この記事の目次
進撃の巨人7話『小さな刃』のあらすじ
ミカサはエレンが巨人に食べられた(死んだ)ことを知り、ショックを受ける。
動揺を隠しながらも兵士を先導し巨人に立ち向かうが、ガス欠で絶体絶命の状況に。
エレンの「戦え」という言葉を思い出し、巨人に立ち向かうため、再び立ち上がる。
そこに巨人を倒す巨人が出現し、ミカサの窮地を救う。
進撃の巨人7話『小さな刃』で発生した伏線・謎
(2巻7話)
Aライナー・アニ・ベルトルトはマーレ戦士だった。トロスト区の内門を破壊するタイミングを伺っていた。「巨人が集まってから」作戦を決行しようと考えている。一方で、マルコはライナーたちが敵の巨人ということを知らないため、発言の真意を理解せずに、会話に参加している。
(19巻77話)
(2巻7話)
Aシーンそのものは1巻1話であった描写。138話「長い夢」回でのミカサの「いってらっしゃい」シーンを示唆している?
(34巻138話)
残された謎
進撃の巨人32話『慈悲』の表現・対比
(2巻7話)
2エレンは「世界が残酷」であることを受け入れて、アニ巨人と戦う覚悟を決める。
(8巻32話)
進撃の巨人7話『小さな刃』の考察・解説
進撃の巨人7話『小さな刃』の考察・解説動画
このブログの内容は以下の動画でも解説しています
サブタイトル『小さな刃』の意味
回想の少年エレンが強盗を刺した「ナイフ」と、
ミカサが巨人に向けた「折れたブレード」
関連進撃全話のサブタイトルの意味を考察
ポイント
最初に重を口に突っ込んで死ぬ兵士の姿が怖かった(フルメタル・ジャケットを参照?)
タイトルの小さな刃が今と昔でつながっている点が秀逸。
ジャンの「お前ら本当に腰抜けになっちまうぞ!」に対して、「そいつは心外だな」というライナーは兵士の兆しが見える。
ミカサの感動の一コマ①
「アルミン、怪我はない?大丈夫なの?」と聞いた後に、アルミンがコクと頷き、ミカサがホッとする描写があります。ミカサにとって幼馴染のアルミンが無事であることは喜ばしい。それと同時にアルミンが無事なら、エレンも無事だろうと勝手に期待しています。その上で「エレンはどこ?」と聞くのですが、アルミンは泣いた顔を見せる。そこでミカサは全てを察するのです。
普通はすぐにセリフで「エレンが死んだ」とアルミンに言わせますよね。ミカサは泣いているアルミンを見て全てを察します。この表情だけで語らせるというのが非常に上手い表現です。
前回の6話「少女が見た世界」で、ミカサにとってエレンが大事な人と語られた後に、この展開。まさに絶望でした。
ミカサの感動の一コマ②
エレンが死んだことで、ミカサは果敢に巨人に突っ込みます。ガス切れして諦めて「いい人生だった」と人生を振り返ります。
ここでエレンに救われて「戦え」と言われた瞬間を思い出して、復活。さらにエレン巨人が登場して巨人を倒します。この場面のカタルシスが凄い。ガス切れなので、巨人に勝てるわけがありません。訓練兵上がりの優秀な兵士だとしても、諦めるのが普通です。しかしエレンを思う事で「諦めない」と心が変わる。そこへエレン巨人が助けに来るという、胸アツなシーンです。
ここまでのストーリーは、希望からの絶望が描かれていましたが、今度は逆です。
ミカサの絶望から希望に結びつく、この演出が上手いです。今まで「人類は助かる」と言いながら、仲間たちが死んで絶望ばかり描かれていました。しかし、ここで初めて希望の光が差します。
エレンの意思がミカサを助ける
エレンは2つの意味でミカサを助けています。
1つ目はエレンが幼少期にミカサに対して「戦え」と言ったことです。ミカサは弱肉強食の世界の中では「戦わなければ生き残れない」と思い出し、行動を起こして助かりました。
2つ目は「エレンがミカサと共に過ごした事実」です。ミカサが「あなたのことを思い出すことさえできない」と言う通り、エレンを思い出す人がこの世に存在するために、自分は生き続けなきゃいけないと決意しています。
この世界は残酷で美しい
7話のエレンとミカサのセリフが印象的です。「この世界は残酷だ」と言った後に、巨人に殺されそうになりながらも「とても美しい」と言っています。残酷な世界で生きてきた自分が、他の弱い生き物を食べて生きてきた自分が、「美しい」という感情を抱くのです。
最初に座りながら語る「この世界は残酷だ」は、諦めの意思表示。巨人が来ている状況でただ座っているだけ。巨人の方を見て対応しようとせず、弱肉強食の世界の中で犠牲になりかけています。巨人という強者に対して、自分は弱者側だと。
その後に「この世界はとても美しい」。弱肉強食の世界の中にも、愛情や思いやりがある。その時の思い出は美しいし、弱肉強食で殺し合いが行われたとしても、死ぬまでその記憶は絶対に奪われない。美しい記憶は、奪われない。ただし、その美しさはグロテスクな弱肉強食の世界の上に成り立っているのです。
ミカサも今まで他の生物・命を食べてきた、その残酷さの上で生きているから、美しさを感じられる。この世界は残酷で、とても美しいのです。
マーレ戦士の伏線「超大型巨人2度目の出現タイミング」
「マーレ国の戦士であるライナー・ベルトルト・アニが、パラディ島に潜入している」背景を踏まえて、進撃の巨人の前半を読み返すと面白いです。
なぜ、850年に超大型巨人が二度目の出現をしたのか?
「調査兵団が壁街調査のタイミングだった」からです。
ライナー達は「ウォールローゼを破壊することで、始祖の巨人を炙りだす」作戦を計画していました。その実行日として、驚異となる調査兵団がいない日を選んだのです。
「俺たち訓練兵のトロスト区滞在期間中に、調査兵団が壁街調査で出払う日だ。壁内は混乱極め、俺たち訓練兵も現場に駆り出される。ここで俺たちが姿を消して、死体が見つからなくても、誰も生きているなんて思わない」とライナーは語っています。さらに「王都に流れ込んでもいいし、憲兵団に入ってもいい」とも言っています。
調査兵団が壁街調査に行く日がたまたま「訓練兵団の解散式の翌日」だった。
1巻でジャンが「なんで今日なんだ、明日から内地に行けるってのに」と、巨人が発生したことを憂いていました。その質問に対する答えは、連載5年後のライナーの回想を通じて明らかになりました。
マーレ戦士の伏線「ライナーとマルコの会話」
ライナー、アニ、そして超大型巨人から戻ったベルトルトが会話をしています。「どうする?」「まだだ、やるなら集まってからだ」と言って、巨人化して行動するかどうか、混乱に乗じてどうやって扉を壊すか?を、マーレ戦士の視点で考えています。
しかし、同じ班のマルコも会話に乗ってきます。兵士の話だと理解して、「ダメだよ、どう考えても」と発言します。つまり、一見普通の「パラディ島兵士」としての会話ですが、実は裏の意味があったのです。
※ちなみに、この時のベルトルトは「マルコの前で話していいのかよ」みたいな顔をしている気もします
ベルトルトの表情
アルミンが「エレンが死んだ」ことを告げます。これに対してライナーやアニも他の兵士同様にショックを受けています。
マーレ国の戦士としてではなく、104期の同期としてエレンを捉えているからです。普通の友達が死んだ…という感じでしょう。
一方でベルトルトだけは少し表情が違って「それは申し訳ない」というようにも見えます。同期のエレンが死んだことは悲しいけれど、それ以上に「その原因を作ったのは、扉を壊した自分だ」という苦しさがあったはず。それ故の後悔というか葛藤みたいなものが表情と、一人だけ横を向いている描写で現れています。
マーレ戦士の伏線「巨人に驚くライナー」
ライナー達の本音が出るシーンも面白いです。「人間に味方するエレン巨人」が出現して、無垢の巨人を倒す中で、ライナーが質問を投げかけます。「お前らあの巨人について、どこまで知っているんだ?」と。
コニーは疑問を持ちながら「助かってからでいいだろ、そんなこと」と返して、ライナーは「そうだな、まずは助かってからだ」と答えます。自分が探していた始祖の巨人かもしれない、と先走って質問してしまったのです。
汗をかいているライナーをアニは冷静な目で見ています。「お前バレるようなこと、言ってんじゃないよ…」とでもいいたげです。
また、エレンの巨人が無垢の巨人に食べられそうになった時、「あのまま食いつくされちゃ、何もわからずじまいだ。あの巨人にこびりついている奴らを俺たちで排除して、とりあえずは延命させよう」ライナーは言っています。冷静なジャンは「正気かライナー、やっとこの窮地から脱出できるんだぞ」と反対の意思を示します。
しかし、畳みかけるように、アニが発言。「例えば、あの巨人が味方になる可能性があるとしたらどう?どんな大砲よりも強力な武器になると思わない?」とライナーを援護します。
ジャンのような反応が普通です。今まで敵だった巨人を受け入れることはできません。一方でマーレ戦士3人は「人間が巨人になる」と知っているので、事態をすぐに受け入れます。
更には裏の意図として「探し求めてた始祖の巨人じゃないか」という期待もあるので、エレン巨人を助けなきゃと考えます。だからこそ、無口なアニが珍しく饒舌だったのです。
ジャンの片思い
ジャンが死にそうな時に「こんなことならいっそ言っておけば」と言っています。これは、好きなミカサに対して告白しておけばよかった、という後悔です。今見ると恋愛関係のセリフにしか見えませんが、初見読者には「何か隠してる」と感じさせる絶妙な一言でした。
進撃の巨人7話『小さな刃』の感想・ネタバレ
進撃の巨人7話『小さな刃』の感想動画
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