この記事の目次
進撃の巨人42話『戦士』のあらすじ
ウトガルド城で巨人を撃退後、状況を整理するハンジ達調査兵団。
ベルトルトの「故郷に帰れる」発言から、ライナーの様子が変わる。
ライナーは淡々と「自身が鎧の巨人で、ベルトルトが超大型巨人」と語り始める。
エレンは、あえて取り合おうとしないが、ライナーは「勝負はここで決める」と決意を固める。
様子をうかがっていたミカサが、エレンの危機を察知し、敵二人に斬りかかる。
その傷をキッカケに、ライナー・ベルトルトは巨人化。エレン・ユミルを誘拐する。
進撃の巨人42話『戦士』で発生した伏線・謎
残された謎
進撃の巨人42話『戦士』で解決した伏線・謎
進撃の巨人42話『戦士』の表現・対比
進撃の巨人42話『戦士』の考察・解説
進撃の巨人42話『戦士』の考察・解説動画
サブタイトル『戦士』の意味
ライナーとベルトルトが壁を破壊した戦士(巨人)であることをカミングアウト。
39話「兵士」と対比。
関連進撃全話のサブタイトルの意味を考察
ライナーの疲労
ライナーは「兵士モード」と「戦士モード」を行き来している精神状態です。現在はウトガルド城から脱出し安堵している兵士モードのライナーです。ライナーはぼやきます。
「自分で選んだ道だが兵士をやるってのはどうも…体より先に心が削られるみてぇだ…」
ライナーが疲弊する姿を見てベルトルトはライナーを励まします。
「故郷だ!帰ろう!」「もう帰れるじゃないか」「今まで苦労してきたことに比べれば後少しのことだよ」
「今まで苦労してきたこと」というのはライナーたちがマーレからパラディ島に潜入して「始祖の巨人」を探し求めて壁を2度も壊したり、3年間兵士のフリをして過ごしているなど苦労していることがわかります。
ライナーは「そうか…」「…後もう一息の所まで来ているんだったな」と言って戦士モードに切り替わります。
ライナーたちの目的は「始祖の巨人」を奪還することです。その中で知性巨人のエレンを発見したのでエレンを持って帰れば手柄にはなるだろうと考えているでしょう。さらにユミルが「顎の巨人」なので一緒に連れて帰るつもりでいます。
2人が故郷へ帰るモチベーションが上がった理由として「獣の巨人」が現れたことも大きいでしょう。
衝撃的のカミングアウト
これは漫画史・アニメ史に残るであろう最も地味なカミングアウトの場面です。
「俺たちは5年前、壁を破壊して人類への攻撃を始めた」「俺が鎧の巨人で」「こいつが超大型巨人ってやつだ」
読み間違いかと思うほど、さり気なく衝撃的なカミングアウトをするライナー。ここは見開きで1ページでライナーの表情を見せてた上で「俺が…鎧の巨人なんだ!!(バァーーン!!)」となってもいいはずな内容です。
それをこんな風にサラリと描いてしまう演出は「アンチ少年漫画」的な諫山先生のチャレンジスピリッツが感じられます。
諫山先生のインタビューでも「最も印象に残っているシーンは?」という質問にもこの場面について語っているものがありました(動画はこちら)。
「講談社のネーム室で何時間もずっと机に向かって考え続けてできたシーンだったので思いつた時はすごく興奮したというか、いい演出ができたなという所で思い出深いです。」
ライナーの説得
このカミングアウトはライナーが勝手に始めてしまったことであり、ベルトルトが「何を言ってるんだライナー」と困惑しています。
その後もライナーはエレンに語り続けます。
「俺達の目的はこの人類すべてに消えてもらうことだったんだ」「だが…そうする必要が無くなった」
「エレン…お前が俺達と一緒に来てくれるなら俺達はもう壁を壊したりしなくていいんだ」「わかるだろ?」
ライナーの視点で考えれば人類のためになる方法として提案しているわけですが、エレン視点で考えると全く理解ができません。エレンは壁の外の世界があることすら知らないので、信じる根拠がない状態です。
ライナーはこの時、かなり混乱していて説明力も説得力も欠けています。ベルトルトもこれを聞いて「ライナーは疲れてるんだ!」と一旦はエレンを誤魔化そうとします。
エレンが「そんなこと言われてオレが『はい!行きます』って頷くわけがねぇだろ」と答えます。そのタイミングでライナー自身が我に返ります。自分自身が言ったことのおかしさに気づくんです。
戦士ライナー
「俺たちはガキで…何一つ知らなかったんだよ」「こんな奴らがいるなんて知らずにいれば…」「俺は…こんな半端なクソ野郎にならずにすんだのに…」と語るのです。
ライナーがガビに語ったように、マーレ国でパラディ島のみんなは悪魔だ、悪魔の末裔だと教育を受けて真実を何一つ知らなかった。
でも実際にパラディ島に来てみると同じ人間が生活しているだけで、悪魔なんかじゃなかった、ということです。自分のことを慕ってくれたり、尊敬してくれたり、助けてくれる仲間がいることを知らずにいたなら、作戦だけを考えて行動できていた。単純な二言論で割り切って島の人間は全員悪魔だと思っていれば、クソ野郎にならずに済んだと言ってます。
「もう俺には…何が正しいことなのかわからん…」「ただ…俺がすべきことは自分のした行いや選択した結果に対し」「戦士として最期まで責任を果たすことだ」
戦士としてパラディ島で「始祖の巨人」を奪うために壁を破壊し、人も殺してきました。マーレの戦士としての行動は正しかったかもしれないです。しかし、パラディ島の人間が悪魔ではないことを知り、兵士としての人格が生まれたことで、何が正しいかわからなくなったライナーもいます。
けれども、それら全て踏まえた上で戦士として作戦をやり遂げる決意をします。
ライナーの戦士としての発言は、マーレ側からの視点として重要な場面です。作品の視点が切り替わり、行動や発言の持つ意味が変わるというのは作品を構成する上で重要視されてきた要素です。
第39話「兵士」では兵士ライナーの姿が描かれているのに対して、今回の第42話「戦士」ではサブタイトルにある通りライナーが本性である戦士の姿をさらけ出すエピソードになっています。進撃の巨人10巻は「兵士」から始まって「戦士」で終わる秀逸なタイトルとなっています。
「やるんだな!?」
ライナーの覚悟を見たベルトルトの名言があります。
「やるんだな!?今…!ここで…」
ライナーの返しもセットで覚えておきたいですね。
「あぁ!勝負は今!!ここで決める!!」
ここぞ!という時に使いたい言葉です!!
ミカサの躊躇い
そのライナーとかベルトルトが「女型の巨人」の関係者であるということを、エレンたちは事前に知っていました。そのため、ミカサはエレンの近くにいて警戒していたのでライナーたちの会話も絶妙な距離で聞いていました。
そして、ライナーとベルトルトが巨人化するタイミングで躊躇なく斬りかかりますが、殺すことはできませんでした。それには躊躇う気持ちがあったからということが分かります。
第43話「鎧の巨人」でミカサはモノローグで「(あの時…二人の首をちゃんと…刎ね落としていれば…最大の機会を…私ならできたはず……なぜ)」と語っています。仲間であるライナーとベルトルトが人類最大の敵であることはミカサでさえも受け入れることは困難で無意識に殺すことを躊躇ってしまったのでしょう。そして、第48話「誰か」でミカサは「今度は躊躇うことなく奴らを殺す」と覚悟を決めています。
ミカサは冷静なキャラクターに見えますが実は動揺したり、怒ったり、感情的になるキャラクターです。
第31話「微笑み」でアニが「女型の巨人」であると確定した時の場面でもそうでした。
「これ以上聞いてられない不毛」「もう一度ズタズタに削いでやる」「女型の巨人」
このようにしっかり口上を述べていました。宣戦布告してから戦闘を仕掛ける様子から人情的な義理堅さや元の仲間意識も感じます。
それを踏まえると今回は斬りかかる反応も早く、仲間であっても殺さねばならないと割り切ることができていたのかもしれません。それでも躊躇があって殺しきれなかったということです。この後もミカサの行動に着目すると面白い点があるので今後も紹介していきますね。
進撃の巨人42話『戦士』の感想・ネタバレ
進撃の巨人42話『戦士』の感想動画
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