【進撃の巨人】第77話『彼らが見た世界』考察・解説・感想【ネタバレ】

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進撃の巨人77話『彼らが見た世界』のあらすじ

ライナー・ベルトルトの回想①(超大型巨人2度目の襲撃)

850年、超大型巨人の2度目の襲撃のタイミング。
壁の穴を開けたベルトルトとライナーとアニ。
彼らの正体を偶然聞いてしまった104期生マルコは、殺されてしまう。
マルコは死に際に「まだ…ちゃんと…話し合っていないじゃないかぁあああ」と叫ぶ。

ライナー・ベルトルトの回想②(ウォール・マリア奪還作戦前夜)

ライナー・ベルトルト・獣の巨人の中の人は「始祖の巨人奪還」することを決意し直す。
四足歩行の巨人が喋り、エルヴィン達調査兵団が近づいてくることを知らせる。
戦いの直前、ライナーはベルトルトを信頼し「頼んだぞ 相棒」と背中を押す。

シガンシナ区内(外側) ※ハンジ・アルミン達 vs 鎧

かつての仲間だったライナーを倒し、涙を流す104期生のコニー・サシャ達。
しかし、まだ生存していたライナーの咆哮がきっかけで、獣の巨人は「樽」をシガンシナ区へ投擲する。
樽に入っていたベルトルトは、助けを求めるライナーの居場所を探す。

ウォール・シーナ壁内(内側) ※エルヴィン・リヴァイ達 vs 獣

戦局に変化なし。

【時期】850年
【場所】パラディ島

進撃の巨人77話『彼らが見た世界』で発生した伏線・謎

Q悪の民族(汚れた民族)という呼び方
(19巻77話)

A
(21巻86話)

[/box]

Qジークの発言「呪われた歴史」
(19巻77話)

A
(28巻114話)

Qライナーの胸に入っていたユミルの手紙
(19巻77話)

A
(22巻89話)

Q
(19巻77話)

A
(巻話)

Q
(19巻77話)

A
(巻話)

関連進撃全話の伏線・謎まとめ

残された謎

Q
(19巻77話)

A
(巻話)

進撃の巨人77話『彼らが見た世界』で解決した伏線・謎

進撃の巨人77話『彼らが見た世界』の表現・対比

進撃の巨人77話『彼らが見た世界』の考察・解説

進撃の巨人77話『彼らが見た世界』の考察・解説動画

サブタイトル『彼らが見た世界』の意味

マーレ戦士ライナー・ベルトルト・アニから見た世界
関連進撃全話のサブタイトルの意味を考察

ポイント

グリシャのセリフは三度意味を変える

グリシャ・イェーガーが語ったある一言、それは物語を通して読者の理解が深まるにつれ、三度その意味を変えていきます。

「ここで座標を奪還し、この呪われた歴史に終止符を打つ。もう終わらせよう。終わりにしたいんだよ、俺たちで。」

このセリフが初めて登場した時、読者はグリシャという人物や、座標が何であるのか、呪われた歴史とは何なのかを深くは知りません。けれど物語が進み、マーレやエルディアの過去が明かされていくことで、この言葉の解釈も変わっていきます。

1度目の読みでは、ただの敵役の決意表明に過ぎないかもしれません。

2度目には、マーレとエルディアの対立という歴史の悲劇に触れた上で、グリシャが何と戦っていたのかが見えてきます。

3度目の読解では、ジークの「安楽死計画」に繋がる伏線として読み直すことができます。

このように、一つのセリフが持つ意味が、読者の知識と再読によって何度も変化していく。それこそが『進撃の巨人』の物語的深みであり、名セリフの持つ力でもあります。

仲間だったライナーを殺すという選択

この物語の残酷さがひしひしと伝わる場面が、ライナーを倒したと思われた直後の104期生たちの反応です。

ジャンが「散々手こずらせやがって……ざまあねぇな、悪党ども」と言い放つその裏で、コニーとサシャは涙を流しています。ジャン自身も涙をこらえながら「泣くな……俺たちが殺したんだぞ」と言い聞かせるように呟くのです。

ライナーは、3年以上共に過ごした仲間であり、命を救ってくれたことすらある存在でした。それを自らの手で殺さなければならない。まるでバトルロワイヤルのような、生死をかけた戦いが旧友との間で始まってしまった現実。この戦場の非情さと、キャラクターたちの精神的疲弊が強く描かれる一幕です。

マルコの死に隠された真実

この回で突然挿入されるライナーたちの回想。それはベルトルトの覚悟を描くための重要な布石であると同時に、マルコという存在の役割を再評価させるものでした。

マルコは偶然にも、ライナーとベルトルトが巨人について語る会話を聞いてしまいます。彼は頭の回転が早く、指揮官として期待されていた存在でもありました。ですが、その「気づき」が命取りとなり、3人によって立体機動装置を外され、巨人に食われてしまいます。

ここで特に衝撃的なのは、ライナーの心の崩壊が始まる瞬間がこの場面にあるということです。

マルコが食われる様を見ながら、「おい……なんで……マルコが食われてる……?」と語るライナー。この言葉に表れるのは、現実を受け入れられず、兵士としての人格を自らの中に創り出すことで正気を保とうとするライナーの姿です。

ベルトルトの覚悟と変化

そんなライナーと対比されるのが、ベルトルトの「覚悟の瞬間」です。元々は積極性に欠け、ライナーに頼り切りだった彼が、この回でついに自らの意志を持ち始めます。

「もう……終わらせましょう。この地獄は、僕たちで。」

そう語るベルトルトの瞳には迷いがありません。それを聞いたライナーが「今まではな……正直、頼りにならなかったぜ……頼んだぞ、相棒」と言い、背中を預ける描写は、ベルトルトの精神的成長を象徴する名場面です。

二人はこの後、別々の道を歩むことになりますが、確かにここで「仲間」としての信頼が生まれたのです。

ユミルとの約束を守るライナー

そしてもう一つ、ライナーという人物の繊細な一面が描かれるのが、ユミルの手紙を持つ場面です。左胸を軽く叩くと「コン」という音がします。そこには、鉄製の箱にしまわれたユミルからの手紙が入っているのです。

「クリスタを連れて帰る……ユミルとの約束だ。絶対に救い出してやる。」

このように語るライナーの表情には、かつての戦友への誓いと、それを今も胸に抱き続ける想いがにじんでいます。たとえ戦士として戦う立場にあっても、彼の中に人間らしい情が確かに残っているということを、この描写は物語っているのです。

まとめ:複雑に絡み合う人間関係と感情の機微

今回取り上げた内容では、物語の核心に迫るような出来事やセリフが数多く描かれています。

・グリシャのセリフが持つ三層構造の意味

・仲間だったライナーを殺す104期生たちの苦悩

・マルコの死とライナーの人格崩壊

・覚悟を決めたベルトルトの成長

・ユミルとの約束を胸に抱くライナーの想い

これらすべてが、単なるバトル描写ではなく、深く人間を描く群像劇としての『進撃の巨人』の真髄を示しています。

グリシャの一言から始まり、104期生それぞれの苦悩と成長を経て、次第に戦場の意味が読者にも重く響いてくる――それが『進撃の巨人』の魅力です。何度も読み返すことで、また新たな意味が浮かび上がる。そんな作品世界を、ぜひ深く味わってみてください。

進撃の巨人77話『彼らが見た世界』の感想・ネタバレ

進撃の巨人77話『彼らが見た世界』の感想動画

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