【進撃の巨人】第75話『二つの戦局』考察・解説・感想【ネタバレ】

タキ

XYouTube もやってます。

進撃の巨人75話『二つの戦局』のあらすじ

シガンシナ区内(外側) ※ハンジ・アルミン達 vs 鎧

鎧の巨人と対峙するのは、104期生の主要キャラたち。

リヴァイ班のエレン・アルミン・ミカサ・ジャン・コニー・サシャ。
更にはハンジとハンジ班の面々がこちら側。

エルヴィンはアルミンに「馬を守るためにエレンをお取りにする作戦」を提案する。
指揮官を任されたハンジ・アルミンの二人は、超大型巨人の出現にも注意しつつ作戦を実行。
シガンシナ区で巨人化したエレンを追って、鎧の巨人は戦いを仕掛ける。

ウォール・マリア壁内(内側) ※エルヴィン・リヴァイ達 vs 獣

エルヴィン、リヴァイは獣の巨人と対峙する。
参加する調査兵団メンバーはディルク班、マレーネ班、クラース班。
更には調査兵団に新たに加入したマルコたち新兵もこちら側。

【時期】850年
【場所】パラディ島

進撃の巨人75話『二つの戦局』で発生した伏線・謎

Q車力の巨人が運ぶ荷物の中身は?
(19巻75話)

A
(19巻77話)

Qライナーの発言「2ヶ月で硬質化を身につけて…」
(19巻75話)

A
(19巻77話)

関連進撃全話の伏線・謎まとめ

残された謎

Q
(19巻75話)

A
(巻話)

進撃の巨人75話『二つの戦局』で解決した伏線・謎

進撃の巨人75話『二つの戦局』の表現・対比

進撃の巨人75話『二つの戦局』の考察・解説

進撃の巨人75話『二つの戦局』の考察・解説動画

サブタイトル『二つの戦局』の意味

「対 鎧の巨人」と「対 獣の巨人」の二つの戦局
関連進撃全話のサブタイトルの意味を考察

今回の戦いについて

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社

調査兵団とマーレ戦士隊の全面対決が描かれます(地理関係はこちら)。

エレンら調査兵団はシガンシナ区の穴を塞ぐことに成功します。そして、次にウォール・マリアの内門を塞ごうとした所でその穴をジークの投石で穴が塞がれます。これはジークが調査兵団たちをシガンシナ区に閉じ込めて退路を塞ぐという作戦のためです。そのため、鎧の巨人と獣の巨人という二大巨人の挟撃を受ける状況に陥ります。

戦いの場面は2つのエリアで行われます。

  • ウォール・マリア内(エルヴィン、リヴァイ、新兵たち)
  • シガンシナ区内(エレンら104期、ハンジ班たち)

この戦局において、調査兵団側の主要な目標は以下の三点です。

  1. エレン(始祖の巨人)の保護

  2. 敵知性巨人の殲滅(特にライナー、ベルトルト)

  3. 馬の確保と兵団の生還

これに対し、マーレの戦士隊は「始祖の巨人」つまりエレンの奪取を最優先とし、馬の壊滅によって調査兵団の撤退を封じる作戦に出ます。

馬を守る作戦

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社

本話の鍵となるのは、「馬の重要性」です。調査兵団にとって馬は帰還手段そのものであり、馬が失われれば補給・退却ともに不可能となります。

この点を読んだジークは、巨人を操って馬に襲撃をかけさせるという戦略に出ます。加えて「獣の巨人」は遠距離からの投石により兵士を各個撃破しようとします。

そのため、エレンを巨人化させて「鎧の巨人(ライナー)」の気を引き馬から注意を引き離す作戦をとっています。重要なエレンを囮にする作戦にライナーも動揺しています。

エルヴィンの高度な戦局把握

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社

この難局においても、エルヴィン・スミスの戦術眼は冴えわたります。彼は四足歩行の巨人を見た時点で、こう語ります。

「先ほど一斉に巨人化したものではない……知性を持つ巨人であろう」

これは「車力の巨人」=ピークを指しており、荷物を運ぶその姿から、彼女が単なる運搬要員ではなく、知性を備えた危険な存在であると即座に看破したのです(「車力の巨人」の解説はこちら)。

エルヴィンはこの状況を「準備された待ち伏せ」であると見抜き、敵に自分たちの行動が読まれていた可能性を想定します。さらに「知性巨人が既に4体登場していること」にも注目し、他にも存在するのではないかという最悪のケースも視野に入れています。

また、この布陣には隠された要素が存在しました。それはベルトルトの温存です。ベルトルトは切り札として獣の巨人の背後に控えており、あらゆる状況に対応可能な布陣が敷かれていたのです。

アルミンはベルトルトの温存も危惧して壁から離れてライナーと戦うことを提案します。ピークの鞍を見て「(荷物!?一体何が…)」と嫌な予感が的中する伏線も張られています。

戦略の選択肢と葛藤

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社

穴の封鎖という当初の目的は達成されたものの、エルヴィンは以降の選択に苦慮します。

  1. このまま撤退する

  2. エレンのみを撤退させる

  3. 獣の巨人たちと全面対決する

撤退すれば穴が再び破壊される恐れがあるため、意味を成さなくなってしまう。しかしながら、敵と全面戦争に突入すれば、大きな損害が避けられません。エルヴィンはこのバランスを冷静に見極めながら、最終的に獣の巨人との交戦を選択します。

その判断は、自軍の損耗と目的達成の狭間で揺れる、極めて困難なものだったのです。

マーレ戦士隊の「戦士長」登場と車力の巨人の伏線

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社

この話では、「戦士長」という新たな用語が登場します。リヴァイのブレードを首に刺したままのライナーが「我々の戦士長には到底敵わない」と口にしたことから、マーレの戦士隊に階級構造があること、そして戦士長がジークである可能性が浮上します。

また、今回の作戦で明かされた車力の巨人=ピークの実力も見逃せません。その外見は読者の期待を裏切るような容貌で、可愛らしさとは無縁ですが、その有用性は計り知れません。

車力の巨人は、

  • 長時間の巨人維持

  • 高速な移動

  • 偵察任務

  • 搬送・回収任務

など、実用性と戦術補助能力に優れた存在です。事実、今回の戦いでは彼女の存在によってジークとライナーが回収される結末へと繋がります。

エルヴィンとジークの頭脳戦

第75話に描かれるのは、単なる肉弾戦ではなく、知略と知略のぶつかり合いです。調査兵団の誇る頭脳・エルヴィンの読みと、ジークの巧妙な布陣。双方が馬をめぐって複雑な戦術を展開する様子は、まさに『進撃の巨人』が描く戦争のリアリズムを体現しています。

この戦いの帰結が、やがて物語の大きな転機へと繋がってゆくことを予感させる、静かなる嵐のような回となっています。

初登場の「車力の巨人」

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社

ピークの「車力の巨人」はこれまでの巨人と異なり、鞍で荷物を運ぶことができます。2ヶ月以上巨人化していることもでき、移動能力にも長け補佐的な活動をするにはうってつけの巨人となっています。

この時の車力の巨人は人間味が強く男性のようにも見えます。マーレ編の冒頭で再登場する「車力の巨人」は鉄仮面を装着していますが、第117話「断罪」のガビと共に脱出する場面でその素顔が現れます。そこでは動物らしさがあり、女性的な表情にデザインが変更になっています。

進撃の巨人75話『二つの戦局』の感想・ネタバレ

進撃の巨人75話『二つの戦局』の感想動画

関連記事

75話『二つの戦局』
76話『雷槍』
77話『彼らが見た世界』
78話『光臨』

コメントをするのは「自由」だ…