【進撃の巨人】モーゼスブラウンの謎・伏線を考察。ヨロイ・ブラウン、ブラウン家、巨人大戦との関係は?

第1話のモーゼス・ブラウン、彼は何者なのか?

バックさんが語る裏話、ブラウン家、そして ヨロイ・ブラウンと巨人対戦まで話を広げて考えていきます。

解説動画:モーゼス・ブラウンは何者?ライナーとの関係は?ヨロイ・ブラウン小瓶と巨人大戦後のブラウン家を考察

このブログの内容は以下の動画でも解説しています!

モーゼス・ブラウンとは?

引用:『進撃の巨人』(諫山創, 講談社)

『進撃の巨人』の第1話で巨人と戦って死亡した兵士は、モーゼス・ブラウンというフルネームです。漫画では「ブラウン」と呼ばれていましたが、アニメでは「モーゼス」と変更されました。

auスマートパスの企画で担当編集のバックさんは「ネタバレになっちゃうんですけど、 ブラウンというのが実は苗字で、お母さんが苗字で呼んでしまっている、これは諫山先生のミスです」と言っていました。

モーゼスという名前にしてもよかったはずですが、フルネームが「モーゼス・ブラウン」と明確につけられた理由や、何がネタバレになるのかについては設定に関わる可能性があると考えられます。

 

ブラウン家の4人とは?(ガビ・ライナー・カリナ・モーゼス)

「ブラウン家」について考えます。

まず、鎧の巨人ライナー・ブラウン、ガビ・ブラウンはブラウン一家に間違いないです。

特に、モーゼスとライナーの顔は少し似ているかもしれません。特に漫画よりアニメの方が、モーゼス・をライナーに寄せている感じです。

©諫山創・講談社/「進撃の巨人」製作委員会

 

マーレ国に帰った後の会話シーンでブラウン家が描かれています。

ライナーとその母親のカリナ、ガビと両親、そして親戚を含めて、大所帯のブラウン家が存在します。

ちなみにライナーの父親に関しては、マーレ人でブラウンという名字ではありません。母親のことをカリナーブラウンと言っているので、母親の名字が元々ブラウンだったのでしょう。

そしてモーゼス・ブラウンとライナー・ブラウンの関係なのですが、一言で言えば遠い血縁関係です。この二人そのものに直接の関係はないと言えるでしょう。

経緯としては、巨人大戦のタイミングでパラディ島に移り住んだブラウン家と、マーレ国に残ったブラウン家がいたのです。

ライナーの母親もこんな風に言っています。「私たちを置き去りにして島に逃げた奴らに制裁を与えなくてはならない。 私たちを見捨てた奴らに…」と。つまり、ブラウン家はこのタイミングで二手に分かれた。

この「ブラウン」という苗字が佐藤さん、鈴木さんのようによくある苗字だった可能性もあります。しかし、諫山先生がわざわざ「モーゼス・ブラウン」とフルネームを名付けていたのは、後に使う予定の設定があったのではないでしょうか?

 

「巨人大戦」と「ヨロイ・ブラウン」を考察

引用:『進撃の巨人』(諫山創, 講談社)

100年前の巨人大戦について復習していきましょう。

この戦いは、8つの巨人を持つ家同士が決着や裏切りを絶えず繰り返し血を流しあったという戦いです。エルディア帝国がマーレ大陸を支配していた時代に発生し、マーレ国はエルディア人を支配するようになりました。その時点で一部のエルディア人がマーレ国に残り、フリッツ王と大多数のエルディア人がパラディ島に移住しました。

注目すべきポイントは、始祖の巨人を除く9つの巨人を、それぞれの家が所持していたことです。タイバー家のような8つの名家があったと考えられ、それぞれの家で代々知性巨人を継承していました。名家同士の争いが繰り返されており、鎧の巨人はブラウン家が所持していたと、私は仮説を立てています。

 

引用:『進撃の巨人』(諫山創, 講談社)

その根拠としては、ロットレイスが持っていたヨロイ・ブラウンの小瓶です。巨人大戦のタイミングでパラディ島に持ち込まれたんじゃないでしょうか。瓶の中身は、硬質化の能力を得られる、つまり鎧の巨人の脊髄液です。
アニとガビが後に語っていますが、他の巨人の一部を取り入れることで、その巨人の能力が発現します。女型の巨人は特にそれが顕著でした。

ヨロイ・ブラウンという小瓶は、鎧の巨人を持っていたブラウン家の脊髄液なのでしょう。鎧の巨人を巨人大戦以前の時代にブラウン家が持っていた。たまたまブラウン家がこの時に持っていたのではなく、長い間「鎧」を管理する名家の一つだったと想像します。

そもそもフリッツ家(レイス家)としては、始祖の巨人を継承するために無垢の巨人化させる脊髄液が必要ですので、念のため大量の瓶を持ってきていたはずです。その大量に持ってきた瓶の中の一つがヨロイ・ブラウンだったのでしょう。

巨人大戦の話からもわかりますが、 始祖の巨人「フリッツ王家」は圧倒的に他の8つの家より立場が上だった。そもそも記憶操作すらできるレベルですから逆らいようがありません。フリッツ王家としては、それぞれの家が巨人の力を持つ代わりに、自分たちへの絶対的な服従と脊髄液を献上するシステムを設けていたと想像します。

 

タイバー家とブラウン家の違い

巨人大戦後のそれぞれの家の扱いはどうだったのか?

タイバー家はエルディア人でありながら世界から尊敬され、迫害とは無縁の待遇を享受しました。

一方で、タイバー家以外の巨人を継承していた名家は、解体を余儀なくされたはずです。財閥の解体のようなものです。支配する側のマーレ国にとっては、力を持つ家があることは不都合です。ブラウン家を含めたそれぞれの家はその力を失っていったのでしょう。

その当時、鎧の巨人を持っていた「ブラウンさん」は、マーレ国に従順な次のエルディア人継承者に食べられたはずです。その結果、ブラウン家は鎧の巨人を失います。

さらに、ブラウン家はパラディ島に移り住んだメンバーと、マーレ国に残ったメンバーに分かれます。

パラディ島に移り住んだブラウン家が、モーゼス。ブラウンの先祖だったに違いありません。巨人大戦のタイミングで鎧の巨人を持っていたブラウンさんの家族はパラディ島に来たはずです。マーレ国にいたら、悲惨な暮らしになっていたと思うので…。

マーレ国に移り住んだブラウン家の子孫がガビやライナーです。彼らの先祖は、ダイナ・フリッツの話であったように「島に逃れることを拒み大陸に留まった一部の人々」とも言えます。

フリッツ王家のダイナのように、「鎧の巨人を継承していた本家・直系」ではない人たちが、マーレ国に残ったのでしょう。

 

カリナ・ブラウンの憎しみと教育問題

整理すると、

  • 鎧の巨人をブラウン家は所持していた
  • 巨人対戦でブラウン家は分断された
  • マーレ国にはライナーの先祖が残った
  • パラディ島にはモーゼスの先祖が行った

この前提を踏まえて、マーレ戦士の家族の思想を見ると、見え方が変わりました。例えば33巻で、 ファルコの両親が「パラディ島」と言ってるのに対して、ガビの両親は「私たちの子は悪魔の島にいるんだぞ、とても生きていけるわけがない」と言っていました。パラディ島=悪魔の島という思想が強いです。

ピーク・フィンガーの父親は「娘が俺なんかのために全てを犠牲にしていた腕章だぞ!」と言っています。ピークへの愛情は感じますが、マーレ国を崇拝しているという感じではありません。

比較して見えてくるのは、カリナを含めたブラウン家の思想の違いです。「大陸のエルディア人は生涯を捧げて、マーレに及ぼした精算な歴史を償う、善良なエルディア人になるべく私たちは頑張ってるんだぞ」と。思想のポイントは2つです。

  1. パラディ島のエルディア人許さない 
  2. マーレ国万歳

 

ブラウン家の思想の元は「巨人大戦のタイミングでマーレ国に残された100年前のブラウン家の処世術、 合理的な振る舞い」だと思います。

「パラディ島のエルディア人許さない!」という気持ちは、自分たちを見捨てやがって…、この大陸に取り残された私たちのことを置いていきやがって…、という恨みから来ていそうです。

「マーレ国万歳!」という思想は、名家だったブラウン家ならではだったのでしょう。元々ヨロイを所持していた「ブラウンの血を継ぐ者」は、危険視されていたため、過度にマーレ国を信仰する必要がありました。

例えばファルコ・グライスは「エルディア復権派のグライスおじさん」の裏切りによってグライス家が危機に陥った結果、「マーレ国に私たちはしっかり従いますよ」という姿勢を見せるために、戦士候補生になっていました。

ブラウン家の100年前の世代も「マーレ国を崇拝する姿を見せなきゃいけない最初の世代だった」のではないでしょうか。

しかし、その記憶は徐々に失われていきます。思考の補助線となるのがケニー・アッカーマンの話です。「私の親の代は子供に失われた歴史を伝えることなどしなかった、子供を王の粛清の対象から逃がすためだ」といいう話がありました。

ブラウン家も世代が進むにつれて「もともとブラウン家が鎧の巨人を継承している名家だったこと」が伝承されずに、感情だけが残ったのでしょう。

カリナ・ブラウンが言っていた「一族から二人も戦士を授かるなんて!」という驚きは、もともとブラウン家が鎧の巨人を継いでいた家と知らない状態だったから出た発言です。しかし、運命はまた巡り、ブラウン家が鎧の巨人を継承することになった…というのが進撃の舞台設定かなと思います。

「パラディ島への憎しみ」と「マーレ国への狂信」という感情です。これだけが、次世代に受け継がれていった…。カリナ・ブラウンは狂気的だと最初は思ったんですが、そのような思想に至ったのも「100年前の世代から脈々と受け継がれている、親世代からの教育」によるものだったのではないでしょうか。そしてそれも、生き残るためには仕方なかったとも言える。

引用:『進撃の巨人』(諫山創, 講談社)

なのでカリナ・ブラウンの「でも私たちは違う、善良なエルディア人なんだから」とか「 私たちを置き去りにして島に逃げた奴らに制裁を与えなくてはならない、見捨てた奴らに!」という発言の元を正すと、ブラウン家の歴史によってカリナ自身も被害者だったのではないか?親世代によってこんな風になってしまっただけなのではないか?…と私は受け取っています。

ということで、諫山先生がモーゼス・ブラウンというブラウン家ゆかりの人物を、パラディ島に設置したのは、描ききれない裏設定があったと私は考えています。

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