【進撃の巨人】第135話『天と地の戦い』考察・解説・感想【ネタバレ】

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進撃の巨人135話『天と地の戦い』のあらすじ

地鳴らし4日目(スラトア要塞)

戦いを見守るユミル。ユミルの脳裏に「豚を逃した時の記憶」がよぎる。

エレン巨人の本体に辿り着く前に、ジーク巨人だけでなく「歴代の9つの巨人」が現れて妨害をしてくる。
アルミンは、超大型巨人の攻撃を仕掛けるが、舌の長い巨人に捕獲されてしまう。
ピークは、進撃の巨人の首を爆撃しようとするが、これも失敗してしまう。

防戦一方の戦いで追い詰められる104期生たち。
そこに、空飛ぶファルコ巨人とアニ・ガビがやってきて、彼らを救う。

【時期】854年
【場所】スラトア要塞

進撃の巨人135話『天と地の戦い』で発生した伏線・謎

Q始祖ユミルが豚を逃がす
(34巻135話)

A
(34巻139話)

関連進撃全話の伏線・謎まとめ

残された謎

Q
(34巻135話)

A
(巻話)

進撃の巨人135話『天と地の戦い』で解決した伏線・謎

進撃の巨人135話『天と地の戦い』の表現・対比

進撃の巨人135話『天と地の戦い』の考察・解説

進撃の巨人135話『天と地の戦い』の考察・解説動画

サブタイトル『天と地の戦い』の意味

後に「天と地の戦い」と呼ばれる戦いが開始。
天は、空から落ちるアルミン達や、空を飛ぶファルコ巨人。
地は、地上を踏み鳴らす地鳴らし巨人とエレン巨人。
関連進撃全話のサブタイトルの意味を考察

歴代の9つの巨人

少年漫画のラストで今までのボスキャラが出てくるとか、過去の英雄が助けに来る等の「勢ぞろい感」というのはかなり胸熱な展開です。今回は歴代の9つの巨人が多種多様な姿で大勢描かれます。

ピークを刺したのは戦鎚の巨人でヴィリー・タイバーの妹ラーラです。

さらにポルコやベルトルトが襲いかかることでライナー達はかなり動揺していました。

そしてポルコの兄であるマルセル、104期ユミルの顎の巨人の姿もあります。
その他にも過去の継承者の特徴として、

  • 「女型の巨人」…髪の長さや表情が異なる、しなやかな女性のような体型
  • 「顎の巨人」…トゲトゲした形状の歯を持つ、顎が大きく爪や歯で攻撃する
  • 「鎧の巨人」…全身が大小様々な大きさの鱗で覆われている、体表に模様がある
  • 「獣の巨人」…鹿ような角が生えたり、長い毛が生えたシーサーのような顔立ち、動物を模している
  • 「戦鎚の巨人」…顔面が横格子などさまざまな形状の頭部をしている、長身で細く長い手足、武器を持つのが特徴

一方で、シンプルなドクロの巨人、男性の見た目をした巨人など分類し難い巨人も大勢いました。
これらの巨人達は自由意志や自我はなく、コントロールされているように感じます。
オマケですが…冒頭で登場するワニの巨人ですが、アニメ2期OP「心臓を捧げよ」にワニが登場します。「獣の巨人」と並走している様子を見ると過去の「獣の巨人」継承者なのでしょう。
※画像

空を飛ぶファルコ巨人

絶体絶命のピンチを救ったのは鳥のような姿の巨人化したファルコでした。
ファルコは実際には「顎の巨人」ですが無垢の巨人になったきっかけがジークの脊髄液なので「獣の巨人」の特徴が発現しています。

アルミンが飲み込まれる

アルミンにオカピの舌が絡みつき、更に口を塞がれながら飲み込まれます。この理由は恐らく、「傷ひとつ無く捕獲する」そして「窒息死させる」ということが目的でしょう。アルミンは超大型巨人の継承者なので歴代巨人も警戒しているはずです。
さらに言うとアルミンは唯一、エレンに道に呼び出された存在です。エレンと対話をすることを阻むために口を塞いでいる描写、とも捉えられます。

アルミンの通過儀礼と団長の使命

アルミンの甘さ

普段の冷静なアルミンであれば超大型巨人になれる状態で飛行艇から落下しているはずです。112話「無知」でエレンが話し合いをする時に手に傷をつけていました。同様に「1分後にここを吹き飛ばす!(超大型巨人になる)」と言った時に手に傷をつけるべきでした。やはり「エレンを殺したくない」「超大型巨人になるのを避けたい」という深層心理があった。そのことにアルミン自身が気づいたのが「甘かった」部分だと思います。

アルミンの通過儀礼

進撃の巨人は「通過儀礼の物語」と諫山先生自身が語っています。
以下はアルミンの通過儀礼のまとめです。

  • 勇気を出してエレンを助けた→巨人
  • 敵対する兵士を殺した→人間
  • 自己犠牲でエレンを助けた→自分
  • 罪なき一般人を殺した→人間(戦いに無関係な民間人)

通過儀礼のステップとして巨人、人間、自分というステップを感じます。

そして、最期は『エレンという大事な友人を殺すことができるのか?』という所が注目です。

団長としての2つの道

「何も捨てることができない人には、何も変えることはできないだろう」という言葉と共にエルヴィンの姿を思い起こします。27話「エルヴィン・スミス」の女型の巨人戦にてアルミンは「何かを変えることのできる人間がいるとすればそれは大事なものを捨てることのできる人間だ」とエルヴィンの凄さについて語ります。あくまでもアルミンの考えでエルヴィンが人間性を捨てろとか大事なものを捨てろ、と言ったわけではないです。
エルヴィンの次の団長、ハンジは「調査兵団に求められるものは理解することを諦めない姿勢」と言われます。
ここでアルミンが今後選ぶ道は2通りあります。

  • 13代目エルヴィン的に人間性、エレンの思いを捨てる
  • 14代目ハンジ的にりかすることを諦めない

どちらを選ぶのかが重要になります。

過去描写の再現(リフレイン)

7話「小さな刃」の表現

ミカサの「私は…強い…あなた達より強い…すごく強い!…ので私は…あそこの巨人共をけちらせることができる…」という描写があります。これと重ねる感じで「私は強い!!ので!!いくらかかって来ようとー」というシーンがあります。そこでアニが「ミカサちょっと邪魔」とツッコミます。

33話「壁」の表現

ミカサが「アニ落ちて」というシーンの対比として今回はアニが「捕まって!!」と空から助けにきた。上下の対比で描かれます。ミカサのアニの関係性の変化も分かる表現です。

45話「追うもの」の表現

エレンに負けそうなライナーをベルトルトが上から落ちてきてライナーを救いました。今回はベルトルトが上からライナーを襲う状況になっています。

92話「マーレの戦士」とアニメ60話「海の向こう側」の表現

ライナーはポルコと共闘します。ライナーの背後を守っていたポルコが今回は背後から襲うというシーンもあります。

30話「敗者達」の表現

女型の巨人にエレンを奪われた状況で兵長はエレンを救出することを第一に作戦を考えます。しかし、ミカサは殺せる、と思い行動してしまいます。兵長は「よせ!」とミカサを助けることで怪我をしてしまいます。

ミカサにはそんな過去の反省があるので「落ち着けミカサ、早まるな」と兵長に言われたときに自制することができました。ちなみに兵長の怪我はどちらも左足なので重ねた描写になっていると思います。

俺たちは調査兵団

ジャンとライナーの関係をおさらいすると、裏切り者のライナーをボッコボコにしていました。しかし、ジャンが裏切り者の立場になり糾弾される中で裏切り者の辛さやライナーたちへの理解を深めます。「お前を責める資格なんてなっかたんだ…俺は」とも語っていました。
そして、訓練兵団時代から5年以上「仲間として生きていた時間」「調査兵団として戦っていた時間」は消えない。
仲間と認め和解したことから「俺”たち”は調査兵団」という言葉がでてきたのです。

ライナーの気持ち

ジャンの「俺”たち”は調査兵団」という言葉でライアーはどれだけ救われただろうと思う泣けてくる。自分のことを仲間と思ってくれてる。ライナーは「死にたい」という気持ちがあった。そんな中でジャンは「せめて死ぬとことまで足掻いてみようぜ」とライナーに言う。ライナーにとっては生きる指針となる、そんな優れた表現だと思います。

ハンジの思い

ジャンの「死ぬところまで足掻いてみようぜ、俺達は往生際の悪い調査兵団だからな」という言葉も素晴らしいです。127話「終末の夜」でハンジとジャン、ミカサが対話する中で「なぜ生きるのか?調査兵団として何をなすか?」に気づき「ハンジさん…俺は…まだ調査兵団です」と答えを出します。ハンジは死んだがハンジの意志はジャンに受け継がれているのです。

アニの悔いなき選択

130話「人類の夜明け」にてアニは「もう戦いたくない。あんた(ミカサ)とも、あんた達(104期の仲間)とも、エレンとも」そして、132話「自由の翼」でも「私はもう戦えない、最期の時間くらい…穏やかでいたい…」と言って一度は戦いか降ります。そんなアニが再び戦場に戻ったのはなぜか?気持ちを振り返ります。

アニが戦う理由

父親にまた再会するために戦いを続けていたアニですが、父親は死亡したと思い込んでいます。それによって戦う理由もなくなったのです。133話「罪人達」のキヨミとの会話で「失ったものはもう戻って来ない…!!もう遅い!!」と感情的になります。アニがここまで感情的になるのはとても珍しいです。戦士であるアニとっては過酷な状況に耐えられていたのかもしれませんが、戦士というベールを取り払った現在はアニという一人の少女に戻った。そんな彼女が傷つくのは辛すぎたのでしょう。

ファルコとガビの純粋な気持ち

ファルコとガビは選択の余地もなく船に避難させられ戦闘の場所へは連れて行ってもらえませんでした。しかし、2人は強い思いで戦場へ向かう決意をします。そのきっかけとなったであろう気持ちはマガトの信念です。130話「人類の夜明け」にてハンジは皆にマガトの最期について語ります。「彼は命を賭して私達を先へ進めた。それはレベリオやマーレのためだけじゃない。名も知らぬ人々を一人でも多く救えと私達に託すためだ」これを聞いて絶望の淵にあったガビの目に光が戻ります。自分達がどのように行動すればよいか見えてきた…というような描写です。ファルコもその気持に共感したのでしょう。ファルコとガビは自分たちを守ってくれた仲間達の思いも大切にした上で、この状況で自分たちが力になれるかもしれない!行こう!というような子供らしいシンプルで純粋な思いで「だから…オレたち、行ってきます」と言うのです。

キヨミの後悔しない選択

133話「罪人達」でキヨミは「後悔が絶えることはありません。エルディア人が生きる道を…私はすべて模索したとは言えません…船が沈んでも構いません。これ以上…後悔を増やすことになるくらいなら」と言います。これは自分は後悔してしまったけれども、アニにとって後悔しない道があるならば選ぶべきで、これから尽くせる「最善」があるなら動くべきだということです。そしてアニは悔いなき選択をする。

これらの心情の変化があることでアニの「来てよかった」というセリフに繋がるのだと思います。

ピークの秘めた決意

ピークはエレンに向かって1人で奇襲をしていきました。調査兵団たちがエレンを殺すという選択肢に目を背ける中でピークだけは覚悟が決まっていた、という感じです。

多くを語らないピーク

132話「自由の翼」でキヨミに「死んだ仲間に報いなければなりません。戦士の努めを果たします。」この時点で決意は固まっていたと思います。自分が犠牲になるとしてもエレンを爆破させるという思いがあったでしょう。飛行艇の中で地鳴らしを止めようと作戦を立てる時に敢えて多くを語っていない。アルミンが超大型巨人でエレンもろとも吹き飛ばすことについても触れていました。ピークの中には「エレンを殺してでも地鳴らしを止める」という思いはあったでしょうが、敢えて強く言わなかったのでしょう。それは皆に止められないように奇襲することも頭にあったからかもしれません。

「悪魔」ではなく「悪夢」

「消え失せろ悪夢」と敢えて言っているのも良かったです。マーレ側の人間であれば突発的に「悪魔」と言うのが普通です。49話「突撃」でもアルミンのゲス発言で冷静なベルトルトが「悪魔の末裔が!!根絶やしにしてやる!!」と反射的に発します。しかし、ピークは違った。なぜか?それは127話「終末の夜」の会話があったからでしょう。マガトは「エレン・イェーガーを放っておけばお前らが望む世界が手に入るのだぞ。島の悪魔共の楽園がな」と言います。その後も調査兵団とマーレ戦士との仲違いはありましたがガビやファルコの子供がマーレ側を代表する形で謝罪するのです。それを見たマガトは翌日である128話「裏切り者」で「我々は間違っていた」と頭を下げて謝罪します。血に塗られた愚かな歴史、エルディア人の迫害や同じ民族というだけで罪を着せらることは間違っている。エレンは地鳴らしをした悪魔ではあるが、個人を悪魔と呼ぶのは違うのではないか、ということでしょう。
また、「悪魔」は個人に対する表現ですがここで言う「悪夢」とは地鳴らしという「長く、悪い夢」そのものを消したいという思いもあったと思います。

ベルトルトの片目の涙

過去の涙の描写として85話「地下室」にてアルミンがベルトルトを捕食し超大型巨人を継承した場面で登場します。同じ右目で涙を流す姿をアルミンは見ています。
ベルトルトは何故泣いているのか?考察します。
ピークが歴代の9つの巨人達を見て「歴代の継承者の記憶があるかわからないけど…」と言います。始祖ユミルに巨人達が支配されている状態として目が黒く塗りつぶされている表現があります。しかし、137話「巨人」でアルミンとジークの対話によって自我を取り戻した巨人達は目に光が入ります。ベルトルトが「道」で人格や意識、記憶がある状態で見ていることしかできないとしたら辛いはずです。ベルトルトとアルミンの対話については137話「巨人」で描かれるので注目です。

豚を逃したのは始祖ユミル

初めて明かされた、豚を逃した犯人。それは始祖ユミルでした。 122話「二千年前の君から」にて初代フリッツ王が奴隷に対して「この中に豚を逃した者がいる、名乗り出よ」と言います。すると奴隷達は始祖ユミルを指差しフリッツ王が「豚を逃したのはお前か」そして否定せず、ひざまずく始祖ユミルに対して「お前は自由だ」と言い、始祖ユミルは追放されるのです。 この一連の流れで始祖ユミルは完全に被害者と思った読者の人も多いのではないでしょうか。 しかし、豚を逃したのはユミル自身の意思であり、奴隷たちは正直に事実を示していただけなのでした。

進撃の巨人135話『天と地の戦い』の感想・ネタバレ

進撃の巨人135話『天と地の戦い』の感想動画

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