この記事の目次
進撃の巨人23話『女型の巨人』のあらすじ
進撃の巨人23話『女型の巨人』で発生した伏線・謎
(6巻23話)
Aライナーはアニが女型の巨人と知っているので「あのいいケツした奴がそれか?」と余裕のある発言。一方で、巨人の正体が人間であると一瞬で見破ったアルミンの推理に驚く。アルミンの読みの鋭さをこの時信じたから、アルミンの推理するエレンの位置をアニに伝えたとも言える。
(10巻42話)
(6巻23話)
A女型の巨人が中央後方に向かっていったのは、ライナーが「中央後方にエレンがいる」というアルミンの推測を伝えたため。
(10巻42話)
(6巻23話)
A女型の巨人の正体が104期生の可能性に賭けて、同期しか知らない「死に急ぎ野郎」のあだ名で呼ぶ。結果、アニの動きが一瞬止まる。
(巻話)
(6巻23話)
A同期であるアルミンたちを殺さずに放置。ライナーから教えてもらったエレンの居場所に向けて方向転換する。
(10巻42話)
残された謎
進撃の巨人23話『女型の巨人』で解決した伏線・謎
進撃の巨人23話『女型の巨人』の表現・対比
進撃の巨人23話『女型の巨人』の考察・解説
進撃の巨人23話『女型の巨人』の考察・解説動画
サブタイトル『女型の巨人』の意味
「女型の巨人」の初登場
※知性巨人名1回目
関連進撃全話のサブタイトルの意味を考察
「女型の巨人」と対面
まずネタバレとして「女型の巨人」はアニ・レオンハートである、ということを前提に解説していきます。
「女型の巨人(以下、女型)」がアルミンの班を襲い、先輩兵士を次々と殺します。アルミンは自分も殺される、と怯えていましたが女型はフードをのぞき込むだけで去っていきます。
アニの目的は知性巨人を持ったエレンの捕獲なので、フードを被った兵士の顔を確認しています。
アルミンの推理
アルミンは女型について「奇行種じゃない!巨人の体を纏った人間だ!」と断言します。ライナーは「…なんだって!?」と驚いている様子ですが内心は動揺しています。
巨人は本来、捕食のために人間を殺します。一方で女型は急所を狙われた時に身を守るために兵士を殺しています。アルミンは意思を持って殺害していると考え「殺すために殺したんだよ」と語ります。
右翼側が壊滅したのも女型が特殊能力で巨人を呼んだからだと推測します。845年の壁が壊された時、壁内に巨人がなだれ込んできたのはその特殊能力を使ったのではないか、とも予想します。
さらにアルミンの推理が冴え渡ります。女型がアルミンの顔を見て殺すことを見逃したことから、誰かを捜しているのではないかと考えます。そして、誰かを捜しているならばそれはエレンだと確信をつきます。
「女型の巨人」の特殊能力
アルミンの予想通り女型は巨人を引きよる特殊能力を持っています。24巻第96話「希望の扉」でライナー達の目線で845年の壁が壊された日が描かれています。壁内に大量の巨人が侵入したのはアニが「叫びの力」を使いながら巨人を引き寄せていたからだということがわかります。
エレンはどこにいるのか?
陣形の中でエレンの正しい配置場所をだれも知らいないことに気づきます。それぞれのセリフは以下です。
ライナー「リヴァイ班ならあいつが来た右翼側を担当しているはずだ」
ジャン「オレに配布された作戦企画誌では左翼後方あたりになってたぞ」
アルミン「僕の企画紙では右翼前方あたりにいると記されていたいたけど…」
アルミンのモノローグで「エルヴィン団長が捜していたもの…何か考えたくなかったけど…」というのは仲間の中に裏切り者がいる、ということでしょう。つまり、この作戦は兵士の中に敵が潜んでいることを前提に実行されているということです。
女型は右翼側から現れて右翼索敵班を壊滅状態にしました。ライナーがエレンは右翼側にいる、と言っていることからライナーがアニの協力者であることを示唆している伏線にも読み取れます。
動揺するライナー
女型に対してアルミンは「エレンと同じことができる人間だ」「探してるのは…きっとエレンだ…」と語ります。ライナーはアルミンに「どうしてそう思った?」尋ねます。
ライナーはアルミンの賢さや鋭さを評価しています。2巻第9話「心臓の鼓動が聞こえる」でもアルミンの頭脳戦の活躍が見られます。巨人に囲まれた窮地の中でどう逃げ出すか、という場面でアルミンは「7体の巨人を一気に倒す」という作戦を考え、仲間たちは救われたのです。
アルミンの推理を聞いてライナーは「じゃあエレンはどこにいるってんだ」と問うと、「この陣形の一番安全なところにいるはずだとしたら中央の後方あたりかな」と推測します。
この時のライナーの表情については、ライナーが「鎧の巨人」であり、アニの味方であると分かってから見返すとまた面白いです。
アルミンの嘘
アルミン、ライナー、ジャンが合流した状況で女型に襲われます。先程の推理をもとに顔を隠す必要性があるのでみんなに「フードをかぶれ」と言います。
女型に襲われ、ジャンが恐怖におののいている時にアルミンが「死に急ぎ野郎エレンは死んだ!」と発言します。これを聞いて女型の動きが止まります。
アルミンはこの窮地の中である仮説を立てているのです。自分の顔を見て見逃したということは、仲間の兵士なのではないか、ということです。さらに104期生の同期の仕業であれば「死に急ぎやろう」の言葉に反応するのではないかと考えています。
さらに畳み掛けるように「右翼側で本当に死に急いでしまった死に急ぎ野郎の仇だ!!」「そいつに殺された!!」と言うのです。この時点で2つ嘘をついています。
- 右翼側にいたということ
- 女型の巨人に殺されたということ
アルミンは直前までジャンたちに「エレンが右翼にいない」という話をしていたのでジャンは「頭を打って錯乱しちまったか!?」とかなり動揺しています。
アルミンはなぜ嘘をついたか?
104期生の仲間かどうか確かめる
1つ目は104期生と関係しているか確かめるためです。アルミンは自分は殺されなかった理由として104期生の仲間かもしれない、と仮説を立てています。
エルヴィンがエレンについて巨人の力を持つ重要な人物であると紹介しています。なのでエレンという名は多くの人が知っているでしょうが「死に急ぎ野郎」=「エレン」と分かるのは104期生の仲間だけです。これは訓練兵時代、エレンとジャンが喧嘩をする際にジャンがエレンのことをそう表していたからです。
犠牲者を増やしたくない
2つ目が調査兵団メンバーを殺すのを防ぐ、ということです。
長距離索敵陣形の作戦中に中央に女型が攻撃に行ってしまうと陣形が完全に崩壊する可能性があります。最悪、全滅です。エレンが死んだと思い込んでくれたら「女型の巨人」は去ってくれるのではないか、という望みにも賭けていると思います。
ジャンを救うため
3つ目はジャンが死ぬのを防ぐため。エレンが死んだという嘘の発言で女型の動きが止まり、反撃に合わず命拾いします。
「右翼側で本当に死に急いでしまった死に急ぎ野郎の仇だ!!そいつに殺された!!」という言葉のあとに動きが止まったことに気づき、さらに「僕の親友をこいつが踏み潰したんだ!!足の裏にこびりついてるのを見た!!」と畳み掛けるアルミン。
この危機的状況での言動が女型を混乱させるための演技だったと思うとまさに神の一手のようです。振り返ってみるとアニが動揺しているようにも見えます。この駆け引きもアルミンvs女型の巨人戦の見どころでした。
ライナーの攻撃
ピンチのジャンを救うため、ライナーは女型のうなじを狙おうとしています。女型がうなじを手で守っているにも関わらず、うなじを直接狙いにいくのは危険です。
手の中に完全に収まれば身動きが取れないので、そのまま死亡する可能性が高いです。実際に熟練の先輩兵士は握り潰されて死亡しています。しかし、ライナーは女型の手を切り裂いて脱出しました。
ライナーのメッセージ
アニとライナーはマーレ戦士の仲間なので協力関係です。アルミンの嘘の言葉に動揺するアニに攻撃をするフリをしてメッセージを送っていた、という場面です。
女型を攻撃する際に顔がバレないように、アルミンはフードを被ることを提案しましたがライナーのフードは取れています。攻撃する際に自然に外れてしまった可能性もありますが、アニに対して仲間であると伝えていた可能性もあります。
ライナーが握りつぶされなかったのはアニが手心を加えていたということです。さらに、その手の中にライナーはメッセージを残しています。このメッセージはライナーがアルミンの推理を信じて中央後方と指示をしていたようです。
※アニメ17話「女型の巨人」ではライナーが被っていたフードをあえて手で外して攻撃する、という描写が追加されているので注目です!
「女型の巨人」の動きまとめ
女型の動きについて振り返ってみます。
アニは憲兵団なので調査兵団に潜伏しているライナーやベルトルトの情報が頼りです。ライナーの情報によると、エレンは「右翼側にいる」というので右翼側から攻撃を始めますがエレンは見つかりません。これはライナーの「エレンのいるリヴァイ班ならあいつが来た右翼側を担当にしているはずだが」というセリフが証拠です。
アニはエレンがいるリヴァイ班を捜して走っていました。そこでライナーがアルミンの推理を聞いて、アニに捕獲されるフリをしてメッセージを残した。アニはそれを確認して中央後方に向けて走り出します。アルミンが「そんな!!なぜ…」と驚いているのは女型が自分が先程推理した、エレンがいる思われる中央後方に明らかに方向転換したから、ということです。
※進撃の巨人OAD「Lost girls Wall Sina,Goodbye」では第57回壁外調査の前日にライナーと手紙のやり取りをしているシーンがあります。アニが「女型の巨人」としてエレンの捕獲のため調査兵団を襲う日の前日談です。見る方法などについてはこちら。
ジャンの覚醒
ジャンは女型の恐ろしさが分かっています。その上で逃げずに女型を少しでもおびき寄せて、時間を稼ごうと言うのです。エレンのいるリヴァイ班や司令班が襲われることは調査兵団にとって痛手であると理解しています。
ジャンは超大型巨人の襲来や訓練兵時代の巨人との戦闘を乗り越え成長していましたが、親友のマルコを失ったことで調査兵団に入る覚悟を決め、精神的に大きく変化しました。
この成長ぶりにライナーは「お前本当にジャンなのか?俺の知るジャンは自分のことしか考えていない男のはずだ」と言っています。ジャンもそれ認めてはいますが、その後「俺はただ…誰のものとも知れねぇ骨の燃えカスにがっかりされたくないだけだ」と言うのです。
ジャンの役割
この場面においてはジャンが自分自身の「役割」を発見したともいえます。ジャンの「これが俺達の選んだ仕事だ!!」というセリフから「仕事」という観点で考えてみます。
イエール大学のエイミー準教授の研究(Jobs, Careers, and Callings: People’s Relations to Their Work)を紹介します。人の仕事の捉え方は3つの観点で分類されているということです。
- 「ジョブ」 金銭的報酬に重点をおく人
- 「キャリア」 昇進や成長の実感に重点をおく人
- 「コーリング」社会に価値のある仕事をすることで自分の仕事に意義があると感じる人
この場面でのジャンの考えはまさに「コーリング」という感じです。「コーリング」はキリスト教的な言葉で神から与えられた使命や役割に近い感じです。
「オレは…オレには今何をすべきかがわかるのだよ!そしてこれが俺達の選んだ仕事だ!!力を貸せ!!」と言うのです。今までのジャンのキャラクター性を考えれるとあり得ないセリフです。過去のジャンは自分が生き残ることを重要視していまいした。
マルコの「ジャンは強い人ではないから弱い人の気持ちがよく理解できる。現状を正しく認識することに長けているから今、何をすべきかが明確にわかるだろう」という言葉とマルコの死によってジャンは大きく変わったのです。
ジャンは冷静に局面を見て、弱い人間として自分の言葉で指揮することができる。指揮役が正に「天職」になるわけです。ジャンの成長については4巻第18話「今、何をすべきか」や関連動画もあるのでこちらをご覧ください。
小ネタ
ジャンが女型を仕留めるのは不可能だ、と言っていますがアルミンは違う考えを持っています。「少なくとも人間の常識に当てはめた限りではそうだろう…けど」と言ってミカサとリヴァイのことを思い出しています。
アルミンはこの2人のアッカーマンは例外的な強さだということを把握しています。ジャンもかなり冷静なキャラですが、リヴァイの活躍を目の当たりにはしていません。そのため、絶望的になり弱音を吐いています。実際、このアルミンの考えは当たっていて後に「リヴァイ&ミカサVS女型」というバトルが描かれています。
進撃の巨人23話『女型の巨人』の感想・ネタバレ
進撃の巨人23話『女型の巨人』の感想動画
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