【進撃の巨人】第12話『偶像』考察・解説・感想【ネタバレ】

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進撃の巨人12話『偶像』のあらすじ

アルミンが「エレン巨人の力で、超大型巨人が開けた穴を、街にある大岩で塞ぐ」作戦を立案。
ピクシス司令は作戦を採用。混乱している兵士たちをまとめるために演説を行う。
エレンが巨人化し、作戦が開始。しかし、エレンは巨人の力を支配できず、ミカサを無意識に攻撃してしまう。

【時期】850年
【場所】パラディ島トロスト区

進撃の巨人12話『偶像』で発生した伏線・謎

Q
(3巻12話)

A
(巻話)

関連進撃全話の伏線・謎まとめ

残された謎

Qエレン巨人がミカサを殴った理由は?
(3巻12話)

Aエレンが巨人の扱いに慣れていないため、近くにいる人間を狙った。ミカサが「アッカーマンだから」という可能性もある?
(巻話)

Q大岩は何故そこにあった?
(3巻12話)

A作中描写では大岩に関して他に情報はない。未来エレンの操作である噂もあるが、可能性は低いと思う。
(巻話)

Qエレン巨人がミカサを殴るときに、記憶ツアー中のエレンとジークの人影がある?
(3巻12話)

A都市伝説だと思う。グリシャの記憶ツアーは、レイス家襲撃で終わっている。
(巻話)

進撃の巨人12話『偶像』で解決した伏線・謎

Q掘り起こすことができなかった「大岩」の存在
(1巻4話)

A巨人化したエレンが「大岩」を使って、トロスト区の扉の穴を塞ぐ作戦をアルミンが立案。
(3巻12話)

進撃の巨人12話『偶像』の表現・対比

進撃の巨人12話『偶像』の考察・解説

進撃の巨人12話『偶像』の考察・解説動画

サブタイトル『偶像』の意味

混乱する兵士達をまとめるために「偶像(救世主)」として扱われるエレン
関連進撃全話のサブタイトルの意味を考察

ピクシス司令の魅力

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

ピクシス司令(ドット・ピクシス)とはキッツ長官のことを「小鹿のような繊細な男じゃ」と止めていた男性です。
アルミンの命懸の説得やそれに対する兵士たちの反応、キッツ隊長の決断をすべて見たいたのでしょう。そして、砲弾が放たれるギリギリのタイミングで「待て」と声をかけたのです。やや狡猾な感じもしますが、この危機敵状況を大局的に見て判断できる人物ということがわかります。

ピクシス司令との対話

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

エレンたちに「命は保証しよう」と語りますがアルミンの話を鵜呑みにしたわけではありません。嘘をついていないか、実は敵なのではないか、冷静に見定めます。それらを踏まえた上で「巨人の力」が人類の戦力となり得るのかを問います。アルミンは大岩で穴を塞ぐことを思いついたが確証はないこと、そして、助かりたい一心で言ったということを正直に語ります。

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

そして、ピクシス司令はエレンに「穴が塞ぐことができるのか?」と率直に問います。エレンは沈黙したあとに「塞いでみせます!」と答えます。
本来ならば「塞ぎたいです!」とか「分かりません」と答えたい心境だと思います。しかし、今は目上の人間に生殺与奪権を握られている状況です。不安や葛藤の中でどんな言葉が適切か慎重に考えている様子が沈黙から伝わってきます。

アニメではエレンの戸惑いや不安がより強調されて描かれているので見比べてみると面白いです。

絶望する兵士たち

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

ピクシスとエレンが会話している間、兵士たちの絶望した顔が映し出されます。ここにいる兵士たちは訓令兵や駐屯兵団の人々で初めて巨人を見た兵士たちであるのがポイントです。壁外調査等で巨人と戦闘したことのある兵士や凄腕の調査兵団たちは不在なのです。

反逆を起こそうとする兵士

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

訓練兵の同期であるダズの「いやだ!死にたくねぇ!」という叫びをきっかけに恐怖が伝播していきす。訓練兵だけでなく、駐屯兵の男性も騒ぎに便乗してこの場を去ろうとするのです。

戦場での規律違反は多くの犠牲者を出しかねません。なので戦場で命令に背くことは死刑を執行されることも意味します。そんな中でも、兵士たちは巨人に食われるくらいなら家族と過ごしたい、などと逃亡しようとするのです。

トロスト区奪還作戦が語られる

恐怖に震える兵士に対して壁の上からピクシスが演説をします。「注!!もおおおおおおく!!」と大声で注意を引き、エレンの巨人化を使った作戦を語ります。

そこでは嘘を入り交えながら説得する様子が見られます。まず「極秘な巨人化生体実験の成功者」としてエレンを紹介します。兵士たちからは信じられない、という反応がでますが実際に嘘なので当然の反応でしょう。さらにそのエレンの巨人化の能力を使って大岩を塞ぐ作戦を話すのです。

ピクシス司令の演説の凄さ

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

ここからピクシス演説の真骨頂が発揮されます。絶望に陥った兵士たちは次々とその場を去ろうとしますが、ピクシスは止めません。人が恐怖を原動力にして進むのには限界があるのです。

4年前のウォール・マリア奪還作戦の真実が語られます。巨人の侵攻により壁内の領土の1/3を失ったことで農地が減ってしまったのです。しかし、人は増え続けるので食料が不足します。そこで口減らしのために民間人が巨人と戦わされ殺されたのです。演説ではさらに壁内に巨人が侵攻することでさらに領土が奪われていけば、いずれ食料難による人間同士の争いが起こることが語られます。

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

そして、人間が滅ぶとしたら巨人に殺されるのではなく、人間同士の争いが原因になりえる、と語ります。そして、兵士たちにそのような悲劇が起こるのを阻止するために「ここで死んでくれ!!」と叫びます。

ピクシスの論理

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

ピクシスの演説の凄さは論理の組み立てにあります。人間が行動する際に恐怖が原動力だと限界があることを理解している上で、希望を持たせた上で行動させようとするのです。

  1. 逃げてもいいよ(共感)
  2. でも、逃げると大変だよ(事実)
  3. それくらいならこっちのほうが良いよね(提案)

といような流れです。不安や恐怖の気持ちに寄り添いつつ、事実を挙げて現状を把握させる。そして一筋の希望を見せて、そこへ向かって進むしかないよね、というような説得をするのです。

エレンの成長

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

ピクシスと対話をする中でエレンは「敵は巨人だけではない」という発言をします。

エレンたちにとっての敵は巨人だけでなく、巨人の恐怖に怯える人間たちである。第11話「応える」では駐屯兵の一部の人間達に囲まれていましたが今回はさらに多くの兵士を説得する必要があります。これを覚悟してピクシスが演説にいく姿というのもかっこいいです。

もう一歩踏み込んで考えてみると違う見え方が出てきます。
エレンが巨人化できたのであれば他にも巨人化できる人間がいるのではないか?ということです。察しの良いアルミンでさえ「え?」という、どういう意味か分からない反応をします。

エレンが冴え渡りすぎている印象もありますが実際に巨人化したエレンだからこそ見える世界、というのもあったかもしれません。

小ネタ

今回の話を踏まえて1巻第3話「解散式の夜」のサシャが上官の食料庫から肉を盗んでくるシーンを振り返ると、単なるギャグシーンではなく肉が非常に貴重な世界の描写であったと分かります。

進撃の巨人12話『偶像』の感想・ネタバレ

進撃の巨人12話『偶像』の感想動画

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