【進撃の巨人】第88話『進撃の巨人』考察・解説・感想【ネタバレ】

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進撃の巨人88話『進撃の巨人』のあらすじ

グリシャの回想

前回に続き、グリシャの回想回。
フクロウことエレン・クルーガーは「進撃の巨人」を保持するユミルの民だった。
フクロウは、巨人の力でマーレ治安当局の人々を殺し、船を破壊する。
そして、グリシャにエルディアに自由と尊厳を取り戻すために、「進撃の巨人」を継いで戦えと、自身のすべてを託す。

現在(ウォール・マリア奪還作戦後)

懲罰房に入れられているエレンが、グリシャの手記の内容が、自分が見た「記憶」と合致すると話す。

【時期】850年
【場所】パラディ島

進撃の巨人88話『進撃の巨人』で発生した伏線・謎

Qクルーガーの発言「その行いが報われる日まで進み続けるんだ 死んでも 死んだ後も」
(22巻88話)

A
(巻話)

Qクルーガーの発言「お前が始めた物語だろ」
(22巻88話)

A
(巻話)

Qクルーガー、グリシャ、エレンと受け継がれた知性巨人の名前が「進撃の巨人」
(22巻88話)

A
(32巻130話)

関連進撃全話の伏線・謎まとめ

残された謎

Q進撃の巨人はどのように継承されてきた?
(22巻88話)

A
(巻話)

進撃の巨人88話『進撃の巨人』で解決した伏線・謎

進撃の巨人88話『進撃の巨人』の表現・対比

進撃の巨人88話『進撃の巨人』の考察・解説

進撃の巨人88話『進撃の巨人』の考察・解説動画

サブタイトル『進撃の巨人』の意味

エレンがグリシャから受け継いだ知性巨人は「進撃の巨人」だった。
※知性巨人名4回目
関連進撃全話のサブタイトルの意味を考察

ポイント:自由の代償とは何か?

グリシャ・クルーガーの物語と作品の深層解説

「進撃の巨人」において、テーマの中心に据えられているのが『自由』と『その代償』です。本作はただの戦いの物語ではなく、「自由を手に入れることの意味」「自由のために何を犠牲にするのか」という哲学的な問いを描いています。


自由の二つの形:奴隷の幸福と地獄の自由

物語の中で繰り返し描かれるのは、自由の対極にある「奴隷の幸福」と「地獄の自由」という二つの概念です。

  • 奴隷の幸福

    壁内で平穏に暮らすこと。外の巨人という脅威に守られ、何も起きない「安全」な日常。だがそれは、「飼われている」状態、つまり自由はない。幸せかもしれないが、あくまで管理された「奴隷」の幸福。

  • 地獄の自由

    壁の外の世界に飛び出すこと。自由はあるが、巨人や戦争、差別など危険と苦難に満ちている。文字通り「地獄のような」世界だが、そこには束縛のない自由がある。

物語の主人公エレンやその父グリシャは、この二択の間で「自由」を追い求めます。幼少期、グリシャは壁の外の飛行船を見たいと願い、妹フェイを連れて外に出ます。しかし、その自由の代償として妹は治安維持局のグロス曹長に殺されてしまいます。この悲劇は、「自由の代償」を体現しています。


グリシャとクルーガー:自由の呪いと使命

グリシャは、自由のために多くのものを犠牲にしながら戦い続けました。彼自身も仲間を失い、妻と息子を失うことも覚悟の上です。

しかし、クルーガー(エレン・クルーガー)はグリシャにこう告げます。

「お前は壁の外に出た。自由を求め、その代償は同胞が支払った。お前の行いが報われるまで進撃し続けるのだ。死んでも、死んだ後も。」

この言葉は厳しくも深い責任の重さを示しています。自由を選んだ者は、その代償を生涯背負い続けなければならない。自由とは、決して軽く得られるものではないのです。

さらに、未来のエレンもグリシャに対して「お前が始めた物語だろう」と言い放ちます。これは、自由の戦いは一代で終わらず、呪いのように続く宿命であることを象徴しています。


クルーガーの優しさと人間味

一見、冷酷で非道に見えるクルーガーも、深い優しさを持つ人物です。グリシャが指を切られ苦しむ時も、その痛みを気遣います。妹フェイを失った悲劇も、グリシャを助けるために自らの命を賭けて介入した結果でした。

クルーガーの名前を受け継いだエレン・イェーガーは、彼の意志を継ぎ「自由」を求めて進撃を続けます。


この世に真実などない

クルーガーは、「この世に真実などない」と断言します。歴史や事実は見たい側の都合で歪められ、誰もが神にも悪魔にもなり得るというのです。

例えば、始祖ユミルのもたらした力は「富」であり、同時に「呪い」でした。民族浄化の歴史も真実かどうかは揺らぎます。

作中で繰り返される「13年の呪い」は、始祖ユミルが巨人の力を得てから死ぬまでの年数であり、その影響は今も巨人継承者に及んでいます。


王家の血と犠牲

ダイナ・フリッツをはじめとする王家の血を引く者たちは、始祖の巨人の力を持ち、過酷な運命を背負っています。クルーガーは、彼女が「人を食う化け物」になるよりは死んだ方がマシと考え、犠牲を回避しようとしました。

エレンやヒストリアもまた、王家の血の呪縛から逃れようと葛藤します。


道・座標・始祖の巨人

作中で語られる「道」「座標」「始祖の巨人」は、すべてのユミルの民を繋ぐ空間を超越した概念です。ここでの「道」は記憶や命のつながりを示し、始祖の巨人はその中心的存在です。


写真と記憶の継承

クルーガーがグリシャに渡した写真は、楽園送りされた後もグリシャが持ち続け、本に挟んで大切にしていました。物理的な遺産だけでなく、記憶や意志の継承も物語の重要なテーマです。


まとめ

「進撃の巨人」は単なる戦闘アクションではなく、「自由とは何か」「自由を得るための代償とは何か」「歴史の真実は誰が決めるのか」という深いテーマを描いています。

  • 自由は二面性を持つ:安寧な奴隷としての幸福か、苦難に満ちた地獄の自由か。

  • 代償は避けられない:自由を求める者は、同胞の犠牲と自身の苦痛を背負う。

  • 歴史は相対的なもの:真実は見る人次第で変わり、神や悪魔も人の目がつくる。

  • 血の呪縛と選択:王家の血を引く者は特別な運命に縛られ、自由の道は容易くない。

この作品を通して、私たちは「本当の自由とは何か」を考えさせられます。自由に伴う痛みや責任をどう受け入れ、どう生きるのか。それが「進撃の巨人」の最大のメッセージと言えるでしょう。

進撃の巨人88話『進撃の巨人』の感想・ネタバレ

進撃の巨人88話『進撃の巨人』の感想動画

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