【進撃の巨人】第7話『小さな刃』考察・解説・感想【ネタバレ】

タキ

TwitterYoutube もやってます。

進撃の巨人7話『小さな刃』のあらすじ

ミカサはエレンが巨人に食べられた(死んだ)ことを知り、ショックを受ける。
動揺を隠しながらも兵士を先導し巨人に立ち向かうが、ガス欠で絶体絶命の状況に。
エレンの「戦え」という言葉を思い出し、巨人に立ち向かうため、再び立ち上がる。
そこに巨人を倒す巨人が出現し、ミカサの窮地を救う。

【時期】850年
【場所】パラディ島シガンシナ区

進撃の巨人7話『小さな刃』で発生した伏線・謎

Qライナー班の会話と「まだだ…やるなら集まってからだ」発言の意味
(2巻7話)

Aライナー・アニ・ベルトルトはマーレ戦士だった。トロスト区の内門を破壊するタイミングを伺っていた。「巨人が集まってから」作戦を決行しようと考えている。一方で、マルコはライナーたちが敵の巨人ということを知らないため、発言の真意を理解せずに、会話に参加している。
(19巻77話)

Qミカサの頭痛4回目
(2巻7話)

A実の両親に続いて、カルラ・エレンという家族を失ったミカサの苦しみ。
()

Qミカサの回想の「巨大樹の下で寝ているエレンの姿」
(2巻7話)

Aシーンそのものは1巻1話であった描写。138話「長い夢」回でのミカサの「いってらっしゃい」シーンを示唆している?
(34巻138話)

Qミカサを助けた巨人の正体は?
(2巻7話)

Aはじめて人類に味方をする巨人の正体は「エレン巨人」だった
(2巻9話)

関連進撃全話の伏線・謎まとめ

残された謎

Q
(2巻7話)

A
(巻話)

進撃の巨人32話『慈悲』の表現・対比

1ミカサは幼少期から見てきた「この世界の残酷さ」を思い出し、目の前の無垢の巨人と戦う覚悟を決める。
(2巻7話)

2エレンは「世界が残酷」であることを受け入れて、アニ巨人と戦う覚悟を決める。
(8巻32話)

進撃の巨人7話『小さな刃』の考察・解説

進撃の巨人7話『小さな刃』の考察・解説動画

このブログの内容は以下の動画でも解説しています

サブタイトル『小さな刃』の意味

回想の少年エレンが強盗を刺した「ナイフ」と、
ミカサが巨人に向けた「折れたブレード」
関連進撃全話のサブタイトルの意味を考察

ポイント

最初に重を口に突っ込んで死ぬ兵士の姿が怖かった(フルメタル・ジャケットを参照?)

タイトルの小さな刃が今と昔でつながっている点が秀逸。

ジャンの「お前ら本当に腰抜けになっちまうぞ!」に対して、「そいつは心外だな」というライナーは兵士の兆しが見える。

この世界は残酷で美しい

7話のエレンとミカサのセリフが印象的です。「この世界は残酷だ」と言った後に、巨人に殺されそうになっているシーンで「とても美しい」と言っています。この残酷な世界で生きてしまった自分が、他の弱い生き物を食べて生きてきた自分が、「美しい」という感情を抱くのです。

最初に座りながら語る「この世界は残酷だ」は、諦めの意思表示です。巨人が来ている状況でただ座っているだけ、巨人の方を見て対応しようともせずに、弱肉強食の世界の中で犠牲になりかけている。巨人という強者に対して、自分は弱者側だと。

その後に「この世界はとても美しい」と言っています。弱肉強食の世界の中にも、愛情や思いやりがある。その時の思い出は美しいし、弱肉強食で殺し合いが行われたとしても、死ぬまでその記憶は絶対に奪われない。美しい記憶は、奪われない。ただし、その美しさはグロテスクな弱肉強食の世界の上に成り立つ。

ミカサも今まで他の生物と命とかを食べてきた、そういう残酷さの上で生きているから、美しさを感じられる。だからこの世界は残酷で、とても美しいのです。

 

マーレ戦士の伏線「超大型巨人2度目の出現タイミング」

「ライナーとベルトルトとアニが、マーレ国の戦士でパラディ島に潜入している」背景を踏まえて、進撃の巨人の前半を読み返すと非常に面白いです。

なぜ、850年に超大型巨人が二度目の出現をしたのか?

後ほどライナーの回想で語られる通り「調査兵団が壁街調査のタイミングだった」からです。

ライナー・ベルトルト・アニは「ウォールローゼを破壊することで、始祖の巨人を炙りだす」作戦を計画していました。

そのタイミングとして、驚異となる調査兵団がいない日を選んだのです。

「俺たち訓練兵のトロスト区滞在期間中に、調査兵団が壁街調査で出払う日だ。壁内は混乱極め、俺たち訓練兵も現場に駆り出される。ここで俺たちが姿を消して、死体が見つからなくても、誰も生きているなんて思わない」とライナーは語っています。

その後「王都に流れ込んでもいいし、憲兵団に入ってもいい」とも言っています。

そして、調査兵団が壁街調査に行く日がたまたま「訓練兵団の解散式の翌日」なのです。

1巻でジャンが「なんで今日なんだ、明日から内地に行けるってのに」と、巨人が発生したことを憂いていました。その質問に対する答えが、連載5年後に、ライナーの回想を通じて明らかになりました。

 

マーレ戦士の伏線「ライナーとマルロの会話」

ライナー、アニ、そして超大型巨人から戻ったベルトルトが会話をしています。「どうする?」「まだだ、やるなら集まってからだ」と言って、巨人化して行動するかどうか、混乱に乗じてどうやって扉を壊すか?を、マーレ戦士視点で考えています。

しかし同じ班で場に同席していたマルコが会話に乗ってきます。表向きの兵士としての振る舞いについての話だと理解して、「ダメだよ、どう考えても」と発言します。つまり、一見普通の「パラディ島兵士」としての会話ですが、実は裏の意味があった。

この時ベルトルトは慎重な人物なので「マルコの前で話していいのかよ」みたいな顔で見ている気もします。

 

ベルトルトの表情

その後、アルミンがやってきて「エレンが死んだ」ことを告げます。これに対してライナーやアニも他の兵士同様に「ショック」を受けています。

これはマーレ国の戦士としての感情ではなく、104期の同期としてエレンを捉えているからです。普通の友達が死んだ…という感じで、衝撃を受ける。

一方でベルトルトだけは少し表情が違って、「それは申し訳ない」というような感じです。

同期のエレンが死んたことは悲しいけれど、それ以上に「その原因を作ったのは、扉を壊した自分だ」という苦しさがあったはず。それ故の後悔というか葛藤というか、そういったものが表情、さらには一人だけ横を向いている描写で現れています。

 

マーレ戦士の伏線「巨人に驚くライナー」

ライナー達の本音が出ているシーンも面白いです。「人間に味方するエレン巨人」が出現して、無垢の巨人を倒す中で、ライナーが質問を投げかけます。

「お前らあの巨人について、どこまで知っているんだ?」と。

コニーは疑問を持ちながら「助かってからでいいだろ、そんなこと」と返して、ライナーは「そうだな、まずは助かってからだ」と答えます。自分が探していた始祖の巨人かもしれない、ということで先走って質問してしまったんですね。

汗をかいているライナーをアニは冷静な目で見ています。「お前バレるようなこと、言ってんじゃないよ」とでもいいたげです。

また、エレンの巨人が無垢の巨人に食べられそうになった時のライナーは「あのまま食いつくされちゃ、何もわからずじまいだ。あの巨人にこびりついている奴らを俺たちで排除して、とりあえずは延命させよう」と言っています。それに対して冷静なジャンは「正気かライナー、やっとこの窮地から脱出できるんだぞ」と反対の意思を示します。

しかし、畳みかけるように、アニが発言。「例えば、あの巨人が味方になる可能性があるとしたらどう?どんな大砲よりも強力な武器になると思わない?」とライナーを援護します。

ジャンのような反応が普通です。今まで敵だった巨人を受け入れることはできません。一方でマーレ戦士3人は、「人間が巨人になる」ことを知っているので、事態をすぐに受け入れます。

更には裏の意図として「始祖の巨人なんじゃないか」という期待もあるので、エレン巨人を助けなきゃという気持ちがあります。だからこそ無口なアニが珍しく饒舌で説得をしたのです。

 

t

7話の感情表現のうまさです。ここは、まさに2話というのはミカサのための回となっていまして、まず最初、ミカサの幼少期の回想でエレンに助けられたという話が語られます。その後、ミカサがエレンが巨人に食べられてしまって、死んでいるのではないかということを知ります。その後、自暴自棄になって、巨人達のいるところに突入してガツギレでピンチのようなものです。この2話におけるミカサの感情表現というのが甘いのです。新人漫画家である諫山先生が上手く描いているので、その点について触れていきます。最初、ミカサの回想シーンの後に、ミカサの回想シーンというのはエレンに助けられた回想シーンです。その後に、ミカサがエレンの安否が気になって、エレン班の下にやってきます。そこでアルミンとこんな会話をするのです。アルミン、怪我はない?大丈夫なの?と聞いたら、アルミンがうなずいて、ミカサがホッとため息をつくって、エレンはどこ?と聞くと、アルミンが泣いたままミカサの方を見て、言葉を交わさないと。こんな描写ですが、これ凄いです。普通は、もっとすぐにセリフで言わせます。もちろんこの後、アルミンはエレン含めたメンバーたちが死にましたということを公に伝える、個人に伝えるのではなくて、公に伝える形に伝えるのですが、普通の漫画家だと、ここでエレンが死んじゃったよということを言うと思いますが、この表情だけで語らせると。泣いているアルミンを見て全てを察するミカサという。これも非常に上手いです。いわゆるよくできた作品、創作ですということです。あともう一つ注目が、ほっとしたミカサの安心とそこからの絶望というのが描かれていて、このアルミン、怪我はない?大丈夫なの?と聞いた後に、アルミンがコクとあるじゃないですか、その後ミカサがホと言っています。これってミカサからすると、アルミン、幼馴染であるアルミンが無事というのはもちろん嬉しいことですが、それと同時にアルミンが無事ってことはエレンも無事だろうなってここで勝手に期待してたと思います。期待があった上で、エレンはと、エレンは大丈夫だろうという前提で聞いています。エレンはどこと大丈夫って前提で聞いて、そしたら絶望的な顔、泣いた顔で全てを察する展開です。さらに、さらに言うとです、この今の描写の前にミカサの過去、エレンに助けられて、ミカサにとってエレンは非常に大事な人物だということが語られた後に今の展開をやっているので、まさに絶望です。今我々読者というのはエレンがこの後助かるってことは知ってるのですが、それを知らない状態でこのミカサの感情に注目すると、非常にミカサの感情がより深く味わえるかなということです。さらにミカサの感動の一コマというのもさらにありまして、エレンが死んでしまったかもしれないということで果敢にミカサは巨人の元に突っ込んでいきます。暴走してしまったせいでガスがなくなって巨人に勝てないと悟って諦める。諦めて人生振り返るのです。いい人生だったと振り返ります。ここでエレンの戦えと言われた過去の回想で、エレンに助けてもらって戦えって言われたセリフを思い出します。そうか、戦わなければ、勝たなければ生き残れないんだと思い出して、ごめんなさいエレン、私はもう諦めない。死んでしまったらもうあなたのことを思い出すことさえできないと言うのです。だからなんとしてでも勝つとして、なんとしてでも生きると言って、ミカサが絶望で諦めかけていた縁から蘇るという話ですが、このタイミングでエレン巨人がバーンと来て、巨人を倒すんです。このカタルシスが凄いです。ミカサが諦めかけていて、諦めかけていて、死にそうになってたわけです。ガスがなくなって、普通に戦ったら巨人に勝てるわけがないという状態今となってはアッカーマン強いってわかってますけど、ミカサ普通の訓練兵上がりの女性と、強いけれども優秀だけでも普通の女性と考えると、ここで諦めてしまうことが普通なんだけれども、そこから諦めないと心が変わって、さらにそれが先ほどのエレン巨人の描写と重なるところでこことても胸アツなシーンです。ここまでの進撃の巨人って、希望からの絶望というのがずっと描かれていたのですが、今度は逆にです、このミカサが絶望したところからの希望が描かれて、希望というのがこのシーンに結びついています。この演出も上手いです。今まで人類は助かるということを言って、仲間たちが死んでいたりした絶望ばかり描かれていたので、ここで初めて希望の光がひとつ指差すんです。エレンの意思というのが、ミカサを助けてます。これ二重の意味で助けてるかなと思っていて、エレンが幼少期にミカサに対して戦えって言って、それのおかげでミカサは、その逆に強食の世界の中で戦わなければいき残れないということを知っていたので、このエレンの言葉というのでミカサはなんとか助けられたって感じですし、あとはそのエレンの意思というのは、この巨人になったエレンです。この時のエレンというのは無意識ではありますが、その意思というのがミカサを助けたエレンがミカサを助けた、シーンになってますね。この時のミカサのセリフ、一応深読みもできるのです。あなたのことを思い出すことさえできないところでこれがループなのではないかみたいな話もあったりするのですが、ループ説等についてはまだはっきりしてないですし、今のこの考察で扱うと時間が足りなくなるので、一旦割愛します。他にもです、ミカサの記憶関係が能力としてあるのではないかみたいな話もありますが、一旦そこは飛ばします。素直に読むと、これの意味ってあなたは私の中で生き続ける意味かなということです。その通りです。自分が死んでしまったら、エレンという大切な人がもう死んでいる前提として、死んでしまったエレンのことを誰が思い出してあげるのだろうということです。私だけが思い出してあげられるエレンのためにも死んでしまったエレンをしっかり思い出す自分であるためにも生き続けなきゃいけないという、そういう描写になってますね。今のが7話の感情表現のうまさです。

t

7話はジャンの片思いのシーンがあって、これが少し面白かったです。ジャンはミカサのことが好きじゃないですか。この確か3話あたりで出てくるのですが、ミカサのことが少し気に入っていて声をかけてたが、実はミカサというのはエレンのこと好きっぽくて、それでエレンのことを恨むみたいなシーンがありました。このことからジャンはミカサのことが好きというのは確定だと思います。ミカサのことが好きなジャンが死にそうになっているときに、こんなことならいっそ言っておけばって言ってます。これ何かというと結局、好きなミカサに対する告白をしとけばよかったという後悔だと思ったですただです、というのが正しい解釈ですけど、一方で進撃の巨人2話とか読んでる時点では、謎が全然わからなかったので、このジャンのセリフも何か隠してるって感じします。こんなことならいっそ言っておけば。なんかこいつ隠してるのかなって感じして、今見るともうただの恋愛の一言ですと思いますが、当時は、どんな意味だろうというところで結構絶妙な一言かなと思います。どんな作品もそうですけど、なんか魂のようなもので結局ある味方というのが見えた瞬間に、その味方で人間の視点というのは固定されちゃうんですけど、進撃の巨人の場合は謎を読みながらワクワクして読んだのが楽しかったので、その気持ちを改めて思い出して読むと、また何度も新鮮に楽しめるかなと思ってます。7話でエレンの気持ちというのがミカサに伝わる。ここ非常に重要なシーンです。ミカサが、ガスの呼吸のために、人々、兵士たちを助けに行くべきだと周囲にハッパをかけるのです。私は強い、だから負けないって言って、突入していきますが、その時にです、できなければ死ぬだけ、巨人に対して勝たなければ死ぬだけ、でも勝てば生きる、戦わなければ勝てないと言っています。このセリフ、戦わなければ勝てないってセリフどこからか覚えてますか?実はこれ6話目でエレンが幼少期のミカサに言ったセリフだったのです。もう一回少し戻りますけど、エレン主で戦わなければ勝てない、実はこの時に言っていたセリフです。これがミカサにしっかり伝わっていて、それをミカサは思い出して、エレンが死んでしまったとミカサは認識していますが、エレンが死んでしまったと思っている状況で、戦わなければ勝てないって言って、みんなにハッパをかける、シーンになってます。エレンも人々に戦えって言ってて、ミカサ自身も戦わなければ勝てないって言ってて、エレンの意思が受け継がれていて、みんな戦ってたなってことがわかります。

進撃の巨人7話『小さな刃』の感想・ネタバレ

進撃の巨人7話『小さな刃』の感想動画

関連記事

5話『絶望の中で鈍く光る』
6話『少女が見た世界』
7話『小さな刃』
8話『咆哮』
9話『心臓の鼓動が聞こえる』

コメントをするのは「自由」だ…