この記事の目次
進撃の巨人61話『回答』のあらすじ
トロスト区(新リヴァイ班が憲兵の根城を奇襲する日の昼)
リーブス会長殺害容疑で捕まったエルヴィンは、王の城にいた。
「ウォール・ローゼ破壊」という速報が届くが、王政の権力者は、住人たちを見殺しにする命令を出す。
これを受けて、ナイルたち兵団メンバーは、王に歯向かうことを決意。
そこに現れたザックレーが「巨人の襲撃は嘘だった」と告げて、エルヴィン・ピクシスと協力した罠だったとネタばらし。
人類を優先しない王政は、逮捕され、クーデターが成功する。
また、ハンジ達の活躍で、憲兵団のリーブス会長殺しの情報が出回り、市民の王政への信頼も地に落ちる。
トロスト区(新リヴァイ班が憲兵の根城を奇襲する日の夜)
新リヴァイ班が中央憲兵の根城にやってきたのは、追ってではなく、ハンジと協力者になったマルロとヒッチだった。
ハンジは王政転覆の状況を伝え、誘拐されたエレン&ヒストリアの奪還に動き始める。
進撃の巨人61話『回答』で発生した伏線・謎
残された謎
進撃の巨人61話『回答』で解決した伏線・謎
進撃の巨人61話『回答』の表現・対比
進撃の巨人61話『回答』の考察・解説
進撃の巨人61話『回答』の考察・解説動画
サブタイトル『回答』の意味
エルヴィンが待ちわびていた、王政の誤報に対する「回答」
【変更】別マガ掲載時タイトルは「終幕」
(王政府の支配の終幕)
関連進撃全話のサブタイトルの意味を考察
エルヴィンの説得力

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)
これ状況的に、王政たち含めて全兵団の幹部が集まる場所でリーヴス会長の殺害容疑、これは調査兵団でやってないですが、それを少しお前らがやっただろうと言われてしまって、それを元にして調査兵団を解体だ、お前ら調査兵団はもう、こんな、壁内で人殺しとかするようなやつらでダメだというところで解体させられそうになるのですが、そのタイミングでエルヴィンが、
「例えば今この瞬間ウォール・ローゼが破られたとします。住民を再びウォール・シーナへ避難させることになりますが、先日の避難で消費した食糧は現在どこにもありません」
エルヴィンの言う「先日の避難」というのはウォール・ローゼ巨人騒動編のことです。ウォール・ローゼ内に巨人が発生したことでローゼの壁が突破されたと想定してウォール・ローゼの住民がウォール・シーナ内の旧地下都市に避難したのです。そこで起きたのは食糧と居住地を巡る人間同士の争いでした(第51話「リヴァイ班」)。
これが実勢に起きたことなのでエルヴィンの話には説得力があります。この話が後の誤報による王政府のリアクションに効いてきます。
エルヴィンの画策4選
王政転覆のためエルヴィンが実行したこをは4つです。
- クリスタが王家の血か確認する
- ピクシス司令を説得して嘘情報を流す
- ナイルは妻子が大切か?&家の場所も確認!
- ザックレー総統を巻き込む
1つ目がヒストリアが王家の血であるか確認しました。これは第55話「痛み」でハンジがサネスを拷問しレイス家、つまりヒストリアが真の王家であることの確認が取れています。エルヴィンは「殺し合わずに王の首をすげ替えることは可能です」とピクシスに語っていました。
2つ目がピクシス司令の協力でウォール・ローゼが突破されたという誤報を流すように仕向けます。ここで「先日の避難」の悲惨さが活きて王政府が焦ります。
3つ目が重要人物の憲兵団師団長ナイル・ドークに聞き取り調査です。ナイルが妻子を大切に思っているか?ということを確認します。そして、家の場所がウォール・ローゼ内であることを確認しました。ウォール・ローゼが突破された際にナイルは家族を守ろうとするでしょう。

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)
4つ目がザックレー総統を巻き込むことです。ザックレーをどのように巻き込んだのか明確には描かれていないので予想ですが、ピクシス司令経由で伝達したか?あるいはエルヴィンが総統局に招集された時に何かしらアクションを起こしたのだと思います。
用意周到で挑んだ博打によって最終的に王政転覆は成功しました。
ピクシス司令の返答

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)
ピクシス司令はエルヴィンから王政転覆の相談を受けていました。誤報を流す協力はしていますが、最終的には調査兵団よりも王政の方が人類のためであれば王政につくつもりです。
王政に「その志まで共に築いているわけではあるまいな」と尋ねられます。
ピクシス司令は「有り得ませぬな」「人同士の殺し合いほど愚かな話は…この狭い人の世に一度火を放てば燃え尽くすまでそう時間は掛からんでしょう…」と答えます。
この返答はピクシスは人同士の争いが起きない方に自分はつく、ということを言っているだけです。調査兵団か王政かまだ決まっていないということを暗示しています。
「先のトロスト区防衛戦においてはそう兵士に言い聞かせ…大いに兵士に死んでもらったものです…」
この発言の兵士に言い聞かせた内容は第12話「偶像」でピクシスが兵士の前で演説をした時の話です。「人類が滅ぶのなら巨人に食い尽くされるのが原因ではない!!人間同士の殺し合いで滅ぶ!!」と語っていました。ピクシスはかなり初期の段階でウォール・ローゼを突破されることに危機感を感じていました。
王政のメンバー

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)
王政とは何かというと、担ぎ上げられた王様と一部の貴族たちのことです。彼らはユミルの民ではないので、始祖の巨人の力によって記憶が改ざんされないのです。
王政の4人の男性を紹介します。時計回りに左上の彼はアウリール、大臣として行政のトップを担う貴族です。右上の彼はゲラルド、王政を率いていた貴族の一人で全兵団のトップ。右下はローデリヒ、ウォール教のトップで壁の秘密を知る人物です。左下はデレトフ、壁内の秘密を知る貴族の一人で全商会を束ねている人物です。(名前はアニメ、解説はキャラクター名鑑、諫山創、講談社より)
4人の中で覚えておくと面白いのはアウリールです。彼は第63話「鎖」でザックレーの芸術作品とされます。そして、第120話「刹那」でグリシャが擦り寄った壁の権力者としても描かれます。
フリッツ王は終始無言で何かを考えていそうな男性ですが、実は木偶の坊のおじいちゃんだったことが判明します。貫禄のある表情も実はただ寝てただけだったというのが面白いところです。
王政の秘策

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)
エルヴィンはウォール・ローゼが突破された時の秘策があるのでしょうか?と問います。これは読み返してみると分かるのですが、秘策としては始祖の巨人による記憶の改ざんです。
王政側がどんなに保身に走り、壁内の人類に非難されても始祖の巨人を奪還さえすれば、また壁内人類の記憶を改ざんして全てリセットできるということです。
王政の人々にとっては、レイス家が所有していた始祖の巨人がロッド・レイスの元に戻ったら、また壁内人類の記憶を改ざんし、再び統治することで非ユミルの民である貴族は生きながらえることができます。始祖の巨人さえ手に入ればなんとかなると考えているでしょうし、現在はエレンが所有する始祖の巨人の奪還は中央憲兵によって進行中なのでそれほど焦ることはないのです。壁内人類の批判や王政に対する不信感もリセットできちゃうので自分たちが生き延びることだけに尽力しています。
クーデターが成功!

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)
ウォール・ローゼが突破されたという誤報にアウリールは「ウォール・シーナの扉をすべて閉鎖せよ!!避難民を何人たりとも入れてはならんぞ!!」言っています。これを引き金に以下の事実をつきつけます。
- 憲兵団師団長のナイルが王政に反旗を翻す
- ザックレー総統がクーデターの協力者
- 偽の王であることがバレる
- 中央憲兵の制圧
- 壁内人類に号外
壁内人類に号外の内容は中央憲兵が調査兵団に罪を被せていたこと、情報は王政によって操作されていたこと、王は偽物であり真の王が存在すること、これらです。始祖を所有できていない王政は孤立状態となり、クーデターは大成功に終わります。
ハンジから王政転覆の成功を聞いたリヴァイ班の104期生たちが「やったあああああああ」と飛び跳ねて喜ぶ姿が最高です。キャラクターそれぞれの動きや表情も細かく描かれています。
ハンジの「変えたのは私達じゃないよ」「一人一人の選択がこの世界を変えたんだ」というセリフがとても深味があります。憲兵団の新兵マルロやリーブス商会のディモやフレーゲル、ベルク新聞社やおじさん幹部たち、物語上では脇役の彼らが世界を変えたということでしょう。
口元のアップ

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)
王政の人間の人を見下すような発言や自己保身の態度をする時に不気味な口元が描かれます。歯が一本一本描かれ、時には歯茎も見えています。この口元の表現は作中で巨人を描く場合に使われています。巨人が人を食う場面を見続けていた読者は歯がしっかり描かれた口元を見て、無意識に嫌悪感を抱くように刷り込まれているようにも思います。作中は歯に注目して見るとまた面白いと思います。
進撃の巨人61話『回答』の感想・ネタバレ
進撃の巨人61話『回答』の感想動画
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