この記事の目次
進撃の巨人79話『完全試合』のあらすじ
シガンシナ区内(外側) ※エレン・アルミン・ハンジ達 vs 鎧・超大型
超大型巨人の出現により、ハンジ班は死亡。
指揮官を任されたアルミンはうろたえて、ジャンに「代わってくれ」と頼む。
この場で超大型巨人を足止めして、ウォール・シーナ壁内側の被害を避けようとエレン巨人が戦いを挑む。
しかし、超大型巨人の足蹴り一発で、壁まで飛ばされてしまう。
ウォール・シーナ壁内(内側) ※エルヴィン・リヴァイ達 vs 獣
獣の巨人は、攻撃の機会を伺っていた。
小型の無垢の巨人を操作し、兵士が前方一箇所に集まるように誘導。
そのタイミングで、投石攻撃を仕掛け、調査兵団兵士の大半を死亡させた。
ディルク班・マレーネ班・クラース班は全滅。
残されたのは、エルヴィンとリヴァイ、そして新兵たちだけとなる。
進撃の巨人79話『完全試合』で発生した伏線・謎
残された謎
進撃の巨人79話『完全試合』で解決した伏線・謎
進撃の巨人79話『完全試合』の表現・対比
進撃の巨人79話『完全試合』の考察・解説
進撃の巨人79話『完全試合』の考察・解説動画
サブタイトル『完全試合』の意味
獣の巨人は岩を投げて調査兵団をひとり残らず(完全に)殺そうとする。
完全試合は「パーフェクトゲーム」と呼ぶ(外の世界に文明がある伏線)
ポイント
戦場が二分されたシガンシナ区の攻防
ウォール・マリアの穴、ついに封鎖完了
ついに、5年前の超大型巨人によって開けられたシガンシナ区の壁の穴が、エレンの「硬質化」の力によって封鎖されました。これは、壁内人類にとって長年の悲願であり、取り戻すべき故郷の象徴でもありました。
しかし、これはあくまでも“始まり”に過ぎません。
**知性巨人たち、すなわち敵の本隊を倒さねば、穴の封鎖は無意味になってしまう。**彼らは、再び穴を破壊する力を持っているからです。
二つの戦場、分断された地形
戦場はウォール・マリアを挟んで二手に分かれる構造となっています。
【ウォール・マリア外側:獣の巨人との戦線】
敵:獣の巨人と、それに従う無垢の巨人たち。
味方:エルヴィン、リヴァイ、新人兵たち。
目的:馬を守ること。馬を失えば帰還も不可能となる、極めて重要な要素です。
【シガンシナ区内側:超大型巨人との戦線】
敵:超大型巨人(ベルトルト)と鎧の巨人(ライナー)。
味方:エレン巨人、104期生、ハンジ(※この時点では生死不明)
目的:超大型巨人の撃破と、壁内への被害最小化。
このように、「壁」を挟んで両側で別個の戦いが行われている状況です。
火の海を避けたい兵団の事情
この戦局で重要なポイントが、「戦場同士が干渉しないようにする」ということです。
例えば、ジャンはこう語ります。
「ベルトルトを団長たちがいる壁の近くに近づけるのは危険だ。奴は火を撒き散らしている。」
超大型巨人が発する爆風や高熱が、もう一つの戦場にまで影響してしまう可能性があるため、味方同士で互いの戦局に迷惑をかけない配慮が必要となっているのです。
エレンたちは、まさに敵と戦いながら、味方を巻き込まないよう戦場の線引きを守るという、極めて困難な任務を背負わされています。
投石で壊滅、絶望する兵団
獣の巨人による“完全自愛”のゲーム
この戦局の中で最も衝撃的だったのが、獣の巨人ジークによる投石攻撃の脅威でした。
ジークは小型の無垢の巨人を操り、兵団を一点に集めさせるよう仕向けます。そして、その集中した位置に、岩を砕いて投げつけるという戦法を取りました。まるで野球のピッチングのように。
この攻撃により、ディルク班・マレーネ班・クラース班といった精鋭たちが一斉に全滅。
その事実をエルヴィンが冷静に語る場面が、なおさら絶望感を強めています。
「ディルク、マレーネ、クラース班は……全滅したようだ。」
これにより、残されたのはエルヴィン、リヴァイ、そして経験の浅い新人兵士たちのみ。
兵力の質・量ともに劣る中で、絶望的な状況へと追い込まれていきます。
エレンも機能不能、唯一の希望は……
この時、エレンもまた超大型巨人の攻撃で壁に叩きつけられ、行動不能な状態に。
戦局の中で最も信頼されていた戦力が一時的に脱落したことで、兵団側はまさに総崩れ寸前となります。
この第79話は、シリーズ全体を通しても屈指の絶望回といえるでしょう。
小ネタ:ジークの正体と野球文化のヒント
ここで、物語の本筋とは少し離れた興味深い描写がいくつかあります。
「パーフェクトゲーム」と野球文化
ジークは投石を行う際、「パーフェクトゲームだ」と口にし、野球の投球フォームを取って石を投げ始めます。
このセリフと動作から、明らかに野球というスポーツがジークのいた“壁外の世界”には存在していたことが伺えます。
「パーフェクトゲーム」=投手が一人の走者も出さず勝利する完全試合
つまり、パラディ島の人々が知り得なかった文化が、ジークたちの出身地、すなわちマーレにはある――それが初めて物語中に具体的に示された瞬間です。
また、この石のばら撒き攻撃は、キャニスター砲という実在の兵器にインスパイアされているとのことで、諫山先生が描きたかった“拡散型の人間破壊兵器”の演出でもあります。
エルヴィンの目線が語る「隠された決断」
そしてこの絶望的な状況下、唯一の希望とされるリヴァイがエルヴィンにこう問います。
「何か策はあるか?」
その問いに対し、エルヴィンは無言で目線を逸らすのです。
この沈黙と視線の動きには、深い決意と、言葉にできない苦悩が含まれています。
その後の展開で明かされる通り、エルヴィンの策とは「死を前提とした玉砕突撃」でした。
彼はこの時点で、すでに自らの死を含めた“犠牲による突破”を覚悟していたのです。
しかし、それをこの場では語らず、目線を逸らすことで全てを伝えました。
進撃の巨人が描く「世界の残酷さ」
この第79話に描かれるのは、戦術的な戦局の描写を超えて、「希望を捨てず、どれだけ地獄の中で決断できるか」という人間の深い葛藤です。
ジークの野球文化、石を砕いて投げる演出から垣間見える「世界の広がり」。
エルヴィンの視線から感じ取れる「兵団としての覚悟と個人の死」。
そして戦局が二分される中、仲間同士で迷惑をかけぬよう必死に戦う者たちの“人間らしさ”。
進撃の巨人は、世界がいかに残酷であっても、なおそこに人間性を描き続ける作品である――
そう再認識させてくれるのが、このシガンシナ区攻防戦中盤のエピソードです。
進撃の巨人79話『完全試合』の感想・ネタバレ
進撃の巨人79話『完全試合』の感想動画
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