【進撃の巨人】第125話『夕焼け』考察・解説・感想【ネタバレ】

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進撃の巨人125話『夕焼け』のあらすじ

地鳴らし1日目(パラディ島ストヘス区)

ストヘス区での出来事(アニメだとトロスト区に変更されている)。
憲兵団のヒッチは、復活したアニを匿い、脱出に協力する。
その道中でアニは、自身の半生と、父親と帰る約束を果たすことが生きる理由と語る。

地鳴らし1日目(マーレ国レベリオ収容区)

レベリオ収容区では反乱が起きていた。
エレンの放送を聞いた、アニの父親たちエルディア人は、地鳴らしから逃げなければとマーレ兵に語る。
しかし、マーレ兵は信じられずにエルディア人を拘束しようとする。
アニの父親は、アニとの約束を思いだし、マーレ兵に襲いかかる。
そして銃声が鳴り響く。

地鳴らし1日目(パラディ島シガンシナ区)

訓練兵団の教官キースは、新兵達に「イェーガー派に従い、決して背くな」
「いつか立ち上がる日が来る…それまで…決して自分を見失うな」と告げる。

アルミンとガビは、ラガコ村へ向かうコニーとファルコを追う。

フロックは義勇兵を拘束し、場を支配する。

地鳴らし1日目(パラディ島ラガコ村道中)

コニーとファルコは、ラガコ村に向かう。

地鳴らし1日目(パラディ島 ウォール・マリアより南の巨大樹の森の近く)

マーレ国のマガトとピークは、地鳴らしを止める手立てが無く、困惑する。
そこにハンジが武器を持たずに対話を試みる。
後ろには、「人畜無害の死にぞこない」のリヴァイの姿があった。

【時期】854年
【場所】パラディ島

進撃の巨人125話『夕焼け』で発生した伏線・謎

Qアニの発言「父の元へ帰るためならまた同じことをやる」
(31巻125話)

A
(巻話)

Qエレンの放送を聞いて、マーレ国レベリオ収容区のエルディア人達が反乱。アニ父と兵士の争いの末に、銃声が響く。
(31巻125話)

A
(巻話)

Q
(31巻125話)

A
(巻話)

関連進撃全話の伏線・謎まとめ

残された謎

Q訓練兵団教官のキースが、訓練兵のスルマ達に言った「いつか立ち上がる日を待て」
(31巻125話)

A
(34巻139話)

進撃の巨人125話『夕焼け』で解決した伏線・謎

進撃の巨人125話『夕焼け』の表現・対比

進撃の巨人125話『夕焼け』の考察・解説

進撃の巨人125話『夕焼け』の考察・解説動画

サブタイトル『夕焼け』の意味

夕焼け時のそれぞれの行動を描写。
ラグナロク(神々の黄昏)も想起させる。
【時間経過】夕焼け(125)→終末の夜(127)→人類の夜明け(130)
関連進撃全話のサブタイトルの意味を考察

ポイント

アニと父親の絆と動機

アニが結晶化していたのは、ストヘス区の地下でした。アルミンが「アニは極北のユトピア区で拷問を受けている」と語ったのは、完全な嘘だったことがのちに判明します。

アニのモチベーションは「父親のもとに帰ること」です。結晶化の直前に、父親(仮名:パパレオンハート)との回想が挿入されます。「この世のすべてから恨まれてもいい、だから帰ってきてくれ」という彼の言葉は、始祖奪還作戦当日の朝のもの。アニにとってこの言葉こそが生きる理由でした。

アニの父は、レベリオ収容区で蜂起を起こし、銃声が鳴り響く中、かろうじて助かります。このときの銃声は、キース・シャーディスが聞いており、物語としても巧みに描かれていました。

アニのテーマ曲と義父としての存在

アニのテーマ曲「彼女は冷たい棺の中で」の歌詞が、現在の彼女の心情とリンクしています。「自由を掴み取れたら何を選ぶ?」という問いは、彼女にとって明確に「父親」でした。

また、アニの父親は実の父ではなく義父であると考えられます。ガイドブック『Answers』の公式パロディ「スクールカースト」で、「義父と折り合いがつかず」と書かれており、彼女の複雑な家族背景を補足しています。

元は生活のために育てていた少女が、次第に本当の娘のように思えるようになった…アニが「父親だった」と語るのは、その情の深さゆえなのです。

帰りたい理由がアニの人生を動かす

アニは父親の存在を「生きる意味」とし、「他の人にとっても大切な人がいるのはわかる。でも私は父に会うためにそれを犠牲にする」と語ります。

マルセルが食われた際に「帰ろう」と言ったことも、父の言葉が心にあったからこそであり、戦士任務以上に大切な想いがあったことが浮き彫りになります。

アニ独自の格闘術とエレンとのつながり

アニの戦闘技術は、父親が母国の格闘術を叩き込んだもの。マーレ国ですら知らない技術であり、エレンがライナーと戦う際にもこの技術を活かしています。

これはアニの存在が、単にマーレの戦士ではなく「異なる文化の橋渡し役」であることを象徴しているといえるでしょう。

ヒッチとの再会と心の交流

アニの復活を知ったヒッチは、危険を承知で接触します。アニは巨人化を匂わせて脅しますが、ヒッチは責めません。むしろ「マルロが死んだ意味を探していた」と語る彼女に、共感を示します。

アニが「私にも待つ人がいる」と語ると、ヒッチは「それが聞けてよかった」と応じました。これは、かつての敵でも、大切な誰かを想う気持ちは同じであるという認識の共有でした。

アニと他キャラとの対比構造

エレンとの共通点

エレンとアニは、ともに「すべてを犠牲にしても父の元に帰りたい」という強い意志を持っています。2人とも、教育の被害者でありながら、自ら地獄を選んで進むタイプです。

ライナーとの対比

ライナーの両親関係は、アニと逆。アニはマーレ人の母とエルディア人の父(義父)ですが、ライナーはエルディア人の母とマーレ人の父。ライナーの母は無条件の愛を示しませんでしたが、アニは「全てを捨ててでも帰ってきてくれ」と愛情を向けられています。

ジークとの対比

ジークもまた親に道具として扱われた存在でした。しかし、グリシャが最終的に謝罪し、「間違っていた」と認める点で、アニの父親と共通点があります。

これらは「子どもを道具にする大人の罪」と「その連鎖を断ち切ろうとする子どもたち」というテーマを浮かび上がらせています。

フロックとジャンの思想的交差点

フロックとジャンは、一見まったく異なる道を歩んでいるように見えますが、実は「遺志」や「価値の見積もり」に関しては驚くほど似ています。ジャンが「壁外人類を水泡のようにするとは思わなかったが、すべての遺志も消え去る」と語ったように、彼の中にも一度すべてをリセットしてしまいたいという欲求があります。

フロックもまた、「島の遺志を完全に消し去る」と語り、似たような思想を抱えています。そして、「アルミンにだって値踏みする権利はある」と語るフロックの言葉と、「エレンに見返りを求めている、きっちり値踏みさせてくれよ」と語るジャンのセリフには共通の発想があります。

このことから、フロックはジャンにとって「もう一つの選ばなかった人生」であり、「もう一人の自分」ともいえる存在なのです。

フロックの「自由だよ」の誘惑とジャンの葛藤

フロックがジャンに語った「自由だよ。もう戦わなくていい」という言葉は、ジャンにとっては一種の地獄のささやきでした。目の前で人が殺され、世界中の人々が犠牲になっている中で得られる「自由」は、果たして正しいのか。

この発言は、ジャンの中にある「戦い続ける意味」や「マルコとの約束」への揺さぶりとなります。フロックにとってジャンは優秀な存在であり、戦いに加担してほしくない。だからこそ「動くな」「悩むな」「引っ込んでいてくれ」と説得するのです。

フロックの嘘と操作性

フロックは明確に2つの嘘をついています。1つ目は「壁内人類の遺志をなくす」という言葉。彼自身が暴力によって遺志を生み出しているため、その言葉は完全な矛盾です。

2つ目は「ハンジとリヴァイはジークに殺された」という偽りの情報です。フロックはリヴァイが瀕死で、ハンジが川に飛び込むのを目撃しています。それにも関わらず、ジークが犯人だと偽るのは、ジャンと義勇兵の対立を煽るための策略でした。

ハンジの交渉スタイルとユーモア

ハンジは「人畜無害の死に損ないがいます」とオーバーに表現することで、相手の警戒を解こうとします。これが彼女らしいユーモアと交渉術であり、深刻な状況でも人間味を失わない姿勢を見せています。

ガビとカヤの和解と名前の意味

ガビが自分の本名を名乗った場面で、カヤは「ガビって変。ミアの方がいい」と返します。この言葉には「名前の違いを超えて存在そのものを受け入れる」という優しさが込められていました。

最終的に、ガビとカヤはお互いの名前を呼び合い、過ごした時間を肯定するように抱き合って別れます。これはミクロな世界での憎しみの連鎖が終わった象徴的な場面です。

キース・シャーディスの伏線

シャーディス教官は、自分を暴行した訓練兵たちを見捨てず、「お前たちはイェーガー派に従い、決して背くな」と語ります。そして「いつか立ち上がるべき日が来る」と暗示するような発言を残し、スルマたちに未来への希望を託します。

この場面は、イェーガー派の崩壊に際して彼らが再登場する可能性の伏線とも読み取れます。

熟睡ライナーと眠りたいアルミン

アルミンは「2日くらい眠りたい」と語りますが、その隣でライナーはすでに全力で熟睡中です。最終的にアニの足蹴りで起こされるライナーの姿には、作者の愛情が感じられるユーモアがにじみます。

個人のために動かないアルミン

アルミンはエルヴィンの代わりとして「個人」ではなく「全体」の利益を重視して行動しています。

一方、周囲のキャラクターたち—コニーは母、ガビはファルコ、アニは父—のように、個人的な感情に従って動いています。アルミンだけが、その困難な状況の中でエレンに対する感情を封じ、「エレンのことは考えたくない」と語るほどに、自己の感情を切り離しているのです。

小ネタとギャグのセンス

諫山先生のギャグセンスも健在です。「私の家がエレン・イェーガーのせいで!」と叫ぶキャラクターの台詞が、重苦しい話の中で笑いを誘います。

また、サブタイトル「夕焼け」は北欧神話の終末「ラグナロク(神々の黄昏)」を連想させるもので、進撃の終末感を暗示する演出になっています。

進撃の世界では太陽が西から昇るという設定があるため、ファルコが「こっちに夕日が」と指さした方向も、逆の地理構造に基づいたもの。細かな設定の積み重ねが、この作品の奥深さをさらに際立たせています。

進撃の巨人125話『夕焼け』の感想・ネタバレ

進撃の巨人125話『夕焼け』の感想動画

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