この記事の目次
進撃の巨人80話『名も無き兵士』のあらすじ
シガンシナ区内(外側) ※エレン・アルミン・ハンジ達 vs 鎧・超大型
ハンジ班とエレン巨人が敗れ、絶体絶命の104期生たち。
新兵器「雷槍」で超大型巨人に攻撃を仕掛けるが、熱風の反撃を喰らい、まともに近づくことすらできない。
そんな中、倒れていた鎧の巨人が目を覚ます。
ウォール・シーナ壁内(内側) ※エルヴィン・リヴァイ達 vs 獣
熟練兵士は死亡し、残された馬も少ない状況で「敗走」か「戦い」かを迷うエルヴィン達。
エルヴィンは自身の夢を諦め、調査兵団団長として、獣の巨人を倒す捨て身の作戦を実行。
自らが先頭に立ち、新兵とともに、獣の巨人に正面から突撃する。
進撃の巨人80話『名も無き兵士』で発生した伏線・謎
残された謎
進撃の巨人80話『名も無き兵士』で解決した伏線・謎
進撃の巨人80話『名も無き兵士』の表現・対比
進撃の巨人80話『名も無き兵士』の考察・解説
進撃の巨人80話『名も無き兵士』の考察・解説動画
サブタイトル『名も無き兵士』の意味
エルヴィンの演説で調査兵団の名も無き兵士たちは突撃し、死んでいく
関連進撃全話のサブタイトルの意味を考察
エルヴィンとリヴァイの最後の会話
「死ぬ瞬間に本性が現れる」
引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社
諫山先生はリヴァイがエルヴィンに対してかけた「夢を諦めて死んでくれ」と告げた場面についてこう語っています。
「あの場面を描いている時に、『人間の本性が明らかになるのは、どう転んでも自分は死ぬという状況に追い詰められた時だ』といったことを考えていましたね。」(進撃の巨人 キャラクター名鑑、諫山創、講談社)
獣の巨人に対抗するための作戦はエルヴィン自身が思いついていたものの、彼は絶望の中に揺れる夢と責任からその計画をすぐにリヴァイに提案しませんでした。
夢と矛盾を抱えた男
諫山先生はエルヴィンの生涯について語っています。
「エルヴィンという人は『真実を知りたい』という無邪気な動機と、父が死ぬきっかけを作ったことに対する贖罪の意識から、調査兵団に入っています。それがいつしか組織を引っ張る立場になって、”夢を追う子共の自分”と”責任ある大人としての自分”の間で揺れることになる。そんな自分を納得させようと、”人類の未来のため”という偽りの目的で、エルヴィンは自分自身を騙し続けたんですよ。」(進撃の巨人 キャラクター名鑑、諫山創、講談社)
団長としての自分
「人類の未来のために戦え」と仲間に命じながらも、自身はその夢のために動いているという矛盾に苦しみ続けていたのです。獣の巨人を倒す作戦について「ここにいる新兵と私の命を捧げればな」「私が先頭を走らねば、誰も続かないだろう。私は真っ先に死ぬ。」と語ります。
子供としての自分
引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社
「俺は…このまま地下室に行きたい…」「俺が今までやってこれたのも…いつかこんな日が来ると思っていたからだ…いつか…『答え合わせ』ができるはずだと」
エルヴィンはそう言いながら、自分の夢である「地下室に行って世界の真実を知ること」が果たせなくなることを悟っていました。
葛藤するエルヴィン
引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社
「何度も…死んだほうが楽だと思った。それでも…父との夢が頭にチラつくんだ。そして、今手を伸ばせば届く所に答えがある」
そう語った後、これまでに亡くなった調査兵団の姿が浮かび上がります。
「仲間達は俺達を見ている。捧げた心臓がどうなったか知りたいんだ」
リヴァイの決断
引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社
エルヴィンは自分の夢が「ただの子供じみた妄想かもしれない」と打ち明け、リヴァイの目をじっと見つめます。
これに対し、リヴァイは
「お前はよく戦った。おかげで俺たちはここまで来れた。俺は選ぶぞ。」
と告げます。
リヴァイはこれまでエルヴィンの判断を信じてきましたが、ここで初めて自らの決断を示し、エルヴィンに「夢を諦め、責任を果たすこと」を選ばせました。
エルヴィンの成長と責任の選択
この瞬間、エルヴィンは自らの夢を諦め、調査兵団団長としての使命と責任を全うすることを決意します。
死を目前にして、大人としての覚悟を持つに至ったのです。
諫山先生のインタビューでも語られています。
「地下室で”夢”を叶えることと獣の巨人と最期まで戦う”責任”の間で揺れる自分です。そんなエルヴィンの姿を見て、リヴァイは『夢を諦めて死んでくれ、と言って欲しい』と訴え掛けられているように感じたんです。(中略)リヴァイの一言があったからこそ、エルヴィンは次の未来を考えて夢を諦めることができて、使命を重んじる大人に成長できたというか。」(進撃の巨人 キャラクター名鑑、諫山創、講談社)
絶望の中で兵士を鼓舞する最後のスピーチ
「死者に意味を与えるのは生者」
引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社
最終命令を下したエルヴィンに対して新兵のフロックが問います。
「どうせ死ぬなら命令に背いて死のうと…意味はなんか無いですよね…?」
エルヴィンはまずその言葉を受け入れます。返します。
「どんなに夢や希望を持っていても幸福な人生を送ることができたとしても、岩に体を砕かれても、同じだ。人はいずれ死ぬ。ならば人生に意味はないのか?そもそも生まれてきたことに意味はなかったのか?」
「死んだ仲間もそうなのか?あの兵士達も…無意味だったのか?」
「いや違う!!あの兵士に意味を与えるのは我々だ!!」
と力強く叫びます。
この言葉は、進撃の巨人のテーマでもある「生と死」の象徴的な場面です。仲間の犠牲により生者が存在しているという構図はこれまでの戦いでも描かれていました。死者の存在は、ただの無意味な消失ではなく、彼らの犠牲に意味を見出すのは、生きる者の責任であるとアジテーションしています。
「それこそ唯一!!この残酷な世界に抗う術なのだ!!」
このスピーチの直後、兵士たちはエルヴィンの指揮で獣の巨人へ特攻を敢行します。
「兵士よ怒れ」「兵士よ叫べ」「兵士よ!!戦え!!」
この言葉と共にエルヴィン率いる新兵たちは獣の巨人へ立ち向かい、獣の投石で玉砕します。新兵たちの表情は恐怖と絶望、涙を流している者もいます。
エルヴィンのカリスマ性と「一流の詐欺師」としての素質
「エルヴィンは世界観や時代が違っていれば、良くも悪くも自分の目的のために人を扇動するよ詐欺師のような男になっていたと思います。」(進撃の巨人 ANSWERS、諫山創、講談社)
諫山先生がこう語るように、リヴァイとの会話の中でも「詐欺師のように、兵士たちを動かさねばならない」というセリフがあります。
エルヴィンは巧みに兵士たちの心を掴み、鼓舞する才能を持っていて、この「心を動かす」力が最期のスピーチでも鮮烈に現れています。
亡霊たちの描写と伏線
引用:『進撃の巨人』(諫山創、講談社
エルヴィンとリヴァイの会話のなかで、戦いはまだ終わっていないことを示す幻影の描写が登場します。
右からケイジ、アーベル。彼らはハンジ班のメンバーでケニーの奇襲によって死亡しました。奥の女性はそばかすと黒髪の特徴から特別編「イルゼの手帳」のイルゼ・ラングナーかと思われます。一番左は特別編「リヴァイ兵士長」のリヴァイが看取った長髪の兵士かと思います。
そして、その中にモブリット・バーナーがいるのがわかります。これにより、モブリットはこの戦いで命を落としたことが暗示されます。後に登場するハンジはモブリットと共に行動していましたが、生存していることが伏線として描かれていました。
進撃の巨人80話『名も無き兵士』の感想・ネタバレ
進撃の巨人80話『名も無き兵士』の感想動画
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