【進撃の巨人】第59話『外道の魂』考察・解説・感想【ネタバレ】

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進撃の巨人59話『外道の塊』のあらすじ

新リヴァイ班は、中央第一憲兵の攻撃から逃げ出し、廃屋に身を隠す。
自身と仲間が助かるために、敵兵士を殺してしまったアルミンは涙を流す。
ジャンは自分が間違っていたと反省するが、リヴァイは「何が本当に正しいかわからない」と語る。

リヴァイたちを捜索する憲兵団の新兵マルロとヒッチ。
同期のアニが女型の巨人である事実を聞かされ、調査兵団に協力することを決意する。
ジャンは命懸けの演技で、マルロ&ヒッチが、本気で協力する覚悟があることを明らかにする。

【時期】850年
【場所】パラディ島

進撃の巨人59話『外道の塊』で発生した伏線・謎

Qマルロの発言「(憲兵団に入ってしまったけど)入る兵団を間違えたよ…」
(15巻59話)

A
(17巻70話)

関連進撃全話の伏線・謎まとめ

残された謎

Q
(15巻59話)

A
(巻話)

進撃の巨人59話『外道の塊』で解決した伏線・謎

進撃の巨人59話『外道の塊』の表現・対比

進撃の巨人59話『外道の塊』の考察・解説

進撃の巨人59話『外道の塊』の考察・解説動画

サブタイトル『外道の塊』の意味

ジャンを救うために、初めて人を殺したアルミン。
リヴァイは、人の道を外れることの意味を説く。
関連進撃全話のサブタイトルの意味を考察

憲兵団と中央第一憲兵団は別組織

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

憲兵団のナイルと新聞社の会話で壁の中には「壁の中の理」があることが分かります。

ナイルにケニーがリヴァイと争ったことやリヴァイを取り逃がしたことについて確認しています。ナイルが今回の騒動を把握していないことを知った新人ピュレは「中央憲兵」の存在について指摘しますが、ベテランのロイは中央憲兵の存在については記述しないことを約束します。

さらにナイルは「新型立体機動装置の話もナシだ、連中があんなもの作ってやがったとはな」と語ります。新型立体機動装置は中央第一憲兵が使用する対人用の立体機動装置のことです。

憲兵団と中央第一憲兵は別組織です(壁内の組織については第53話「狼煙」に記載)。ナイルは中央憲兵が対人用の武器を使用していることを隠していたことに不信感や危機感を覚えます。

アルミンの通過儀礼

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

前回の話ではジャンが敵兵士に撃たれそうになった場面で終わりました。今回はその後の様子が描かれます。

ジャンを助けるためにアルミンが敵の兵士を銃で撃ち、アルミンがジャンのために自らの手を汚したのです。アルミンは「僕が殺した人はきっと優しい人だった。僕なんかよりずっと人間らしい人だった」と語ります。

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

それに対してリヴァイは「お前の手はもう汚れちまったんだ。以前のお前には戻れねえよ。新しい自分を受け入れろ。もし今もお前の手が綺麗なままだったらな、今ここにジャンはいないだろう」「新しい自分を受け入れろ」と現実を突きつけます。通過儀礼を通ったアルミンにリヴァイは、「お前が手を汚してくれたおかげで俺たちは助かった。ありがとう」と語るのです。

リヴァイのこの「ありがとう」はアルミンへの労いや慰める意味もあるでしょう。

何が正しいのか分からない

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

人を殺すことは正当化できないことですが「進撃の巨人」の世界は残酷で自分が生きるためには人を殺さなければなりません。仲間のためでも人を殺すことの重みがリアルに描かれています。

このように何が正しいことなのか分からない状態で迷いながら物語は進みます。

ジャンはリヴァイとアルミンの会話を聞いてリヴァイに謝罪します。

「間違っていたのは自分でした。次を必ず撃ちます」と覚悟を決めています。それに対してリヴァイが「お前がぬるかったせいで、俺たちは危ない目にあったな。ただしそれはあの時、あの場所においての話。何が本当に正しいかなんて俺は言ってない。そんな事はわからないからな。お前は本当に間違っていたのか?」と聞くんです。

ジャンのように人を殺すことは悪いことだけれども正義の為ならば仕方ない、と思う流れです。しかし、それに対してリヴァイは「本当にそうか?」とアルミンとジャン、さらに読者にも問いかけているのです。

「進撃の巨人」の物語を通じて「正義と悪を簡単に決めつけていいのか?」と考えさせられる場面があります。

第56話「役者」でもサネスとハンジの会話でもありました。自分が正義であると信じて行動した結果、対立が生まれてしまったのです。何が正しいのか正解が欲しくなるところですが思考停止したり、決めつけで判断してはいけない、ということを考えさせられます。

ヒッチとマルロ

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

マルロとヒッチは憲兵団のアニの仲間です。彼らは第31話「微笑み」で女型の巨人戦後に描かれているキャラクターで、アニと同室だった女性兵士のヒッチと真面目な男性兵士マルロです。

捜索をしている2人の描写で関係性が垣間見えます。

「さてはマルロ、私と二人っきりになりたいんでしょ」

「ヒッチ…悪いが俺もお前が相手で残念だ」

「…あらそう、そりゃよかったわ」

少し残念そうなヒッチが可愛らしいです。この二人の関係はの第70話「いつか見た夢」で描かれますし、特に第81話「約束」の見え方が変わってくるので覚えておくと良いかと思います。

新リヴァイ班で役割分担

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

ヒッチとマルロが調査兵団に捕まる場面ではキャラクターの特性を活かした組み合わせをしていることが分かります。

まず、アルミンは華奢な体型をしていますが機転が利くので囮役はアルミンが担当します。

囮に引き寄せられたヒッチとマルロをリヴァイとミカサが襲います。アッカーマンの最強の2人であれば取り逃すことはないでしょう。

キャラクターの特性を活かした作戦は第27話「エルヴィン・スミス」の女型の巨人からアニを出そうとしている場面でも描かれます。リヴァイとミケは調査兵団の1位と2位の実力者です。巨人の正体が分からない状況だったので、危険な役割をこなすのに適任なのはこの2人でしょう。

リヴァイの覚悟

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

ヒッチはリヴァイに対して「あなたたちは…自分が正義の味方でやってるつもりなのかもしれませんが…あの街の被害者やその家族は突然地獄に落とされたんですよ?」と言います。それに対してリヴァイは「ああ、知ってる」と語ります。

リヴァイは残酷な世界の中で何かを得るために何かを捨てているという選択をしている人間です。様々なことを完全に受け入れているというキャラクターであり、物事に対して一段上のところで考え、行動していることが分かります。

アニが巨人だと知らなかったヒッチ

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

ヒッチは行方不明になったアニのことを心配していました。

ヒッチは「巨人にグチャグチャにされて見分けがつかなくなったからでしょ!?」と責めます。巨人を保有している調査兵団の戦闘により友人のアニが死亡してしまったという被害者的な意識を持っているようです。

そこでリヴァイは「いいや。潜伏していた巨人の正体がアニ・レオンハートだったからだ」と冷静に語るのです。

驚くヒッチに対してリヴァイは「まったくイヤになるな。この世界のことを何もしらねぇのは俺らもみんな同じだ。この壁の中心にいる奴ら以外はな…」と語ります。憎しみが無知から生まれたものであると同時に王政府に情報操作をされていることも分かります。この場面でマルロが調査兵団に協力する意思が固まります。

マルロの覚悟を試す

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

マルロが「調査兵団に協力したい」と言うのですが本当に信用できるのかジャンがマルロを試します。

その時に「俺の銃の方が早い」と突きつけるのですがこれ実はただの木の棒で銃を持っていなかったことが分かります。

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

ここで逃げたはずのヒッチが棍棒のような丁度いい木でもってジャンをぶん殴ります。殺さんばかりの勢いのヒッチに対してマルロは「彼は俺を試しただけだ!!」と必死で止めます。

小ネタ

「MASTERキートン」のセリフで「この距離なら、ナイフの方が絶対に速い!!」という場面があります。ナイフを持っているマルロは両手を拘束されています。優位に立ったジャンが「俺の銃の方が速い」と威圧するのはパロディ的で面白いです。そして、ジャンが実際に持っているのは木の棒であり、殺傷能力はマルロの方が上であるというのは駆け引きの要素もある緊張感のある場面となっています。その後にヒッチが棒で殴るというのもギャグが際立つ場面です。

進撃の巨人59話『外道の塊』の感想・ネタバレ

進撃の巨人59話『外道の塊』の感想動画

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