この記事の目次
進撃の巨人27話『エルヴィン・スミス』のあらすじ
調査兵団団長エルヴィンの作戦で、女型の巨人の捕獲に成功。
女型の巨人から情報を得るために、兵団No.1のリヴァイとNo.2のミケが攻撃を仕掛ける。
しかし、女型の巨人は起死回生の「叫び」を発動。無垢の巨人を呼び寄せて、捨て身の逃走を図る。
進撃の巨人27話『エルヴィン・スミス』で発生した伏線・謎
(7巻27話)
A女型の巨人特有の能力「叫びで、無垢の巨人を呼び寄せる」が判明。845年のウォール・マリアを破壊する時や、巨大樹の森での戦いの際に使用した。
(24巻96話)
残された謎
進撃の巨人27話『エルヴィン・スミス』で解決した伏線・謎
(4巻14話)
Aエルヴィンが「壁の破壊」だけが目的ではないと推測。エレンが巨人化したために、マーレ戦士は「エレン誘拐(知性巨人確保)」に目的が変更された。
(7巻27話)
(5巻20話)
Aエルヴィンは超大型巨人の2度の襲来と、ソニー&ビーン殺害事件から、新兵の104期生の中に裏切り者がいると推測していた。
(7巻27話)
(5巻20話)
Aエルヴィンは第57回壁外調査の「本当の目的」を伝える相手を厳選するために、兵士ひとりひとりに質問をしていた。
(7巻27話)
(5巻20話)
Aリヴァイの信頼通り、エルヴィンは高度な推測をしていた。敵が兵団に潜むこと、104期生が怪しいこと、敵の目的がエレンを奪うことにあることなど。そのうえで、第57回壁外調査を計画し、一部の兵士だけに作戦を伝えていた。
(7巻27話)
(6巻24話)
Aエルヴィンが信頼し、作戦を話したのは、5年以上前に入団した一部のメンバーだけだった。それ以外のメンバーは真の目的を知らないまま、作戦に参加している。
(7巻27話)
進撃の巨人27話『エルヴィン・スミス』の表現・対比
進撃の巨人27話『エルヴィン・スミス』の考察・解説
進撃の巨人27話『エルヴィン・スミス』の考察・解説動画
サブタイトル『エルヴィン・スミス』の意味
調査兵団団長「エルヴィン・スミス」の紹介
※キャラ名2回目
関連進撃全話のサブタイトルの意味を考察
アルミンとジャンの会話
鋭いジャン
アルミンは既にエルヴィン団長の企みに気づいていますが、ジャンも気づいていたことが分かります。ジャンは「人為的に壁を壊そうとする奴らが兵団の中にいるってことだろう?」と語っています。アルミンとジャンだけが作戦に気づく鋭さがあるという描写です。
この2人に関して諫山先生のブログによると19歳の時に描いた読み切り作品でアルミンとジャンを足したようなキャラがいた、と語られていて興味深いです。
そのキャラのことは、まったく忘れていたんですけど
自分の無意識というか根底部分にしっかりいて
それがアルミンとジャンに分裂していたんですね
この二人のキャラは役割が被りそうにになることが
よくあったんですが、なるほど、元は一人っだったのかと
何だか不思議な気分になりましたねー
冷静なアルミン
アルミンは「選ばなきゃいけない100人の仲間の命と壁の中の人類の命を」「団長は選んだ100人の仲間の命を切り捨てることを選んだ」と語ります。
何もわからない状況での中でも選択することが重要ということです。目的のためで合っても多くの犠牲が出るのは良くないというジャンの考えも妥当ですが、アルミンは少し違う意見を持っています。犠牲が出ることは仕方がないし、この残酷すぎる世界の中では犠牲を出してても何かを選ばないと何も得ることができない。そして、何かを選ぶには代償が必要だ、という考えです。この考えは「進撃の巨人」の世界ではとても重要になります。
大事なものを捨てることができる人
アルミンが「大して長くも生きてないけど、確信していることがあるのだ。何かを変えることのできる人間がいるとすれば、その人はきっと…大事なものを捨てることができる人だ」と語ります。この時にアルミンが思い浮かべているのは、ピクシス、イアン、ザックレーです。
さらに「化け物をも凌ぐ必要に迫られたのなら人間性をも捨て去ることができる人のことだ。何も捨てることができない人には何も変えることはできないだろう。」とも語ります。これは「進撃の巨人」屈指の名言です。この時アルミンはエルヴィンを想像しています。
アルミンの思い浮かべたキャラが何を捨てられた人なのか振り返ってみます。
ピクシス
3巻第11話「応える」で登場。トロスト区奪還作戦で指揮をしました。エレン巨人が暴走した際に作戦を続行させたことで多くの兵士が犠牲になりましたがそれにより作戦は成功、壁の穴は塞がれました。
イアン
4巻第14話「原初的欲求」で活躍。トロスト区奪還作戦時に精鋭部隊のリーダーとして現場で指揮しました。エレン巨人が暴走した際にも最期まで諦めず作戦を実行しました。最期は巨人の囮になるという作戦により、巨人に捕食されて死亡しました。
ザックレー
5巻19話「まだ目を見れない」で登場。巨人の力を持ったエレンが「人類の希望」か「脅威」か冷静に判断しました。ザックレーは総統として過去にも様々な決断をしてきたのでしょう。例えば、4巻第15話「個々」で奪還作戦というワードが出てきます。これは領土を奪還するという名目の元、人口の2割を巨人のいる領域に送り込むという口減らし作戦でした。この作戦はザックレーも関与していたでしょう。
エルヴィン
今回の「女型の巨人捕獲作戦」で多くの兵士の命が犠牲になりました。部下の命を捨てて「女型の巨人」を捕獲することを考えているのです。
アルミンへの呪い
「何かを捨てる」ということは今後のアルミン自身への呪いでもあると思います。作者が認めるほどのゲスミン(下衆なアルミン)が誕生するきっかけになる名台詞です。
12巻第49話「突撃」では「他に何を捨て去れば変えられる!?」と考えます。ここではベルトルトに対してアニが拷問を受けていると嘘をつきます。これは、人間性を捨てたアルミンの姿です。
王政編では仲間を守るために人を殺すことを選びます。誰かの命を犠牲にしてでも作戦を実行する覚悟を持ったアルミンへと変化していきます。
20巻第82話「勇者」でも「僕が捨てられる物なんてこれしか無いんだ」と遂に自分の命を差し出します。
一方で、34巻第135話「天と地の戦い」ではエレンへの友情を捨てきれなかったアルミンがオカピ巨人に食われる、という場面が何かを捨てきれなったアルミンの姿として象徴的です。
アニが捨てたもの
「何も捨てることができない人には何も変えることはできないだろう」のセリフで女型が描かれます。漫画的な表現として、アルミンのセリフと女型の姿が一緒に描かれることで「女型の巨人」つまり、アニも何かを捨てる決心がある示唆と捉えられます。
アニはコニーを救ったり、アルミンが調査兵団に入ることを気にかけていたりと、人としての優しさや人間性を持っています。アニにとって大事なものとして人間性があるのだと思います。一方で自分の目的のためなら人の命をも奪う覚悟ができています。
さらに、この後に「叫びの力」を使って自分自身を「無垢の巨人」に食わせます。自分自信も捕食される危険があるので最終手段的な作戦だったでしょう。アニも様々なものを捨ててきた人間だということが分かります。
サシャの悪い予感
「追い詰められた生き物が全てをなげうつ時の声…」
この発言は狩猟の家系で育ったサシャが女型の叫びを聞いて危機感を察している、というシーンです。女型が叫びのタイミングで、全てをなげうつ覚悟を決めて「叫び」を発動してわずかな可能性に賭けたことが分かります。
エルヴィンが「女型の巨人」を認める
エルヴィンは女型が捕食される姿を見て「敵には全てを捨て去る覚悟があったということだ。まさか自分ごと巨人に食わせて、情報を抹消させてしまうとは…」と語ります。この捨て身の作戦はエルヴィンの予想を超えていました。大量の無垢の巨人の出現に調査兵団は撤退せざるを得なくなります。
捨てきれないエレン
エレンの弱さに注目するとまた見え方が変わってきます。作戦が成功した後もエレンは死んだ兵士の犠牲を受け入れられずにいます。
「女型の巨人の捕獲作戦」は一旦は成功するのですが、その時にエレンがこんなことを考えています。「女型の巨人捕獲、これが成功すれば凄いことになる。でもそのためだとしても人が死にすぎた」とモノローグで語っています。
「捨てきれていないエレン」と「多くのものを捨てることができたアニ」が対比的です。また、その二人が今後どうなるのか…という所も注目です。
調査兵団No.2のミケ
兵団No.2の実力の「ミケ」というキャラクター覚えてますか?エレンの匂い嗅いだりとか、巨人が来たことが匂いでわかるキャラクターです。
今回の捕獲作戦において、女型の「中の人」を出すためにリヴァイと一緒にうなじを攻撃しているのがミケです。ハンジが「肝心の中身さんはまだ出せないのか?何やってんだよリヴァイとミケは…」と嘆いています。超重要な任務を調査兵団実力No.1のリヴァイとNo.2のミケの2人で行っています。ミケは最終的に「獣の巨人」によって殺されてしまうのでモブキャラ的な印象もあるかもしれません。しかし、ミケは「リヴァイの次に強いキャラ」だと理解した上で読み返してみると、最期のシーンなどもまた見え方が変わると思います。
アニの叫びのきっかけ(推測)
リヴァイの部下たちリヴァイ班だけではありません。今回の捕獲作戦によって多くの調査兵団が犠牲になりました。直接女型によって殺された場面も見ています。リヴァイが女型に語ります。
「お前は確か色々なやり方で俺の部下を殺していたが、あれは楽しかったりするのか。俺は今楽しいぞ。なぁお前もそうだろ。お前なら俺を理解してくれるだろ。」
リヴァイは実際には楽しいわけではなく、早く出てきてくれという気持ちや部下を殺したことに対する怒りをぶつけている、ということでしょう。
アニからすると自分のうなじを狙われていることから自分が知性巨人であることがバレていることは気づいています。ただ、リヴァイの「お前」という言葉から「女型がアニ・レオンハートだ」ということについては、まだバレていないと推測したとします。そうであればわずかな望みにかけて「叫び」の力で証拠隠滅を図ったというのもあり得るかと思います。
助けに行くか迷うライナー
読み返してみると面白いシーンが、この迷うライナーの様子です。
アニがピンチになっている時に「向こうで何やってんだ。大砲を持ってきたようには見えなかったぞ…」とモノローグで語っています。
一見、何をしているのか分からずモヤモヤしているライナーですが、実際はアニがどうなっているのかを気にしているのです。
もしここでライナーたちがアニのピンチに気づき、ベルトルトとライナーが助けに行ってたらどうなっていたのか…IF世界で考えてみましょう。
ライナーの目線で勝利の方向で考えると、3体の知性巨人で戦い、調査兵団に勝利、エレンを奪うことには成功しエレンが始祖も持っていたことが分かり、マーレへ帰国し大勝利。
敗北で考えるとマーレ戦士3人のうち誰か、あるいは全員捕獲される…あるいは殺される…。あるいは、エレンを殺してしまうとか…。何もわからない現状で行動を起こすのはリスキーです。これらのリスクを回避するために助けに行かない選択をしたライナーですが、彼にとっても決断を迫られていた場面とも捉えられます。アルミンの言うように何が正解だったか、後から語ることは誰にでもできるでしょう。しかし、大事なことは「その場で決断しなければいけない」ということです。
進撃の巨人27話『エルヴィン・スミス』の感想・ネタバレ/h2>
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