【進撃の巨人】第124話『氷解』考察・解説・感想【ネタバレ】

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進撃の巨人124話『氷解』のあらすじ

地鳴らし1日目(マーレ国レベリオ収容区)

エレンの「すべてのユミルの民」に対する放送は、レベリオ収容区に住むエルディア人にも届いていた。
その中には、アニの父親の姿もあった。

地鳴らし1日目(パラディ島シガンシナ区)

エレンと戦い、疲れ果てたライナーは、シガンシナ区の民家で就寝。
コニーが、知性巨人になれるファルコを連れ去って、単独行動を開始。
アルミン・ミカサ・ジャン達は、残された兵団の兵士とともに巨人化した元仲間を倒す。
その巨人たちの中には、ピクシス司令の姿もあった

一方、巨人から逃げるブラウス厩舎の面々。巨人に追い詰められたカヤを救ったのはガビだった。
ニコロは「みんなの中に悪魔がいる」「森から出るんだ 出られなくても出ようとし続けるんだ」と言葉を残す。

巨人に追い詰められて死にかける訓練兵たちだったが、キース教官に救われる。

一件落着と思われたが、硬質化解除の影響は、地下室にいたアニのもとにも届いていた。
アニの硬質化が解除されて、ついに動き出す。

進撃の巨人124話『氷解』で発生した伏線・謎

Qルイーゼがミカサに見とれているのは何故?
(31巻124話)

Aかつて自分を救ってくれたミカサに再び見とれてしまう。その結果、雷槍の爆発に巻き込まれてしまう。ミカサに救われた命が、ミカサに見とれたことで、失われてしまう悲劇。
(31巻126話)

関連進撃全話の伏線・謎まとめ

残された謎

Q
(31巻124話)

A
(巻話)

進撃の巨人124話『氷解』で解決した伏線・謎

進撃の巨人124話『氷解』の表現・対比

進撃の巨人124話『氷解』の考察・解説

進撃の巨人124話『氷解』の考察・解説動画

サブタイトル『氷解』の意味

アニ・ライナー・3重の壁の硬質化が解除された。
カヤとガビの気持ちのわだかまりが解ける。
キースとスルマたち訓練兵の気持ちのわだかまりが解ける。
関連進撃全話のサブタイトルの意味を考察

ポイント

リフレイン演出で描かれるクライマックスの臨場感

「進撃の巨人」の後半には、過去の展開を意図的に反復するリフレイン演出が数多く見られます。これは、物語の集大成として、読者の感情を強く揺さぶる重要な技法です。

例えば、巨人に囲まれて絶望するシーンや、104期生たちが一丸となって巨人を一撃で倒す場面は、初期の戦闘描写と呼応しています。また、アルミンが「僕の体は動かない」と語っていたかつての描写と、無垢の巨人となったピクシス司令に雷槍を放つ姿も、彼の成長を強く印象づけるリフレインです。

ガビとエレンの髪を結ぶ描写の重なり

鏡の前で髪を結ぶガビの姿は、まるでかつてのエレンを再現したかのようです。戦う覚悟を固めた者たちの儀式のようなこの描写には、ガビの精神的変化と、サシャの幻影を重ねた演出も含まれています。特に、カヤから見たガビがサシャの姿に見えるシーンには、読者にしか気づけない重層的な意味が込められています。

タイトル「氷解」が意味するもの

第123話のタイトル「氷解」は、物語の様々な局面での「解放」や「和解」を象徴しています。

・アニの結晶が溶けたこと

・三重の壁が崩れたこと

・ガビとカヤ、ニコロとのわだかまりの解消

これらはすべて、「氷」のように硬く冷たい感情が「解ける」瞬間の連鎖といえるでしょう。

森から出るというメッセージ

「進撃の巨人」における「森」とは、憎しみの連鎖を象徴する空間です。サシャの父が語った「森から出なければならない」という言葉は、作品の倫理的主題の一つを象徴しています。ニコロやガビのように、自分の中の「悪魔」に気づき、そこから脱出しようとする姿勢こそが、進撃世界における「救い」の可能性として描かれているのです。

ピクシス司令とナイル・ドークの退場

ピクシス司令の死は、アルミンにとって特に重たいものでした。信頼を寄せてくれた恩人を自らの手で葬るという行為は、アルミンの成長と責任を強く印象づける場面です。

また、ナイル・ドークの退場も非常に残酷です。彼は過去にファルコたちを逃がしましたが、最終的にはガビに殺されてしまいます。このように「善意の人間も、対話不能な存在になれば殺し合うしかない」という現実が、進撃の世界の冷酷さを物語っています。

ルイーゼの再登場とミカサへの憧れ

ミカサに命を救われ、強い憧れを抱いていたルイーゼが、今回の戦闘で端役として描かれました。瀕死の彼女が再び登場するのは、雷槍の破片で傷ついた後の姿と見られます。ミカサへの憧れは、やがてイェーガー派としての行動へと変化し、彼女の存在は「信仰の対象」のようになっていたことが伺えます。

冷静なジャンと暴走するコニー

ジャンの分析力と冷静な判断は、アルミンが機能しない場面で光ります。巨人化した仲間たちを前に、ジャンは状況を的確に読み、「大虐殺の恩恵を受けるのは俺たちだ」と発言します。この言葉の重みは、「仲間を守るために世界を滅ぼす」というエレンの選択とも重なります。

一方で、コニーは母を救いたいという思いから暴走します。知性巨人を母に継がせるなど、現実的にはあり得ない選択ですが、それでも親を思う心情が暴走に拍車をかけています。この対比が、キャラクターそれぞれの弱さと強さを浮かび上がらせます。

シャーディス教官の矜持と再評価

旧式の立体機動装置を使えというシャーディス教官の指示には、自らを「旧式」と重ねるような意味も込められています。かつて「自分は特別ではなかった」と語っていた彼が、命を張って新兵を助けた姿は、まさに真のリーダーのそれでした。

かつて自分を殴った新兵すらも助ける姿には、過去を乗り越えた強さと、教育者としての愛情がにじんでいます。進撃の巨人という物語の中で、もっとも静かに、そしてもっとも熱く評価されるべきキャラクターの一人でしょう。

ソウル・グッドマンの小ネタ登場

「進撃の巨人」には、思わずクスッとするような小ネタが忍ばされていることもあります。その一例が、海外ドラマ『ブレイキング・バッド』およびそのスピンオフ『ベター・コール・ソウル』に登場する悪徳弁護士、ソウル・グッドマンです。

一見、進撃世界とは何の関係もなさそうなこのキャラクターですが、実は、彼を思わせる人物が物語の中にひっそりと描かれている場面があるのです。これは『ブレイキング・バッド』のファンであれば思わずニヤリとするような小ネタであり、意図的なオマージュである可能性も感じられます。

本作の重厚で深刻なテーマの中に、こうした作家個人の嗜好やユーモアが織り込まれているという点も、「進撃の巨人」という作品の魅力の一端であるといえるでしょう。

進撃の巨人124話『氷解』の感想・ネタバレ

進撃の巨人124話『氷解』の感想動画

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1 COMMENT

自由を手に入れたナナ

「氷解」で、ジークの力で生まれた無垢の巨人たちが、自由に動き回れているのはエレンの制御が無いからですが、どうしてエレンは操ることをしなかったのでしょうか?

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