に実はここにアニがいたことが分かります。
ライナーとベルトルトは裏の顔はマーレの戦士ですが、表の顔として2人は同郷であり、村で巨人が来て襲われて兵団に入ったという面があります。ここで不自然さを感じずにやり過ごせてきたポイントとして「村」や「故郷」という発言に違和感が無かったことです。2人は「故郷に帰る」と発言をしていますが本心で言っている部分もあるので、エレンたちも読者もそのまま受け取ることができたのも面白い伏線でした。
戦士達の迷い
ライナーだけでなくアニもコニーを助けていたことが読者を混乱させました。コニーがライナーに語ります。
「俺…お前に助けられてばっかだな…あぁ…そういやアニにも命張って助けられたよな」「いつか借りを返さねぇと…」
これに対してライナーが返します。
「別に…そりゃあ」「普通のことだろ…兵士なんだからよ…」
第9話「心臓の鼓動が聞こえる」でコニーはアニにも助けられています。現時点でアニが「女型の巨人」であることが判明しています。壁内人類の敵であるにも関わらず、104期生を助ける行為をしているので、読者が混乱する要素になっています。
気合の入った作画の巨人
ライナーが塔を降りて行き扉を開けると巨人が現れるというホラーな展開があります。この巨人について漫画の場面紹介とともに諫山先生が語っています(記事はこちら)。
――これまでに描いた巨人でお気に入りの個体はいますか?
諫山 第10巻で、ライナーが塔を下りて扉を開けたときに待ち構えている巨人は好きですね。巨人は、ともすれば適当に描きがちなんですけど、そのシーンは不気味で怖く見えないと成立しないと思い、全力で描きました。ほかにも「ここだけはスベれない」という場面で描いた巨人はどれも気合いが入っているので、思い入れが深いです。(『進撃の巨人』の原点 諫山創×川窪慎太郎 ロング対談、Febri)
アニメでもおぞましい姿に動きと声がついてド迫力でした。
進撃の巨人39話『兵士』の感想・ネタバレ
進撃の巨人39話『兵士』の感想動画
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