【進撃の巨人】第28話『選択と結果』考察・解説・感想【ネタバレ】

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進撃の巨人28話『選択と結果』のあらすじ

兵士に扮した女型の巨人がリヴァイ班を襲う。
手練の兵士たちは、女型の巨人の想定外の攻撃に虚をつかれて、死亡。
エレンは自分を信じないで仲間を信じたことを悔いる。
エレンが巨人化し、女型の巨人の戦いが開始する。

【時期】850年
【場所】パラディ島 巨大樹の森

進撃の巨人28話『選択と結果』で発生した伏線・謎

Q
(7巻28話)

A
(巻話)

関連進撃全話の伏線・謎まとめ

残された謎

Q
(7巻28話)

A
(巻話)

進撃の巨人28話『選択と結果』で解決した伏線・謎

Qエレンは「信頼できる仲間がほしい」と思う。
(5巻22話)

A地下牢に監禁され、「化け物」扱いされて、仲の良い同期と離れたエレンは不安定な心情を抱えつつ戦いに挑む。その結果、「仲間を信じる」ことを選択する。その結果、リヴァイ班はほぼ全滅。エレンにとっての転機の一つ。
(7巻28話)

進撃の巨人28話『選択と結果』の表現・対比

進撃の巨人28話『選択と結果』の考察・解説

進撃の巨人28話『選択と結果』の考察・解説動画

サブタイトル『選択と結果』の意味

エレンが仲間を信じる選択をして、リヴァイ班全滅という結果を招く。
エルヴィンは女型の巨人捕獲の選択をして、作戦失敗という結果を招く。
関連進撃全話のサブタイトルの意味を考察

ポイント

エルヴィンの変化「発想の飛躍」はこのタイミングから。

冷静なエルヴィン

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

エルヴィンの現在の状況は「壁内の敵を見つけること」と「エレンという大事な巨人の力を守る」という目的の為に行動しています。今回の作戦を成功させ、兵団の上層部や王政に対してエレンが人類にとって有用であることを示すことも必要です。

様々なリスクを負って決行した女型の巨人捕獲作戦。それが失敗になりそうな危機的状況でもエルヴィンは冷静に判断しています。

「死骸の蒸気で視界が悪い」「信煙弾の連絡に支障が出かねない…」と語ります。この視界不良の状況なら女型の中の人は立体起動装置で逃げることが可能かもしれない。そうするとまだ交戦がある可能性がある。そう考えて、エルヴィンはリヴァイに戦いの準備を指示します。

エルヴィンの「発想の飛躍」

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

女型捕獲作戦の敗因は巨人を引き寄せる能力を予想できなかったことと考えるエルヴィン。

「あの敵を出し抜くためには発想を飛躍させる必要がある」とエルヴィンは語ります。超大型巨人の出現時に本体が消えたことから、敵は立体機動装置を使用しているのではないか、とハンジは推論を思い出します。そして、その推論を元に発想を飛躍させ、巨人化能力の練度が高ければ巨人化解除後でも立体機動装置で移動や攻撃ができると考えます。

結果的にこのエルヴィンの読みは正しかったのです。

現状を見極め、反省して次の作戦に取り入れる賢さが表れています。予想外のことが起こる対巨人戦では既存の知識だけでは対抗できません。想定外のことでもその対策をしてしないと巨人には勝てない、ということです

エルヴィンの覚悟

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

エルヴィンは「最善策に留まっているようでは到底敵を上回ることはできない」と語るように全てを失う覚悟で挑むと言っています。できるだけ犠牲者が出ず、そこそこの成果が出るような最善策でコスパが良い作戦を考えていては敵を上回れない、ということです。

エルヴィンが「全てを失う覚悟で挑まなくてはならない」と語るように成果を得るためには犠牲が出ることを覚悟して全力で挑まないといけないのです。

このエルヴィンの考えは博打のような作戦を打ち出すきっかけでもあります。

エレンが信じた選択と結果

撤退命令で安堵するリヴァイ班

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

リヴァイ班のペトラが「あの時私たちを選んだから今の結果はある。正しい選択をすることって…結構難しいことだよ」と言います。この時にはまさか捕獲したはずの女型が逃げ出して襲いに向かっているとは思いもしません。明るいペトラの表情は今後の展開を考えると残酷です。初陣の恥ずかしいエピソードを語るリヴァイ班は和やかなムードです。

女型の巨人の奇襲

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

撤退命令が出たリヴァイ班に対して調査兵団のマントを着たアニが信煙弾で合図を送ります。リヴァイ班はリヴァイだと信じ、信煙弾で返答をします。アニはそれを見てリヴァイ班の居場所を突き止め、奇襲するのです。

グンタが殺害され、事態を理解したリヴァイ班はエレンを逃がそうと必死になります。「俺も戦います」と抵抗するエレンに対してエルドは「これが最善策だ。お前の力はリスクが大きすぎる。」

オルオは「なんだてめえ俺達の腕を疑ってんのか」

ペトラは「そうなのエレン?私達のことがに信じられないの?」

上記のようにリヴァイ班のみんなから「エレン、お前戦うな」ということを伝えられます。これはつまり「リヴァイ班を信じろ」と言われるわけです。エレンは巨人の力で戦えるかもしれないけど、仲間を信じることを優先させます。

エレンは彼らを信じて女型と戦わずに逃げる決断をします。エルドの「これが最善策だ」という言葉はエルヴィンの「最善策に留まっているようでは到底敵を上回ることはできない」という言葉と対比的です。

「お前の力はリスクが大きすぎる」という言葉もエルヴィンの「全てを失う覚悟で挑まなくてはならない」も対比的に思います。

エルヴィンは物語の中で正解に近い考えをする人です。読み返してみるとエレンを逃がす作戦は最善策に留まったリスクを取らない判断であり、結果的に間違いだったのではないか…という展開と考えられます。

リヴァイ班の想定外

女型の巨人と戦うリヴァイ派のメンバーは女型の目を潰して視界を塞ぎます。エルドはその間に腕や肩の筋肉を斬る作戦に出ます。エルドが「トントン」としているのは、オルオとペトラに「肩の筋肉を狙え」と合図を送っているのです。女型の両腕がダラリと下がった所で想定外のことが起きます。

目を回復させるのに1分はかかるだろうと予想していたリヴァイ班でしたが、女型は片目だけ回復をさせることが可能でした。そのため、回復時間を短縮させていたのです。これがきっかけでエルドは女型に食いちぎられてしまいます。それを見て動揺したペトラは体勢を崩し、殺されます。

もう一つのリヴァイ班の想定外は女型がうなじを硬質化できる、ということです。急所であるうなじを攻撃して留めをさそうとするオルオですが、硬質化したうなじでブレードが破損、動揺している所を蹴り殺されてしまいます。

最善策に留まり、想定外を予想していなかったリヴァイ班は全滅してしまった、と考えると残酷な展開です。

エレンの判断

引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

エレンは最終的に仲間を信じて戦わずに逃げることを選びました。仲間を信じることが正解だと信じたかったがそれは間違いであったとも言えます。

振り返らずにみんなを信じて進めばきっとそれが正解なんだ、と思考放棄しています。「オレにもやっとわかった…」と考えているエレンの脳裏にリヴァイの言葉が浮かびます。

「俺にはわからない」「自分を信じても仲間を信じても結果は誰にもわからなかった」

エレンはリヴァイの「悔いのない方を選べ」という言葉が心に残って、今後は悔いのない方をできるだけ選ぶという方向に進んでいきます。

リヴァイのエルヴィンへの信用

女型の捕獲に失敗した調査兵団は撤退命令を出します。リヴァイは離れ離れになっているリヴァイ班とエレンを気にかけて急いで迎えに行こうとします。

そんな中でエルヴィンはリヴァイに「ガスと刃を補充していけ」と指示します。戦う準備をしろ、ということです。

「なぜだ?」と問うリヴァイに「命令だ、従え」とだけ答えるエルヴィン。「お前の判断を信じよう」と返すリヴァイ。ここの場面でエルヴィンとリヴァイの関係性の深さが分かります。

今回の話を通じて皮肉なのはリヴァイの「信じる」という気持ちは正解だった、ということです。

エルヴィンが予想していたように女型は立体機動装置を持っており、リヴァイ班とエレンを襲いに行きました。リヴァイが準備していたおかげでこの後の展開が大きく変わります。

リヴァイがエルヴィンを信じたことで最悪の危機は回避できるのです。一方でエレンの「仲間を信じる」選択は結果的には正しくなかった、というのが皮肉です。

リヴァイの信じるは正しかったが、エレンの信じるは正しくなかった…とも読み取れます。厳密に正しいか正しくないか、という話にすると難しいですが、少なくともエレンはこの選択は正しくなかった、と思っているでしょう。

進撃の巨人28話『選択と結果』の感想・ネタバレ

進撃の巨人28話『選択と結果』の感想動画

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