この記事の目次
Rhymester宇多丸と諫山創の対談「フード理論について」
- 「タマフルなくして進撃なし」と本人がいうほど、宇多丸の映画評論の影響を受けている
- フード理論の影響で巨人は人を食べなくなった(巨人は生きるために人を食べるわけじゃない)
- 「もともとは伏線じゃなくても、伏線にする」という作り方をしている
- 自分は”持っていない人”だから「K.U.F.U.」の影響で、最初の見開きの絵は書き直して、インパクトを与えるように工夫した(流し読みした時に、新人漫画家の絵でも興味を持ってもらえるように)
- マルロは「The Choice Is Yours」の影響。「世の中は誰が悪くてこちらは被害者だ」という見方ではなく「ラスボスはどこにもいない」という意味
ちなみにフード理論とは
- 善人はフードをおいしそうに食べる
- 正体不明者はフードを食べない
- 悪人はフードを粗末に扱う
※食べもの関係のギャグをするのは憎めない
進撃の巨人アニメSeason2放送記念インタビュー
- アニメのビジュアルを見たときのクオリティの高さについて
- マルコの回想に影響を与えた
2018年3月3日諫山先生日田サイン会
ふるさとの〝うめひびき〟のギャラリー大山の諫山創先生のサイン会の話。
- 18歳まで住んでいた故郷を出れば自分は変われると思っていた
- 勉強、スポーツも苦手で劣等感があった
- 昔から漫画家になると思っていた
※動画は非公式っぽいのでググッて探してください
ベルセルクに関して諫山創インタビュー
- ガッツに「祈るな!! 祈れば手が塞がる!!」って言われるシーンが名言。現実と向き合え、っていうことが顕著に表れてる
- 自分は逃げちゃう側の人間なんで、何か嫌なことあったら現実逃避してしまう
- マンガの中ならなんでもできる、暴れたいっていう衝動も発散することができる
「僕はまだ、思春期を こじらせている」諫山創
- 高校生の時は、漫画家になれないと思った。自分の内面をモロにさらけ出してしまう気がして、凄く恥ずかしかった
- 『進撃の巨人』は、司馬遼太郎の『坂の上の雲』に影響を受けている。絶対的に不利な相手に立ち向かう人間の描写が参考になった
神聖かまってちゃんと諫山創の対談
- 「好きな人に自分を見られたくない」っていう病気なんです
- 僕がかまってちゃんに共感したのは“学校に行きたくない精神”だった
- 「男はロマンだぜ!たけだ君っ」がエレンに重なると感じた
- マンガを描くことって、もともと弱者の武器みたいなところがあると思う
- マンガに限らず、何かを作る喜びみたいなのを、人生を通してずっと感じてたいとは思う
「『進撃~』はプロットには自信があった」
- 19歳の頃、寮の狭い部屋でネットをやりながら落書きをしていたときに『進撃の巨人』のプロットを思いついた。自信があった
【『進撃の巨人』諫山創インタビュー】「マンガ家になるのはムリだと思っていた」「『進撃~』はプロットには自信があった」
諫山創「情熱大陸」出演記念 過去インタビュー
- キャラクターのセリフはベタを避ける
- 好きなキャラクタはジャン(人間性を出しやすい)
- エレンはストーリーに踊らされている気がして、納得できないキャラクター
- 一旦全部読み終わって、二回目に読んだ時に同じ場面を別の意味合いを感じてもらいたかった
- 最初は「きょじんの正体は人間」という構想だけ。モンスター・パニック映画になるのを避けるためにドラマ性を加えた。「味方だった」「肉親だった」「友人だった」というドラマ。それがマーレ編になった
- 結末はミストからガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのような方向性に変わった
- マーレ編では、壁の中の人々が何を考えているのかわからなくなる(巨人と同じ役割)
- 「ヒメノア~ル」を読んで、「生まれつき殺人鬼じゃないのは偶然なだけ。自分の努力が不足していたからじゃない」という救いがある
- エレンは当初、怒りを原動力にしていた(壁から出られない怒り、不満、理不尽なものや抑圧に対する反発)
- 最初の3巻はアルミンの通過儀礼だった。ミカサやエレンと一緒に痛い一方で、自分の力では二人についていけないという劣等感。キッツとの一見で二人から期待を寄せられて、自身を持てる。しかし今でも劣等感がくすぶっている、だからこそ他人とは違う目線の発送ができる
- エレンにとっての通過儀礼は8巻。自分でいのか?と疑問や責任を感じる
- 16巻は選択できるようで出来ない。自分は巨人の力を与えられた特別さがあると思っていたが、そうじゃないと気づいた
- ヒストリアがロッド・レイスの呪縛を振り切ったことが、エレンに影響した
諫山先生「情熱大陸」出演決定記念! 過去インタビュー大公開①
諫山先生「情熱大陸」出演決定記念! 過去インタビュー大公開②
諫山先生「情熱大陸」出演決定記念! 過去インタビュー大公開③
諫山先生「情熱大陸」出演決定記念! 過去インタビュー大公開④
諫山先生「情熱大陸」出演決定記念! 過去インタビュー大公開⑤
諫山創に影響を与えた20作品
- マブラヴオルタネイティブ
- クエンティン・タランティーノ
- 風の谷のナウシカ
- ベルセルク
- ウォッチメン
- 坂の上の雲
- プライベート・ライアン
- ゼロの使い魔
- 町山智浩
- ライムスター宇多丸のウイークエンドシャッフル
- 総合格闘技
- ももいろクローバーZ
- ARMS
- ロックマンDASH 鋼の冒険心
- モンスターハンター
- ポーズマニアックス
- ジュラシックパーク
- サンダ対ガイラ
- ゴジラvsビオランテ
- 地獄先生ぬ~べ~
諫山先生「情熱大陸」出演決定記念! 過去インタビュー大公開②
諫山創の創作術(マガスペ)
- 昔は「正しい漫画」を描かなければならないという想いにとらわれていた。『HEART BREAK ONE』を描いて、そうじゃないと思ったんです。もっとふざけていた方が良い、いい加減なキャラクターの方が面白い、と。自由にふざけることが個性や魅力につながると思っている
- 「覚えてもらいやすいキャラを作る」「先のことを考えてキャラを作る」「欠点を作る」「キャラに嘘をつかせない」
ベルトルトの顔のデザインを決める際には、先に「ベルトルト=超大型巨人」という設定があったので、超大型巨人の顔を人間の顔にするとこんな感じかなと考えていった結果、面長になった
クリスタは想定から変化した。最初は、一人くらいはいわゆる「萌え」的な可愛らしいキャラクターがいた方が読者も喜ぶんじゃないかなくらいのつもりで作ったら、見事に「可愛らしいだけ」の空っぽなキャラクターになった。
しかしクリスタは逆に空っぽであることがクリスタのパーソナリティになっていきました。表面的に外面はいいけど、実際は自分という中身が無く、空っぽっていう
漫画を通してやりたい事の一つに『妖怪人間ベム』のような、人間の姿から醜い異形へと姿を変えるということがあった(ユミルのこと)
ライナーが一番好き(時期によるけど)。ライナーは「僕自身の反省を担うキャラクター」なんです。ライナーが『進撃の巨人』という世界の中の「加害者」であるように、僕もライナーと同じく漫画の中でキャラクター達を酷い目に遭わせている「加害者」だから。
〜漫画家を目指すキミに贈る〜漫画家(プロ)への花道【諫山創先生 編】前編
〜漫画家を目指すキミに贈る〜漫画家(プロ)への花道【諫山創先生 編】後編
マブラブ
- マブラブをパクっている
- 主人公は魅力的な男が好き。ハルヒとかとらドラとか
進撃の最終回は決まってるけどブレる?
―連載中の漫画については、既に先生の中でラストが決まっているのでしょうか。
そうですね、僕の頭の中にはあるんですけど、まだブレてもいいのかなと思っています。
出典:オトナアニメディアHYPER!(80p)
SUGOI JAPANのインタビュー
出典は「SUGOI JAPANのインタビュー」です(リンク切れ)。
――コミックス14巻(2014年8月刊)で、累計発行部数4000万部を突破しました。何故ここまでメガヒットになったんでしょう? 読者の声もたくさん耳に入るようになったと思うんですが、実感されていることはありますか。
諫山 絵はヘタだし、グロいし、読む人を選ぶタイプの作品。でも、なぜか売れてるらしい。それを「なんでだ?」と思って確かめようとした結果が、倍々ゲームみたいになって数字に表れてると思うんですよね。自分が何かしたわけでもなく、自然とその装置ができ上がってしまってる。ラッキーだったと思います。
――アニメ化(2013年4月〜10月)によって、部数が倍増したと伺っています。原作マンガを読んでいた人も、アニメを見ることで、この作品の魅力に気付き直した人も多かったと思うんです。例えば立体機動装置(巨人に対抗するために人類が発明した飛翔兵器)の表現は、アニメを見てからマンガを読むと、キャラクターたちが飛び回るスピードや躍動感が以前より倍増したと思います。
諫山 そうですね。むしろ僕は、アニメの荒木(哲郎)監督ほど立体機動装置というギミックの可能性を感じることができていなかったのかもしれないです。荒木監督のほうが、このギミックの持つ魅力を信じていた。「こんなに面白いものなんだぞ」って、アニメに教えてもらう感じがありました。あと、アニメを見たおかげで、キャラクターの性格が変わったりもしているんですよ。本編で再登場させた時に完全にアニメのキャラクターになっていて、「こんなやつだったっけ?」って(笑)。キャラクターの過去のエピソードとかも、アニメの打ち合わせをしてるうちに、自分の中でいろいろと気付いたり変化があって……。実は最近、巨人が出てこないんですよね。
――気付いていました(笑)。13巻と最新14巻収録話は、人間たちをクローズアップされていますね。
諫山 目玉商品が出てこないんです(笑)。覚悟はしていたんですよ。緩急をつけるというか、巨人を使った話のピークは描いておいて、そこから先はまた別の魅力を提示しなきゃいけないと。それってすごく難しいけど、いけるかなと思ったのは、アニメのイベントがあったことなんです(Reading&Live Event『Attack 音 体感』、2013年10月12 日@横浜アリーナ)。声優さんがキャラクターを演じる朗読劇があったんですが、それを見て「もしかしたらキャラクター達が話してるだけで面白いんじゃないかな?」と。「キャラクター達が四苦八苦する姿というのも、巨人に替わる、もうひとつの目玉にできるんじゃないか?」と目論んでやったんですけれども、個人的にはなかなか手応えを感じてなくてですね……。
――いやいや。少年達の決断のドラマと、騙し騙されのコンゲームが相まって、面白いですよ!
諫山 今のシークエンスは、もともと考えてあった終わりまでの設定に沿って、やらなきゃいけないことをやってるって段階なんです。義務っぽく感じちゃってるからなのかな……。実力もままならないまま、大変なことを始めてしまって、知られてしまって。本当にありがたい状況なんですが、ここ最近は破滅願望が強まっているんです。いっそダメになっちゃってもっていいんじゃないか、と。
――ここから先は、今まで築き上げてきたものをぶち壊すぞと?
諫山 作品として、完成度は高めたいんです。僕は絵がヘタだし、キャラクターを作るのも得意ではないんですが、ストーリーに関しては気持ちが入ってるんですね。だから「ちゃんと完成させたい」「ちゃんと終わらせたい」っていう欲求が今、一番強いという状態です。それはありつつも、読者をなんとかして裏切ってやりたいという悪意みたいなものもあります。プラス、期待にも応えたいという、よくわからない気持ちです。
――『進撃の巨人』の読者って、想像を裏切られることに慣れているというか、むしろ期待してるんじゃないかと思うんです。その意味では、今の言葉に矛盾はない気がします。
諫山 そうかもしれないですね。期待を裏切ってくれるだろう、という期待に応えたいって感じかもしれないです。
――さきほど、巨人を「目玉商品」と表現していたのが印象的でした。そもそも巨人という存在を描こうと思ったきっかけは?
諫山 子供の頃から、巨人が出てくるエンターテインメントが好きだったんですけど、一番大きなきっかけは19歳の時、PCゲームの『マブラヴ』をやったことですね。おもいっきり、元ネタです(笑)。絶滅寸前の人類+おっかない化物がいたらまず楽しいんじゃないかっていう。一定の楽しさが保証されている気がするんです。巨人と人類という設定を作るうえで参考にしたのは、『坂の上の雲』(司馬遼太郎)でした。絶望的な状況で、どうやって人々が最善の全力を尽くし、結果的にどうやって勝利を勝ち得たかっていう部分で、すごく参考にしています。
――巨人のデザインに関してはどうでしょう?
諫山 マンガ家として食っていけるかどうかを考えた時に、「これがあれば生活できるんじゃないか」と思えるところまで、巨人のデザインにはこだわろうと。モンスターっぽいんじゃなくて、なるべく人間に近付けようと思いましたね。近親憎悪的な嫌悪感というか。生物は同種を食うことを本能的にタブーとしている。人間でいえば、ライオンに食べられるより、チンパンジーに食べられた方が嫌じゃないですか。チンパンジーが人間に近いからだと思うんですよ。それでいうと、人間はもっとヤバい。
――主人公エレンにとっての仇敵である超大型巨人は「何」かという謎の答えは、最初から決まっていたんですか? 第1話の段階で、今に至る物語の地図はどれくらい描いていたんでしょう。
諫山 「何」かは、最初から決めていました。初めて読んだ時は分からないかもしれませんが、2回目に読んだ時に別の意味に取れたらいいなと思って、第1話の段階で伏線らしきコマも入れています。そういった仕掛けを最初から用意していないと、とてもマンガで食べていけるようになるにはならないと思っていましたから。知恵を使えるところは、使い尽くしたって感じはします。もっと伏線を入れても良かったかな、という反省はちょっとあるんですけど。
――当初は、「絵がヘタ」とか「絵がヘン」という声も聞かれました。巨人の手足が短かったり、顔のパーツのバランスが崩れていたりして。今振り返ると、そのいびつさこそこの作品の魅力です。
諫山 こんなこと言うのはお門違いなんですが、もし絵がうまかったら、今の評価にはなっていなかったかなと思います。「なんだこれ?」とはならなかったかも。ただ巨人に関しては、今ちょっと悩んでることがありまして……。
――なんですか?!
諫山 最初の頃は、自分はどんなところを怖がっているのか分からずに、無意識で「これだ!」と思うところを探り探り描いていたんです。最近気付いたのは、『地獄先生ぬ〜べ〜』の「人食いモナリザ」の回が、小学生の時に読んでトラウマで。顔が微妙にでかいモナリザがぐわっと絵から飛び出して、人をかじるってマンガだったんですけど、それが僕の感じる恐怖の元ネタだったんです。それが分かってから、もう前みたいには怖い巨人が描けなくなったんです(笑)。自分の中で感じる巨人の魅力が変わってきた、ということと思うようにしているんですけど……。
――11月28日からは東京・上野の森美術館で『進撃の巨人展』が開催されます。イベントに寄せた、諫山さんのコメントが最高でした。「本当に嫌な気分になりたい人も、興奮したい人も、是非楽しんで下さい!」(公式ホームページより)。
諫山 今日も巨人展の打ち合わせがあったんですが……最高に嫌な気分になりました(笑)。
――何があったんですか。
諫山 会場に設置される、ヘッドマウントディスプレイの映像を体験させてもらったんです。巨人に食べられるんですよ。未完成版で絵が荒削りというのも相まって、「これ食べられちゃうのかな? えっ。えっ!」という、何が起きてるのか分からない怖さが衝撃で……。ひとにとってプラスになるものやポジティブなものを与えてお金をもらうのが普通の商売だと思うんですが、イヤな気分にさせるっていうのは、これってなんだろうって思っちゃいましたね。たまに自分でもマンガを描いていて思うんですけど(笑)。
――恐怖を味わうことも、人間の欲求のひとつということなんでしょうか。
諫山 お化け屋敷とかジェットコースターも、イヤな目に遭うのは分かってますよね。それにお金を払っている……。今日も、みぞおちが震えましたもん。ヘッドマウントディスプレイの耳元が震えることで、手ががっと掴まえられる感触があったんです。実際に掴まれているわけではないのに、無意識に体が感じてしまうんです。自分の首の向きのさじ加減だけで視界が変わる、世界に入ってる感も、他の映像とは一線を画す革新的なものだなと思いました。同時に、“よろしくない”感じもしましたね。よくお年寄りの方が、「最近ゲームばっかりやってて、こんなんじゃ若者はいかん!」と言ってる気持ちがちょっと分かりました。
――どういうことですか(笑)。
諫山 相当昔、小説が出た時には「小説なんていかん!」と言ってる人がいたらしいんですよ。新しい表現メディアが出てきた時特有の“よろしくない”感じってあるんですよね、きっと。だって、ちょっと怖くないですか? 未来でみんながヘッドマウントディスプレイでかちゃかちゃやってたら……「テレビを見ろ!」みたいな(笑)。めちゃくちゃ面白いからしょうがないんですけど。
――巨人展は、ヘッドマウントディスプレイによる“360°体感シアター「哮」”のほか、短編映画の上映や原画展、リアルスケール超大型巨人の展示などがおこなわれると伺っています。
諫山 今までいろんな商品監修などをやってきましたけど、作ってる方々のセンスがすごいって感じています。ひとつひとつの企画の、「分かってる」感がすごいです。例えばヘッドマウントディスプレイの映像で言えば、「カットを割らない」。一連の、連続したものとして映像を作っているんですよ。僕は仕事場で常に“ももクロ(5人組アイドルグループ「ももいろクローバーZ」)”のライブ映像を見ているんですが、カットが多いと舌打ちする人間なんです。
――おっしゃる意味、すごく分かります(笑)。
諫山 (石川)ゆみ先生とメンバーが頑張って作った踊りなんだから、そんなにカットを割らずに、5人を長回しで映すのが一番だと思うんです。ももクロといえば持久的な、スタミナ的なところが見せ場だから、カットが変わるごとに臨場感も損なわれる感じがあるし。なんなら1回、全部長回しでぐいーんと動かすカメラ1台で、『Chai Maxx』とか『ココナツ』とか映してくれないかなあとずっと思ってるんです。今、完全にももクロの話になってますけど、この声が何となく届いたらいいなあと……。
――海外でもコミックスが翻訳刊行され、アニメも放映されています。YouTubeやニコニコ動画で「外国人 進撃」と検索すると次々に出てくるのが、アニメをリアルタイムで見ていた外国人視聴者のリアクションです。第5話でエレンが恐怖の底に落ちるシーンでは、各国でこの世のものとは思えない絶叫が響き渡りました(笑)。
諫山 それ、僕も見ました(笑)。海外の人もメンタルは同じというか、むしろ同じものを日本人が見ても、ここまでのリアクションはしないんじゃないかと思いましたね。なんて純粋で、なんて屈託がないんだ、と。「それ、いいなあ」と思いつつ、想像以上のリアクションを見ることができてめっちゃうれしいです。いい時代ですよね。昔はものを作っても、受け手の反応がなかなか見られなかったわけですから。
――あの映像を見て思うのは、日本人か外国人かは関係なく、届くものは届くんだなと。
諫山 海外の人ほど、王道的なカタルシス、分かりやすいエンターテインメントが好きなのかなと思ってたんですが、それだけじゃないですよね。『ミスト』という映画が代表的ですけど、アンチカタルシスの方向にも徐々に興味が行っているのかもしれない。だとしたら『進撃の巨人』も、楽しんでもらえるのかなとは思います。あと、グロテスクなものに惹かれるのって、いいか悪いか別として、人間の持っている純粋な気持ちだと思うんですよ。社会的に“よろしくない”というか、“見ちゃいけません”とされているものが好きという気持ちは。
――2015年には実写映画版も公開されます。海を越えて広まっていくには実写映画が一番ですから、楽しみです。
諫山 特撮にこだわりのあるスタッフさんなので、映像がすごいことになっていますね。巨人展に映画、年末はアニメの総集編にあたる劇場版も公開されます。マンガでは味わえないような楽しさや“よろしくなさ”を、ぜひ体感してほしいです。
「進撃の巨人」作者・諫山創さん単独インタビュー(BBC)
BBCに単独インタビューされている動画があります。諫山先生が喋っている珍しい映像なのでぜひみてみてください↓
「進撃の巨人」作者・諫山創さん単独インタビュー ロングバージョン
影響を受けたゲームがありまして。宇宙人がいっぱい攻めてきて地球が大変みたいなものなんですけど、それでその宇宙人、よくあるモンスターが地球を攻めてきて人類滅亡寸前というジャンルもので、そのモンスターとして人食い巨人というのは面白いんじゃないかと思いまして。そのゲームの影響で思いつきました
うちが農家をやってまして。まあ、稲作とかあとは梅だったりそういった農業をやって、それで食べていくみたいなの、兼業農家なので。それを子供のころからやってた経験からか、やっぱり生き物っていうのは基本的に生物の、有機物の栄養をとってしか生きられないっていうか。それを残酷というのは人間のただの価値観で、それは別に普通のことなんだって思いました。でまあ、文明を得た人間が社会という価値観を通して、肉食動物が草食動物を食べるのは残酷な行為だと思うこともあると思うんですけど、それは基本的にいいとか悪いとかっていうのもただの人間本位な考え方で。それはちょっと違うんじゃないかみたいなことは、描きながら思いました
「普通に会社に就活するように、いろんな会社に自分の企画を持っていって審査してもらうっていう活動は漫画家の皆さんならだれでもやると思うんですけど。主要な出版社には3社ほど行かせてもらいました。話はちょっとほめてもらった気がしますね。でもやっぱりちょっと絵とか、とてもそれが現行作品3作目だったんですけど、それが3作目とは思えない絵のクオリティ、低いっていう方向だったので、もう半分、漫画家にはなれないんじゃないかなということは思ってまして。やっぱりあの、競技人口というか、すごくいろんな目指している人がいて、その中の上位に自分が食い込めるわけがないとちょっと思ってましたので。最後に唯一評価していただいたのが講談社の「少年マガジン」の編集部だったっていうことですね。川窪慎太郎さんに見てもらって面白いって評価いただいたんですけど、その時の感想としてはかなり諦めモードというか、自己評価低かったんで「この人大丈夫かな」くらいのその感じだったので、まさかそうなるとは自分でも思ってませんでした」
「昔読んだ地獄先生ぬ~べ~の人食いモナリザの影響が大きくて」
「誰でも通過儀礼はあると思うけど、バイトなんかでも、それ以前の経験とそれ以降で変わるようなものを書きたい」
【2021年1月9日】諫山創Nキャス独占インタビュー(完結に向けて)
2021年1月9日に、Nキャスに諫山先生が出演し独占インタビューを受けていました!
インタビューの内容
- 「もうすぐ終わる」と感じてから長かった。サウナを出る前の1分が長いのと同じ
- 読者の皆さんと駆け抜けたこの時代が 僕の青春でありかけがえのない時間でした。こういうことは単行本のあとがきに書くことかも…
- (「結末はもう決まりましたか?」という質問に対して)「これからです!」
こんな感じでした(多分)
33巻の嘘予告スクールカーストもサウナの話に終止していましたね。
諫山先生の脳は「サウナ」にやられちまった…
語られなかった「紙面」での質疑応答
TV画面にちらっと写ったけど、放送されなかった「紙面」での質疑応答もあります!
一応画質上げてみました! pic.twitter.com/yYb0NQluMH
— ミント🌿 (@20pe15) January 9, 2021
以下、私の方で書き起こした内容です。間違いあったら教えて下さい🙇
世間から完結を惜しむ声が多くあがっていますが、今一度心境をお聞かせください
連載中の11年間は、仕事をしない日でも常に締め切り日が頭にあったので、それがなくなるのは、どんなにいいことだろうと思いを馳せ、楽しみだと思うとともに、職場を解散する寂しさ、作中のキャラクターを書く機会が無くなる寂しさもあります。
去年の当番組でのインタビューでは「残り5%」とお答えになって、そこからおよそ1年での完結です。この道のりは長かったですか、それとも短かったですか。お聞かせください
もうすぐ終わると思ってからが長かったです。これはサウナを出るときの最後の1分がやたら長く感じてしまうのと同じ現象だと思います。残り5%とお答えした時は、感覚的なものでしかなかったのですが、実際何%だったか気になります。
ずばり、”ハッピーエンド”でしょうか?
終わり方がハッピーかどうかという視点では、考えたことがなかったです。
今一度、ファンの皆さんへ向けて、メッセージをお願い致します。
連載は終わりますが、進撃の巨人が、2009年から2021年の文化としてわずかにでも加わることができるなら、作者としてこれ以上のエゴはありません。
読者の皆さんと駆け抜けたこの時代が、僕の青春であり、かけがえのない時間でした。本当にありがとうございました。
そして、こういうことは、単行本の後書きとかに書くべきなんじゃないかと思いました。
【2021年5月28日】諫山創×高畑弓×蒲夕二 師弟鼎談
同作の原作者である高畑弓と作画担当の蒲夕二は、ともに諫山創のもとでのアシスタント経験を持つ。そこでコミックナタリーでは、3人の鼎談をセッティング。諫山が「人類を滅亡させてはいけません」を読んで感じた魅力から、2人のアシスタント時のエピソードまで、初めて3人で語り合ってもらった。
面白かった諫山先生の発言ピックアップ。「人類を滅亡させてはいけません」を読んだ上でインタビューを読むとより面白いです。
- 僕、渡された原稿をぱっと見た瞬間に「いいっすね!」って言うんですけど、その「いいっすね!」のトーンが低かったり高かったりするらしく、それでみんな良し悪しを判断してるみたいで(笑)。
- Netflixで「ミッチェル家とマシンの反乱」を観ました。食べ物が襲ってくる「くもりときどきミートボール」とか、「スパイダーマン:スパイダーバース」、あと「レゴバットマン ザ・ムービー」っていうレゴムービーを作ってる監督(フィル・ロード&クリストファー・ミラー)の作品。「ミッチェル家〜」は、ミートボールじゃなくて、ロボットが襲ってくるというアニメなんだけど、めちゃくちゃ面白かった。
- 世間的にもうアナログは許されないのかなというくらいの雰囲気があるので、デジタル化も考えてはいますが、どうでしょうね……。
- 人間って、群れで生きる生き物としてスタートしたのに、ここ何百年かで急に個人で生きる生き物みたいになっちゃったので、無理が出てきますよね。人間は本来1人では子育てができない動物らしいですし、かつては集団で面倒を見るシステムだったから、今みんな「個人で育てるのは大変」ってなるのは当然だと思うんです。そういう背景もあるから、やっぱり面倒見のいいおばちゃんみたいな人がいてくれたら心強いですよね。
随時更新中・・・